【河内長野市】生活に大切な水道水、滝畑ダムからどう浄化されるの?高向公民館講座で日野浄水場を見学
当たり前ですが、人間が生きていくために必要なもののひとつに水があります。大阪府では、多くの飲み水は枚方の村野浄水場から供給しているそうです。しかし、河内長野ではそれとは別に滝畑ダムからの水も供給しています。
高向公民館では、9月と10月に滝畑からの飲み水に関するセミナーが開催しています。残念ながらすでにセミナーは満席。とはいえ、水はとても大切なものなので、特別にお願いして日野浄水場の見学に取材同行しました。
日野浄水場です。
日野浄水場のある場所は日野ですが、どちらかといえば南花台のほうが近い立地です。
日野浄水場は、河内長野市と富田林市の共同施設で、富田林にも水を供給しています。1973(昭和48)年度からの8か年計画で建設されたとのこと。
敷地内に入りました。緑の建物を敷地の外から眺めたことはありますが、中に入ったのは初めてです。
建物の定礎(工事が完了するタイミング)1978(昭和53)年1月ですが、実際に日野浄水場からの給水は1982(昭和57)年4月からとのこと。2年前の1980(昭和55)年3月に滝畑ダムが完成したことを受けてのことでした。
2階の部屋に案内されました。
このような冊子が配られました。日野浄水場のパンフレットとまちづくり出前講座「浄水場見学の見学」という資料です。
この日は河内長野市の水道課の方2名が案内してくださいました。
こちらは資料のほうです。河内長野市にある3つの浄水場がどのエリアを担当しているかがわかる図です。日野浄水場は②の主に中南部が担当地域とのこと。
そして、3つの浄水場にプラスして企業団水と呼ばれる淀川から村野浄水場を経由した水が千代田受水場を経て、地域によっては浄水場の水とブレンドして使うそうです。
水道水は塩素殺菌をしているため、ミネラルウォーターのようなおいしさに欠けるという声がなきにしもあらずですが、安全性では圧倒的に水道水です。また水道水をひとり1日3L分、それを3日分確保すると災害時にも安心とのことで、塩素殺菌をしているので7日間は殺菌効果があるという話でした。
こちらは水をろ過するための断面です。3種類(アンスラサイト:無煙炭、ろ過砂、支持用砂利)が、ろ過池の底にあってきれいな水になるとのこと。
浄水施設を管理している中央管理室です。
日野浄水場の心臓部のようなところにまで入れたのは貴重でした。
操作用のボタンのようです。実際に操作するときには指をさして呼称をするような指示があります。
こちらのモニター画面でも、現在の状況を確認中。
中央制御室の隣の部屋です。水質を検査する部屋のようで、3つの水は、左から「浄水」「沈殿水」「原水」とあります。山に囲まれた滝畑ダムの水はきれいという印象がありますが、浄水とくらべるとやはり原水は汚れているのがわかりました。
金魚が泳いでいますが、これは水質のチェックで金魚が異常行動を起こしたり、最悪死ぬようなことがあれば水質が異常であることがわかるとのこと。
このように異常行動の例やその原因が書かれています。
ただ水道課の担当者の話では、日野浄水場ができてから一度も水質異常が原因で金魚が死んだことはないそうです。
ここからは外に出て、実際の浄水施設の見学に向かいます。
日野浄水場では太陽光発電システムを使っているとのこと。
最初は案内図1のところです。
まずは滝畑ダムから日野浄水場までの水のルートが紹介されています。川から取水しているのではなく滝畑ダムから直接取水して、地中を通って日野浄水場まで水が運ばれているとのこと。
地中に入っている管はこちらです。
直径90センチあるそうで、滝畑ダムから3.7キロの距離の地中を管が日野浄水場に向かっています。
触ってみましたが金属製のようです。浄水場のパンフレットによるとダクタイル鋳鉄管とのこと。
こちらは緊急事態が発生した際に導水管を遮断して、水が入らないようにするための弁です。
ダムから取水されて地中を通っている導水管の行き先は、着水井と呼ばれるところです。
その前に、先ほどよりもひときわ大きな管があります。これは河内長野では使っていないそうですが、大阪市などの都市部で使われているクラスの管とのこと。中に人が入るくらいの大きさでした。
こちらはヤシ殻を炭にして水に溶かす活性炭とのこと。
活性炭がどんなものか間近で見せて頂きました。
活性炭の水は年中使う物というよりも夏場に使うことが多いとのこと。主にカビ臭の原因物質等を除去するために用いられます。
いよいよ、滝畑ダムから運ばれてきている水が浄水場に注がれる場所に来ました。
