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気になる実家の片づけは何からすればいい?これならはじめやすい3つのポイント

藤原友子小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

核家族化が進み、親子が離れて暮らすようになり実家で暮らす人の数は減ったはずなのに、実家のモノは減るどころか気が付いたら増えていたというようなことはないでしょうか。

そうなると親に「そろそろ片づけをして欲しい」と思うのですが、ここに大きな落とし穴があります。

たとえ親であれ、自分とは違う別の人間であるということを忘れてはいけません。そして実家は、自分の家ではなく親の家であることも忘れてはいけません。

何とかして片づけてもらわないと!とか、終活を始めてもらおうと親の行動を変えようとするのは難しいのです。

これまで高度成長期やバブル期を生きてきた親世代は、家、車だけでなく、モノを所有することが豊かさと喜びの証でした。

いくら片づけたら快適になると説得しても、片づけ=捨てると思っているようであれば、所有することが喜びを感じる世代は、一度手に入れたモノを手放すことは、大きな不安を感じます。

また、片づけるということは「変化」です。親世代は、不便なことを多少は感じつつも、長年積み重ねてきた生活習慣があり、散らかった部屋やため込んだモノも風景化しています。

捨てるかどうかを考えるという普段なかなかしないことをしたり、モノが減り、モノが移動し、新しい収納道具に変わるということは、子世代にしてみたら快適に感じる前向きな変化かもしれませんが、親世代にとってはその変化を不安に感じたり億劫に感じる人が多いのです。

そこで、今日は実家の片づけでまずはじめにする3つのことを紹介します。

その1、自分が実家を物置にしていないか?

実家の片づけとなると、気になるのがリビングやキッチンに溢れたモノかもしれません。でも忘れがちなのが、子どもである自分が実家に残してきたモノが実家を占領していないかということです。

写真や卒業アルバム程度なら実家に置いたままでもよいですが、昔着ていた服、捨てようか悩んで決断できずにいたモノ、引っ越し先に入らなかったからとりあえず実家に置いたモノなど親が要不要を判断できないモノに関しては「お母さん、片づけたら?」と言う前にまず自分がどうするか考えないといけません。

実際に60代や70代の方と話していたら、

・子どもが残したモノをどうにかしたいけど、勝手に判断できないから困ってい
・捨てないでと言われているけど、あまりにも量が多すぎて邪魔になっている
・子どものモノを片づけて、自分の趣味の部屋として使いたいのにそれができない

という声を聞きました。

家は家族のライフステージの変化により、使い方が変わっていくものです。

いくら子どもの頃の思い出が詰まった家であっても、今の実家は親が生活をするところ。親にこれからの人生をもっと楽しんでほしいと思うのであれば、自分のモノが邪魔になっていないか確認する必要がありそうです。

その2、親にとって危険な場所・モノから

親と離れて暮らしていると、地震、台風などの自然災害、そして家の中での転倒などによるケガなど心配なことがたくさんあります。

親が家の中でつまずかないように。バリアフリーにしたり手すりを付けるなどの対策を講じていてもそれだけで安心とは全く言えません。

床にモノが落ちていれば、つまずく原因にもなるし高いところにモノが積まれていたら落ちてくる危険もあります。

ある日私が義母を訪ねたら、ちょうどこたつ布団をしまっているところでした。

様子を見ていると、1階のリビングで使うこたつの布団なのにこたつ布団を2階へしまおうとしているようです。

大きな布団を2階まで階段を上って持っていくなんて危険なことです。そんな危険なことに気づいたら声をかけるチャンスです。

1階で使うモノは1階に収納するのが一番ですが、話を聞いたら1階の押し入れはすでにモノがいっぱいだそうです。

そこで「2階へ持って上がるなんてそれはお母さんが大変だよ、1階のリビングの押入れを片づけたらきっとこたつ布団が入るよ」と声をかけ、1階の押し入れに入っているモノを一緒に見直すことができました。

また以前、地震のニュースを見た義母から「食器棚が倒れないようにするためには、どうすればいいか?」と質問をされたことがあります。

もちろん、様々な対策方法を伝えたうえで

まずは食器棚の上に置かれた明らかに何年も使っていないモノや食器棚の中身を見直した方がいい。そうすれば、古い大きな食器棚を不安を感じながら使い続けるのではなく背の低い引き出し式の食器棚に変えることもできるかも。そうしたら、食器も出し入れしやすいよ、と伝えました。

説得して片づける!というのは大変ですが、地震などの自然災害や体の衰えなどが話題になったタイミングで、

「地震の時にモノが落ちてきたら危ないから」「つまずいたら危ないから」「これじゃあ非常用持ち出し袋が取り出せないから」と言うように、親の安全を守るために改善が必要だと説明すると、やりやすくなるかもしれません。

その3、親が好きなモノ・好きなコト

義母とこたつ布団をしまうために、1階の押し入れを片づけようとしたとき、1階の押し入れには、たくさんの洋服が収納されていて、こたつ布団を収納するスペースはありませんでした。

しかし、もう着ていない洋服は捨てようという声かけでは嫌な顔をするでしょう。

親の片づけは、その人の好きなモノを選び残したり、もっと使いやすくしたり大切にすることを提案するのが効果的です。

義母は友達も多く外に出かけるのが大好きなので、私は「これからお友達とお出かけする時に着ていきたい服だけにしてみる?そうしたら、押し入れは少しスッキリしてこたつ布団もはいるよ」と声をかけ、

おいしかったお店の話、今度友達と見に行きたいお花の話をしながら、お出かけの時に着ていきたい服は必ず残し、ついでにため込んだハンガーも処分したら、押し入れにはこたつ布団が入るスペースを確保することができました。

好きなモノが残る喜びを感じることができると、片づけのモチベーションも続きます。

片づけをして欲しい子世代は、モノを捨てること、キレイにすることについつい目が行ってしまいますが、片づけは好きなモノや好きなコトを大切にすることです。

親とは普段なかなかゆっくり話す時間は取れないと思いますが、実家の片づけは、まず置いたままになっている自分のモノをどうにかし、親の安全を優先し、親の好きなモノやコトを通じ、今の親の生活の様子について知る機会として考えてはいかがでしょうか。

小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

片づけのプロとして活動を始めたのに、自分の家は「片づけても、また散らかってしまう」という矛盾に悩む。家が散らかってしまうことを隠そうとしていたが、「いつもキレイじゃなくてもいい。何かあったときにすぐに片づく家にしておけばいい」と開き直り新たなメソッドを確立。 いつもキレイにしなくちゃいけない、もっと頑張らなくちゃいけない、そんなプレッシャーから解放され、もっと自由に、その人らしく生きるお手伝いを「片づけ」を通して行っている。著書『片づけられない主婦と片づけ嫌いの子どもを180度変える本』(マガジンランド)

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