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地頭をよくすれば勉強もラクラク入るのに地頭をよくすることの大切さと方法を理解している親は非常に少ない

親野智可等教育評論家
(写真:アフロ)

あるママさんが「もうトーマスは卒業!トーマスなんてテストに出ないよ」と叱っていました。叱られていたのは小学校の低学年の子です。

親は勉強させたいのに、子どもは大好きなトーマスに熱中してばかりということなのだと思います。こういうことはよくあることで、子どもが熱中することは親から見ると大して価値のないものであることが多いです。

多くの親は「そんなものはテストに出ないし勉強の役にも立たない。成績が上がるわけでもないし将来のためになるわけでもない」と考えます。

そして、子どもが熱中していることをやめさせて、もっと意味のあることをやらせようとします。やめさせないまでも、応援しようという気にはなれないようです。

子どもが好きなことを応援しないのはもったいない

でも、実はこれは非常にもったいないことなのです。なぜなら、せっかく子どもがやる気になっているのに、わざわざそのやる気をくじいているのですから。

自分のやりたいことを見つけて熱中できるのは、とてもすばらしいことです。ぜひ、その熱中を応援して、もっと深められるように手伝ってあげてほしいと思います。

そうすれば、子どもは生活の中で幸せを感じる時間が増え、生きることの喜びを味わうことができます。

気持ちが満たされて穏やかな精神状態になり、兄弟や友達にも優しい気持ちで接することができるようになります。

自分が好きなことを応援してくれる親への感謝も生まれ、親に対する信頼が高まります。すると、親の言うことにも素直な気持ちで耳を傾けられるようになります。

好きなことに熱中するとよいことがたくさん起こる

好きなことに熱中して深掘りすることで、「○○については自信がある」と思えるレベルになります。

一つでもこう思えるものがあると、子どもは自分に自信が持てるようになり、自己肯定感も上がります。

これで生活全体に張り合いが出てきてますし、他の事でも頑張れそうな気がして、積極的なチャレンジ精神や向上心も育ちます。

好きなことに熱中することで、いま教育学や心理学の分野で注目されている非認知能力も高まります。

例えば、やりたいことを自分で見つけて自分でやっていける力、目標に向かって試行錯誤しながら粘り強く努力する力(グリッド)、忍耐力、行動力、臨機応変な対応力、感情コントロール力、思いやり、コミュニケーション力、協調性などです。

これらの非認知能力が高いと、将来的に学力も高くなり、さらには収入も上がることがわかっています。

また、脳科学によると、好きなことに熱中しているとき、脳の血流が大幅にアップして同時にドーパミンが大量に放出されているそうです。この状態で脳のシナプスがどんどん増殖します。

シナプスとは、脳の神経細胞(ニューロン)同士をつないで情報をやり取りする情報の交差点のようなものです。ですから、シナプスが増えることで脳の処理能力が上がります。

地頭をよくすれば勉強もラクラク

言い換えると脳の性能が上がるということで、当然、認識力、理解力、情報処理力、記憶力、想像力、創造力、表現力などが、ぐんぐん伸びます。パソコンでいえばCPUの性能がアップするということです。

地頭がいいというのはこういう状態のことです。地頭がよくなったところに、いわゆる勉強を入れればラクラク入っていきます。

私の経験では、世の中の親御さんたちは「勉強をやらせてテストの点を上げて成績を上げて…」ということには一生懸命ですが、地頭をよくすることの大切さとその方法を理解している人は非常に少ないようです。

最後にまとめです。子どもが好きなことに熱中している時間は、最高の脳力開発の時間です。ぜひ、それを応援してあげてください。

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教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOk』などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Instagram、Threads、Twitter、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。オンライン講演も可。お問い合わせは親野智可等の公式サイトから

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