こちらは着水井です。滝畑ダムの水は下から湧き出ているとのこと。
もうひとつ上から湧き出ているところがありました。これは浄水場内で洗浄に利用した水を再度浄水するためのものです。廃棄する水をなくすために水のリサイクルを行っているとのことでした。
こちら迷路のようになっているのは、脱臭処理池です。活性炭を水になじませるために行っているそうです。
こちら黒い液体が、先ほどの活性炭が混じった水で、これと滝畑ダムの水をなじませることで、夏場によく出てくるカビ臭原因物質等を除去します。
迷路になっている部分を拡大しました。活性炭が混じっているために黒っぽい水になっています。
少しだけ動画に撮りました。
迷路のような脱臭処理池の最後で次の行程に移ります。
ここは分岐井と呼ばれるところで、水を複数の池に分ける場所とのこと。そして滝のような部分に水滴のように上から入っている液体が、不純物を固める凝固剤の役目を果たす薬液のPAC(ポリ塩化アルミニウム)です。
この日はとても天気が良く、遠くの山やビル群が見えます。ひときわ高いビルはあべのハルカスのようです。さらに参加者によれば別の角度から六甲山も見えたとのこと。
次の行程に移動します。
ここは急速かくはん池です。水の中に含まれている細かいゴミや泥、微生物などの不純物の大きな固まり(フロック)を良好に作るための工程。先ほど投下したPACを水の中に混ぜるために拡販するためのものです。
中を覗くとフラッシュミキサーによる攪拌(かくはん)が行われていました。
次にフロック形成池です。凝固剤(PAC)が混ざった水をフロキュレーター(緩速攪拌装置)をつかうことで、フロックを成長させます。つまり泥や微生物などの不純物を水から分離させて大きな固まりにするというわけですね。
動画に撮りました。
3つに分かれているのですが、左に行くと速度が遅くなります。
最初は早く行い、フロックの粒子が大きくなっていくと遅くしているとのこと。
ここで黒い覆いがありますが、このような覆いをしている理由として藻の発生を防いでいるそうです。
こちらは傾斜板沈でん池です。フロックの黒っぽい塊が板にくっついています。
同じ池が4つあるそうですが、板の掃除をする時にはひとつの池を使わないようにして、汚れの掃除をするそうです。
この時点で十分きれいな水のような気がしましたが、この後は急速濾過を行うとのこと。
次の場所に移動します。
こちらは薬注室と呼ばれているところで、PACと殺菌用の塩素(次亜塩素酸ナトリウム)が入っているとのこと。
ここに薬液のサンプルがありました。次亜塩素酸ナトリウムのほうが黄色っぽい色をしていました。
薬注室から必要な量を注入していくわけですね。
こちらは塩素殺菌用のようです。
さてこちらのパイプは、緊急時に給水タンクに入れるために設置してあります。
最後の行程です。急速濾過を行い塩素殺菌をする部分。
こちらが急速ろ過池です。水面はろ過前の水なのでまだいろんなものが混じっているようです。
網が張ってありました。
底にある3種類のろ過を通過すると、浄水が終わるので、そのあとは水質変化を防ぐため、もう人目に触れることはありません。
ろ過を通った水は最終的に塩素を入れて混ぜるために塩素混和池に向かいます。
塩素が入り完成すると常時6,000立方メートルの浄水を浄水池に溜めます。これは送水量の変動に対応するのが理由とのこと。
浄水池から浄水場の外にある配水池の施設に運ばれます。そこからは排水管を通って、各家庭に給水されています。
浄水場の主な施設の見学は終わりましたが、最後に発電所を案内してくださいました。
災害による停電が発生すると浄水場の機能が停止するため、それを避ける目的で自家発電がおこなわれています。ディーゼルで発電するそうで、3日間停電になっても浄水場を稼働させる能力があるそうです。
こうして最初の部屋に戻り、質疑応答とアンケート記入を行なって日野浄水場の見学会は終了しました。
帰り際、浄水場の向かいの建物、日野配水池を外から眺めました。
こうして高向公民館主催講座の日野浄水場を同行見学しました。当たり前のように利用している水の安全を守るために様々な工夫が行われている浄水場の見学をすると、水のありがたみがわかります。もっと多くの人に見学して欲しい施設だと思いました。
日野浄水場
住所:大阪府河内長野市日野1376-2
アクセス:南海三日市町駅からバス 南花台4丁目バス停から徒歩7分
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