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日本代表が挑むオーストラリア代表って、どんなチーム? 指揮官が歩み語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
選手層の拡大とゲームプランの浸透を目指すか。(写真:Shutterstock/アフロ)

 4年に1度のワールドカップ日本大会を2年後に控えるラグビー日本代表は11月4日、神奈川・日産スタジアムでオーストラリア代表と戦う。2日、対するオーストラリア代表は県内で練習。マイケル・チェイカヘッドコーチが会見した。

 2015年のワールドカップイングランド大会では準優勝に輝いた強豪。同大会で歴史的3勝を挙げた日本代表にとっても、大きな壁となって立ちふさがるだろう。当然というべきだが、チェイカも気を抜いていない。

 この日の指揮官は、アップダウンがあった今季のチームの歩み、日本代表戦の位置づけ、日本代表の警戒する選手などについて明かした。特に、夏から秋にかけチーム力を高めたプロセスは楕円球ファンにとって参考になりそうだ。

 以下、共同取材時の一問一答(編集箇所あり)。

――選手の疲労、コンディションをどう考慮したか。

「疲れはないと理解しています。多くの選手はバーバリアンズ戦(名手の選抜チームとの非テストマッチに31―28で勝利)に出場せず十分に休めたので。ただ、スクラムハーフのウィル・ゲニア、スタンドオフのバーナード・フォーリー、フルバックのカー・マイケルハントは怪我の治療などで選べませんが、元気な姿を見せています」

――リース・ホッジ選手が先発スタンドオフ。

「8月、スコッドに招集した時は10番(スタンドオフ)のバックアップという感じだったが、20歳以下代表でのプレーを見ていたら、ハイペースなプレーができていた。ここまではウイングを想定していたが、ずっとセカンドチームの10番としても機能していた。彼がどんなプレーをするか楽しみだし、本人も自信を持ってやってくれると思う。彼にとって、この試合はいい経験になると思う」

――2007年のワールドカップフランス大会で、日本代表はオーストラリア代表に3―91で敗戦。それ以降、いまの日本ラグビーはどれくらい成長したか。

「時間をかけ、大きな発展を遂げている。エディー・ジョーンズ、ジェイミー・ジョセフのもたらした結果でもあります。質の高いコーチングが日本に流入されていた。また、選手たちがヨーロッパ、スーパーラグビーなど、どんどん海外の舞台に立っているのも大きいと思います。スーパーラグビーに日本チームのサンウルブズができるなど、状況も整ってきた。また、代表資格を得た海外出身選手も色々なものをもたらしてくれると思います。すべてを踏まえると、日本代表は軽く観てはいけないチームだと思います。彼らのプレーはユニーク。独自のスタイルを持っています。普段と違うので、対処が難しい。我々はしっかり集中して丁寧にプレーしなくてはいけない。1点でも先行しながら、戦っていきたい」

――11月は以後ヨーロッパへ出向き、強豪のウェールズ代表、イングランド代表、スコットランド代表と戦います。このツアーにおける日本代表戦の位置づけは。

「最も大事な試合です。テストマッチでは、常に次の試合が一番、大事だからです。それは相手が誰であれそうです。今回は大会ではないので、ボーナスポイント(相手と3トライ差以上を突けて得られるリーグ戦での勝ち点)もない。改めて、目の前の試合が最も大事になる。また歴史的に見ても、今回はワラビーズが日本でやる初めての日本代表戦です。日本で、オーストラリアでこの試合を観る人に対し、ワラビーズがどんなラグビーをするのかを示すチャンスです」

――6月はスコットランド代表に敗れるなどしましたが、10月21日には世界ランク1位のニュージーランド代表に23―18で勝利しています。ここまでの今年の活動を振り返って。

「今年、我々はスロースタートでした。6月は、特にフィットネスでテストマッチのレベルにない部分がありました。また、今年はディフェンスシステムを新しくしていました。時間をかけてチームを調整しなくてはいけない部分がありました。ただ、ラグビーチャンピオンシップ(8月からの南半球4か国対抗戦)の初戦から、チームがどんどん良くなってきた(初戦はニュージーランド代表に敗れるも、後半に4トライを挙げるなどし34-54と打ち合った)。チーム間の絆、友情が強くなって、達成したい目標がクリアになった。2018年に繋がるレガシーを残せるようになってきました。そのため選手のしていることを満足して見ています、今回は新たな選手にとってチャンスでもあります。このスコッドでしっかりとしたプレーをして、レギュラーになれるようになって欲しい。2015年のワールドカップが終わって以降、25名の選手がワラビーズとしてデビューしました。今回も1人、デビューします。そうした選手たちがチームを高められるようになって欲しいです」

――今回の試合会場では、ワールドカップ日本大会の決勝があります。

「確かにそういった意味でも、有意義です。ただ試合をするだけでなく、環境を見て、感じられているのは大事。2年後の今日が決勝の日とも聞いています。その会場で実際にベストプレーをして、いい感覚を持っていければと思います」

――日本代表の現在の状態、警戒する選手は。

「素晴らしい選手がたくさんいる。スーパーラグビーの海外チームでプレーしたアマナキ・レレイ・マフィ、ツイ ヘンドリック(今回は選外)、田中史朗、堀江翔太、2015年にワラターズ監督として始動した松島幸太朗が私の記憶に残っています。実際に海外のスーパーラグビーを肌で感じた彼らは、素晴らしいです。さらに、アウトサイドバックスは(総じて)素晴らしい。サンウルブズのプレーを観ていると、攻撃的な選手が揃っているように映ります。危険です。さらに日本代表にはジョセフ、トニー・ブラウン、ジョン・プラムツリーといったトップクオリティのコーチも揃っています。土曜の試合では、日本にとって楽しみなこともたくさん待っていると思います」

 10月29日にバーバリアンズ戦に参加し、今月1日になってようやく来日。日本代表戦への準備時間は限られているだろうが、それでも具体的なプランを持って勝負に挑みそう。タフなレッスンが待ち受けていそうだ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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