Yahoo!ニュース

「打点マシン」の一塁手と3年5850万ドルで契約。年齢は30代後半ながら、前任者と比べると若返り

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホゼ・アブレイユ Sep 23, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2013年の夏にキューバから亡命し、2ヵ月後にシカゴ・ホワイトソックスと契約して以来、ホゼ・アブレイユは、一度も移籍することなくプレーしてきた。2019年のオフにFAとなったが、ホワイトソックスからのクオリファイング・オファーを受け入れ、直後に3年5000万ドル(2020~22年)の延長契約を交わした。

 だが、メジャーリーグ10年目の開幕は、ヒューストン・アストロズの一塁手として迎える。USAトゥディのボブ・ナイテンゲールらによると、アブレイユとアストロズは、3年5850万ドル(2023~25年)の契約で合意に達したという。

 アブレイユは「打点マシン」だ。これまでの9シーズンに、100打点以上は6シーズンを数える。それ以外の3シーズン中、2020年は60試合で60打点を挙げている――MVPも受賞した――ので、実質的な100打点未満は、2018年(78打点)と2022年(75打点)の2シーズンだけだ。通算(2014~22年)の863打点とここ4シーズン(2019~22年)の375打点は、どちらもそのスパンの2位。それぞれ、ノーラン・アレナード(現セントルイス・カーディナルス)の916打点とピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)の380打点に次ぐ。

 走者の人数などに左右されるため、打点は選手を評価するのに適した指標ではない。けれども、アブレイユは、コンスタントに多くの打点を挙げている。他の要素があったとしても、自身が打たないとこうはならないはずだ。

 35歳の今シーズンは、ホームランが前年から半減し、15本にとどまった。ただ、出塁率は.351→.378と上昇し、二塁打は30本→40本と増加している。OPSは.831→.824なので、ほとんど変わっていない。アストロズは、パワーダウンを一時的なものと見ているのか、あるいは、今シーズンと同じ程度でも十分だと考えているのだろう。

 アストロズの打線には、強打者が並ぶ。ヨーダン・アルバレスアレックス・ブレグマンホゼ・アルトゥーベカイル・タッカーを擁し、メジャーリーグ1年目にしてリーグ・チャンピオンシップ・シリーズとワールドシリーズでMVPを受賞した、ジェレミー・ペーニャもいる。

 そのなかで、一塁手は、打線のウィーク・ポイントだった。こちらもFAとなったユリ・グリエルは、二塁打こそアブレイユと同じ40本だが、ホームランは8本に過ぎず、打点は53、出塁率とOPSは.288と.647に終わった。リーグ・ワースト4位とワースト7位だ。

 また、グリエルからアブレイユに代わることで、アストロズの一塁手は、30代後半のキューバンという点は同じながら、若返りとなる。来シーズンの年齢(6月30日時点)は、グリエルが39歳。アブレイユは36歳だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事