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今も低成長のiPad、精彩を欠くタブレット市場

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
iPadを用いて少年と会話する英王室キャサリン妃(写真:Shutterstock/アフロ)

 米国の市場会社IDCによると、今年4〜6月期におけるタブレット端末の世界出荷台数は3300万台で、前年同期から、13.5%減少した。

このままでは2018年も前年割れ

 タブレット端末の世界出荷台数は、3年半前から右肩下がりで推移している(図1)。昨年1年間の出荷台数は1億6350万台で、前年から6.5%減少した。

 また、昨年10〜12月期は前年同期比で7.9%減、今年1〜3月期は同11.7%減と、落ち込み幅は拡大を続けている。このまま推移すれば、今年の年間出荷台数も前年実績を下回りそうだ(IDCのレポート)。

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頼みの綱もついに減少

 最新レポートによると、この市場では、依然として「スレート型」と呼ばれる従来型端末の出荷台数が減少している。

 一方、iPad ProやSurface Proなどの「デタッチャブル型」(着脱式キーボードが用意される製品)は、これまで増加傾向にあり、市場全体の減少幅を縮小させる役割を担っていた。

 しかし、4〜6月はデタッチャブルも減少した。IDCはその要因について、1年前に出荷台数が大きく伸びたことの反動だと分析している。1年前のこの時期は、注目されるデタッチャブルの新製品が数多く登場したが、今年は、それがなかった。

アップル、2位のサムスンを大きく引き離す

 4〜6月におけるメーカー別出荷台数ランキングは、米アップル韓国サムスン電子中国ファーウェイ(華為技術)、中国レノボ・グループ(聯想集団)、米アマゾン・ドットコムの順。

 このうち、出荷台数が伸びたのは、ファーウェイとアップルのみ。ファーウェイは前年同期比7.7%増、アップルは同0.9%増だった。

 ファーウェイの出荷台数は、340万台。同社は、アジア地域(日本を除く)への出荷台数が自社全出荷台数50%近くを占めており、この地域でスレート型を中心に好調だ。また、同社のデタッチャブル型は、依然数は少ないものの伸び率は200%超と、急伸している。

 アップルの台数は、1150万台で、シェアは34.9%、2位のサムスン(500万台)を大きく引き離した。IDCはその要因として、3月に発売した新型iPadや、教育市場に向けた新たな取り組みなどを挙げている。

 このiPadの台数は、先ごろアップルが公表した4〜6月期の販売台数とほぼ一致している。アップルによると、同社はこの期間、1155万3000台のiPadを販売した。

 iPadは、昨年1〜3月期時点で13四半期連続の前年割れを記録。翌四半期の4〜6月期にようやくプラスに転じた(図2)。

 それ以降は、5四半期連続でプラス成長している。ただ、直近の3四半期を見ると、伸び率は、いずれも、わずか1〜2%程度にとどまるという状況だ。

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(このコラムは「JBpress」2018年8月7日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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