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令和3年(2021年)正月は冬型の気圧配置が継続で全国的な寒さと新潟県中心の大雪

饒村曜気象予報士
平成3年(2021年)始まりの衛星画像(1月1日0時)

年末年始の寒気南下

 日本列島に南下する寒気の目安として、上空約5500mの気温が使われます。

 上空約5500mの気温が氷点下30度以下なら強い寒気、氷点下36度以下なら非常に強い寒気で大雪の可能性もあります。

 令和2年(2020年)の年末から南下している寒気は、今冬4波目ですが、北海道では、氷点下36度どころか、氷点下42度以下という、真冬でもなかなか出現しない強烈なものです。 

 このため、大晦日は、最低気温が氷点下となる冬日を観測した地点750地点と、気温を観測している920地点の82パーセントもありました(図1)。

図1 全国の冬日と真冬日の観測地点数(12月1日~31日)
図1 全国の冬日と真冬日の観測地点数(12月1日~31日)

 また、最高気温が氷点下という真冬日も385地点(42パーセント)もあり、日本列島が寒さに震える年末になりました。

 そして、北日本の日本海側や北陸だけでなく、山陰地方まで大雪となり、鳥取県大山では12月30~31日の2日間に104cmの降雪がありました。

 ただ、年が変わり、令和3年(2021年)になると、氷点下42度以下の強烈な寒気は北海道の東海上に去り、石川県能登半島付近まで南下していた氷点下36度以下という強い寒気も、秋田県付近まで北上しています(図2)。

図2 上空約5500mの気温分布(1月1日朝)
図2 上空約5500mの気温分布(1月1日朝)

 年末に西日本まで南下していた寒気は、年始は、北陸までの南下に変わり、地上天気図でも、北日本と北陸中心の冬型の気圧配置に変わる予想です(図3)。

図3 予想天気図(1月1日9時の予想)
図3 予想天気図(1月1日9時の予想)

 西日本は大陸から高気圧が張り出してきます。

大雪警報の可能性

 気象庁では、5日先までに大雪警報を発表する可能性を「高」「中」の2段階で示した早期注意情報を発表しています(図4)。

図4 大雪に関する早期注意情報(1月1日~4日)
図4 大雪に関する早期注意情報(1月1日~4日)

 これによると、1月1日は東北地方の日本海側から北陸地方、岐阜県などで大雪警報を発表する可能性が「中」または「高」となっています。

 また、2日は東北地方の日本海側から北陸で「中」、3日は北陸地方で「中」、4日は新潟県で「中」となっています。

 新潟県や福井県では正月三が日に150cm以上の降雪が予想されています(図5)。

図5 72時間予想降雪量(1月1日~3日)
図5 72時間予想降雪量(1月1日~3日)

 北陸地方は、大雪に警戒が必要ですが、中でも新潟県は正月明けの4日も大雪の可能性がありますので、油断できません。

地軸に対して斜めにあたる太陽

 地球は地軸を23.4度傾けながら、1年間かけて太陽のまわりを公転しています(図6)。

図6 地軸の傾き
図6 地軸の傾き

 太陽の光が斜めから入射する場合と、真上から入射する場合では、単位面積当たりの光の量が違うため、北半球は太陽の方に向いている夏至の頃に太陽の光(エネルギー)を一番多く受け取ります。

 これに対し、冬は斜めから太陽の光が入射しますので、受け取る太陽のエネルギーは一番少なくなります。

 気象衛星で夜明け頃の気象衛星「ひまわり」の画像をみると、このことがよくわかります。

 夏至の頃は、北半球に多くの光が降りそそぎ、春分の日と秋分の日は両半球に同程度に、冬至の頃は南半球に多くの光が降りそそいでいます(図7)。

図7 令和2年(2020年)の夜明け
図7 令和2年(2020年)の夜明け

 地軸が傾いていることにより、日本で一番早い初日の出は、離島や山頂を除くと、千葉県犬吠埼(いぬぼうさき)で、6時46分です。

 地軸が傾いている影響で、冬至の頃のように太陽の光が南東側からあたり、犬吠崎よりも東にある北海道の納沙布岬(のさっぷみさき)は、初日の出が少し遅れます(図8)。

図8 令和3年の夜明け(1月1日7時30分)
図8 令和3年の夜明け(1月1日7時30分)

 地球が暖まったり、冷えたりするには時間がかかりますので、北半球で気温が一番高くなるのは、光の量が一番多くなる夏至の頃から1か月ほどたった7月、気温が一番低くなるのは、光の量が一番少なくなる冬至から1~2か月ほどたった2月です。

寒い年末年始ですが、寒さの本番はこれからです

健康に留意し、春を待ちましょう

タイトル画像、図2、図4、図5、図8の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図7の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図3の出典:気象庁ホームページ。

図6の出典:饒村曜(平成27年(2015年))、天気と気象100ー一生付き合う自然現象を本格解説ー、オーム社。

【追加(1月1日8時30分)】

「図8 令和3年の夜明け(1月1日7時30分)」を追加しました。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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