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ラーメンも“担々麺”も。やっぱり豚骨ベースが好き!「博多担々麺 有吉商店」

上村敏行ラーメンライター
「有吉商店」で楽しめる豚骨ベースの博多担々麺

福岡のラーメンシーンにおいても“担々麺”の人気が増している。辛味、酸味、甘味が渾然一体となる奥深い旨味の担々麺は“女子ウケもする”麺メニュー筆頭といっていいだろう。鮮烈な辛さの中華系、汁なし系、芝麻醤や肉味噌に趣向を凝らす店、または麺そのものにも強いこだわりを持っている店など、そのスタイル、個性はさまざまであるが、福岡を訪れて食べたい一杯といえば、やはり“豚骨ベースの担々麺”。チャンポンにも通ずるところで担々麺も、スープのベースがライトな鶏清湯か、がっつり豚白湯かで味の印象は大きく異なる。筆者の好みは、チャンポン、担々麺とも、より重厚感のある後者。豚骨ベースの担々麺はとにかくうまい。豚骨ラーメンや、もつ鍋などと肩を並べる博多名物に勝手に認定したいぐらいだ。

昼、夜ともに飲んで啜れるラーメン酒場。アクセスも至便
昼、夜ともに飲んで啜れるラーメン酒場。アクセスも至便

そんな、地元民、観光客にもプッシュしたい博多流“豚骨担々麺”の代表格が「有吉商店」。場所は天神中心からも徒歩ですぐアクセスできる渡辺通エリアにあり、昼から深い時間帯まで営業している使い勝手のいい一軒だ。

店主の有吉竜ニさん。料理の引き出しの多い有吉さんが、うまい担々麺とは、にこだわり行き着いたのが豚骨ベース
店主の有吉竜ニさん。料理の引き出しの多い有吉さんが、うまい担々麺とは、にこだわり行き着いたのが豚骨ベース

店主の有吉竜二さんは1971年福岡市出身。18歳から30歳まで中華料理店で腕を磨き、大名でのバー経営、担々麺「まるみや」に携わった後、2010年に自身の名を掲げた「有吉商店」を開業。近年では福岡空港のラーメン滑走路に出店したり、福岡市警固「大正軒」のラーメンの監修なども行なっている。有吉さんの担々麺への思いは、10年以上キャリアを積んだ中華料理店時代から始まったものであるが、その時作っていたのは四川系の担々麺。なぜ豚骨ベースに行き着いたのか。

「濃厚な中でも、すりゴマや酢でさっぱり感も感じてもらえる担々麺です」
「濃厚な中でも、すりゴマや酢でさっぱり感も感じてもらえる担々麺です」

「担々麺で勝負すると決めた時、何がなんでも“博多”という冠を付けたかったんです。ご当地もしっかりと感じる『博多担々麺』を形にすれば、実力派がそろう福岡のラーメン界でも勝機ありと確信していました。そのキーとなるのがやはり“濃厚な豚骨スープ”と合わせることでしたね」と、有吉さん。

「有吉商店」の担々麺は、「豚骨スープだから濃いくてうまい」のは間違いないのだが、実はそんな単純ではない。とても緻密な計算で仕上げられている。

例えば、スープのボディがしっかりとしている分、一般的な芝麻醤(チーマージャン)だと、くどくなりすぎるためゴマ要素は“すりごま”そのものを使用。渾然一体となる辛味、酸味、甘味の部分では特に酸味、独自にブレンドした酢の加え方が絶妙である。程よい香ばしさ、コクを添える黒マー油の使い方も見事。筆者的に辛すぎないも好きなポイント。

通常のレンゲと穴あきレンゲの2種。肉味噌をすくいながら最後の一滴まで完食
通常のレンゲと穴あきレンゲの2種。肉味噌をすくいながら最後の一滴まで完食

スープを飲むと、豚骨のコク、豚ひき肉の甘味も口いっぱいに広がり、レンゲですくう手が止まらなくなる。穴あきレンゲを使って沈んだ肉味噌をすくい、白飯にのせて食べても美味。麺は当初「張源洋行」に特注していたが同老舗製麺所が閉店してしまってからは製麺機を導入し自家製麺に。現在、担々麺には切刃18番の多加水麺、豚骨ラーメン用に25番の低加水麺を作っている。

一品料理もそろい、安、ウマの麺酒場として深夜まで客の波が途切れない「有吉商店」。福岡を訪れたら真っ先に食べたいのはもちろん豚骨ラーメンであろうが、豚骨ベースの担々麺も“博多らしさ”をしっかりと感じられる逸品。ぜひ体感してほしい。

【有吉商店】
住所:福岡市中央区渡辺通1-8-18
電話:092-724-5675
時間:11:30〜翌1:00、金・土曜〜翌3:00
休み:日曜
席数:1Fカウンター6席、2Fテーブル18席

ラーメンライター

1976年鹿児島市生まれ。株式会社J.9代表取締役。2002年、福岡でライター業を開始。同年九州ウォーカーでの連載「バリうまっ!九州ラーメン最強列伝」を機にラーメンライターとして活躍。各媒体で数々のラーメンページを担当し、これまで1万杯以上完食。取材したラーメン店は3000軒を超える。ラーメン界の店主たちとも親交が深く、ラーメンウォーカー九州百麺人、久留米とんこつラーメン発祥80周年祭広報、福岡ラーメンショー広報、ソフトバンクホークスラーメン祭はじめ食イベント監修、NEXCO西日本グルメコンテストなど審査員も務めてきた。その活躍はイギリス・ガーディアン紙、ドイツのテレビZDFでも紹介

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