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ストレスが溜まった親は子どもにキレる準備ができている

親野智可等教育評論家
(写真:アフロ)

ストレスが溜まった親は子どもにキレる準備ができています。子どもは空気が読めないので、哀れにもその引き金を引いてしまいます。

水が低いところに向かうようにストレスは弱い相手に向かいます。親にとっては子どもです。

親が子どもを感情的に叱るとき、本当の原因は子どもではなく親の方にあります。その証拠に、子どもが同じことをしても親の機嫌がいいときは笑って許すことができたりします。

でも、こういう内面の事情を自覚している人は少ないと思います。多くの親はそれに気づかないか、あるいは気づいていても認めたくないかのどちらかです。そこで、「叱るのは子どものため」という錦の御旗を掲げてそれを正当化しようとします。

叱ることで、親はストレスという荷物を下ろし気持ちが軽くなります。でも、その荷物は子どもが背負うことになります。きょうだいや友達にぶつけるかもしれませんし、自分を攻撃するようになるかもしれません。

また、親への不信感がつのりますし自己肯定感も下がります。本当にいいことは一つもないのです。

メタ認知で自分の状況に気づく

こうならないために、親は自分の状況に気づいている必要があります。そこで大事なのがメタ認知です。「メタ」とは「高度の」という意味で、メタ認知というのはもう一人の自分が自分の感情・思考・行動などを客観的に認知して気づくことです。

例えば、「いま自分はストレスが溜まってイライラしてるな」「あ、いま自分は子どもの態度にイラッとしたな」「いま自分は夫のことがうらやましいと感じてるな」などと気づくことです。

「自分はイライラしてるな」とか「いまイラッとした」などと気づかないままだと、子どものしょうもない行動を見た瞬間に怒りに飲み込まれてキレてしまいます。気づいていれば、自然にブレーキがかかって飲み込まれなくなります。

気づきの度合いが高ければ高いほど飲み込まれなくなります。はっきり気づいている状態で怒りに飲み込まれるということは不可能です。

そもそも怒りというものは無意識な状態でのみ可能であり、意識の明かりが灯っている状態で怒ることはできないからです。

多すぎるタスクを断捨離しよう

もう一つ大事なのは、親がストレスを溜め込まないようにすることです。家事も仕事もそうですが、タスクが多すぎて忙しすぎるのはストレスの元です。

こういう例があります。Sさんは、夫の急な単身赴任で突然ワンオペ家事&育児が始まりました。そこで、「家事 時短 手抜き 効率化」などのキーワードを組み合わせて検索し、徹底的な家事の見直しを始めました。

その結果、洗濯物を全部たたむのと毎日掃除をするのをやめました。服・給食布巾・ハンカチはアイロンがけの要らない素材にしました。その他にも目から鱗の情報やライフハックを多数ゲットしました。

また、家事に対する無意識な思い込みや無用なこだわりで、余分な時間が取られていたことにも気づきました。それで完璧主義から脱却でき、子どもにもゆとりを持って接することができるようになったそうです。

みなさんも一度ゼロベースで見直してみてください。無意識な思い込みや無用なこだわりで、必要以上に大変になっているものがきっとあるはずです。

何でもかんでもがんばればいいというものではありません。時間もエネルギーも有限なのでいま本当に大事なものを優先しましょう。中でも、心にゆとりを持って子どもと楽しく過ごすことは最優先にしてほしいです。

もちろん、勤め人などの場合は自分の思うようにはいかないことも多いでしょう。それでも、こういう方向を意識して少しずつでも主体的に働き方改革をしていくことをお薦めします。子どもはあっという間に大きくなってしまうので。

疲れたら休もう。助っ人を頼んだり…

最後に一つ。子育てで疲れたらとにかく休むことが大事です。助っ人を頼んで子どもと離れる時間を持てるといいですね。誰かに愚痴を聞いてもらうのも大事です。一人で抱え込むのが一番よくありません。

国や自治体はもっと予算をつけて、そういう場所や人をしっかり確保すべきです。政治や行政には本気で子育て家庭の支援をしてほしいです。

ニュースを見ていると、「いったいどこにお金を使っているんですか?」と言いたくなることが多いです。大きなイベントや箱物建築には巨額の予算がつけられるのに、子育てや教育には出し渋りが目立ちます。子育て家庭に優しい社会を実現しないと少子化は加速するばかりです。

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教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。Instagram、Threads、Twitter、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」などで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、オンライン講演、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。Twitter、Instagram、YouTube、Blog、メルマガ、講演のお問い合わせなどについては「親力」で検索してHPから。

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