JASRACの溜まった分配保留金の使い道を(勝手に)考える
「JASRAC、溜まった分配保留金で新事業…浅石理事長"トップランナーの責任果たす"」という記事を読みました。
ということです。なぜ分配ができないかというと、作品届が出ていない等の(権利者側の)事務作業の遅れによるようです。正直、このあたりに無頓着な権利者が一定数存在することがしょうがないと言えます。海外権利者の分が約8割を占めているそうですが、海外の著作権管理団体はJASRACと比較しても緩いところが多いという印象でこれまたしょうがないのでしょう。
単純に均等に分配する手もありますが、JASRACが扱う著作権料の年間総額が約1000億円であることを考えれば、各委託者への分配金が数パーセント増えるだけなので、それほど大きな意味はなさそうです(記事中にもあるように他の権利者が得るべき金を別の人に回すことになるので不公平でもあります)。
具体的な使用目的は「これからつくる有識者(専門家)の委員会が具体的な方向性を決めることになります」ということでまだ確定していないのですが、例として浅石理事長は「著作権思想の普及、音楽文化の発展、アジア地域の団体への支援」を挙げています。
私見ですが、「著作権思想の普及」を目指して啓蒙コンテンツ作ったり、イベントをやったり、ましてや「xx記念館」作ったりするのは一番もったいない使い方だと思います。一部の企業に経費が流れてそれで終了でしょう。
これまた、個人的意見ですが、すべての委託者(作詞家、作曲家など)に共通する目的にかなう事業ということであれば、原盤権やNexTone作品も含めた包括的な許諾のためのインフラ作りでもやった方がよいのではないかと思います(それはまた別途予算が付いてるのでということかもしれませんが)。日本版SoundExchange(ネットラジオの権利処理を一括して行なう組織)みたいなものもよいかもしれません。
要は、利用者に利便性を提供することで楽曲の利用を促進して、結果的にクリエイターへの還元を増やすということです。これこそが「すべての委託者に共通する目的にかなう」事業でしょう。利便性の向上がないままで「著作権思想の普及」だけがんばってもしょうがないのではと思います。