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五月晴れが増えている

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
5月5日は全国の7割で晴天となった(千葉・鋸山,地球が丸く見える展望台)

今年の大型連休中(29日ー5日)の日照時間は東京で73時間半と過去最も多くなった。さらに、5月の日照時間は2013年以降、4年連続で200時間を超え、五月晴れの多さが目立つ。また、紫外線の非常に強い日も増加し、5月の晴天の良し悪しが浮き彫りになった。

過去、最も晴れた大型連休

5日(こどもの日)、全国の主要都市で最も晴れたのは静岡市です。日照時間は12時間54分でした。東京は11時間24分など全国の約7割で日照時間が6時間を超えました。

今年の連休は晴れの日が多いのか。4月29日から5月5日までの日照時間を東京を例に調べてみました。結果は73時間半で1960年以降で最も多くなりました。平均すると一日あたり10時間、今年の連休は前評判以上に、好天に恵まれています。

【東京】大型連休(4月29日-5月5日)の日照時間多い方ランキング
【東京】大型連休(4月29日-5月5日)の日照時間多い方ランキング

余談ですが、気象予報士になりたての時、まず初めに先輩に注意されるのは「いい天気(好天)」と言ってはいけないことです。

つい、晴れの天気をいい天気と言ってしまいますが、晴れの天気が良くて、雨の日が悪いとは一概に言えません。夏に暑さが厳しい時など、晴ればかりが続くと、たまには雨が降って欲しいと思うことがあります。気象庁の予報用語でも「意味がいろいろに解釈され誤解をまねきやすいので用いない」とあります。

今年の連休は特別なのでしょうか?

これは東京の5月の日照時間をグラフにしたものです。

【東京】5月の日照時間グラフ(1960年-2016年)
【東京】5月の日照時間グラフ(1960年-2016年)

1960年から2016年まで、年ごとの変化が大きいですが、5年間を平均(赤線)してみると、1980年代から2000年代にかけて減少し、最近は再び、増加に転じています。2013年以降、4年連続で5月の日照時間は200時間を超えていて、五月晴れが目立っています。

理由をひとことで言うと、雲に覆われやすいのか、そうではないのか。単純にみえるけれども、雲の量を見積もるのが難しい。雲は大気中のちりやほこりを核として成長します。この微細なちりやほこりが大気中にどのくらい漂っているのか、よくわからないのです。

五月晴れが増えると〇〇〇も増える

もうひとつ、5月になって感じることは日差しの強さ。晴れれば、当然、紫外線も強くなります。こちらはUVインデックス8以上の日数をつくば(茨城)の観測データを使ってグラフにしたものです。

UVインデックス8以上の日数(5月のつくば(茨城):2005年-2016年)
UVインデックス8以上の日数(5月のつくば(茨城):2005年-2016年)

最近、紫外線の非常に強い日が増えていることがわかります。

世界保健機関(WHO)によると、UVインデックス(UV指数)8以上の日は長袖シャツ、帽子、日焼け止めクリームなどの対策をしっかりする必要があるとされています。五月晴れが多くなったと喜んでばかりはいられないようです。

【参考資料】

気象庁,2016:日本におけるエーロゾルと地上放射の変動,気候変動監視レポート2015,65-67.

気象庁ホームページ:紫外線の経年変化

気象庁ホームページ:UVインデックスとは

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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