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ゲームを継続的に遊ぶ人 スマホゲームは減 家庭用ゲーム機は増 どうして?

河村鳴紘サブカル専門ライター
(提供:イメージマート)

 家庭用ゲーム機とPCでゲームを継続的に遊ぶことが増える一方で、スマートフォンとアーケードゲームでは減少したことが、ゲーム業界団体の「コンピュータエンターテインメント協会」が発行する書籍「2023CESA一般生活者調査報告書」(A4判、232ページ、6600円)で明らかになりました。

◇PCゲーム アーケードゲームを抜く

 スマートフォンでゲームを「現在も継続的に遊ぶ」と答えた人は、2017年には31.1%でしたが、2022年には28.9%と2.2ポイント減りました。一方、家庭用ゲーム機では15.7%(2017年)から17.2%(2022年)と1.5ポイント増えました。年ごとに激しく上下しているわけではなく、じわりじわりと変化しているのです。

 またPCでゲームを「現在も継続的に遊ぶ」と答えた人は、7.9%(2017年)から9.2%(2022年)に増加。アーケードゲームは10.0%(2017年)から9.0%(2022年)に減少。PCとアーケードゲームの順位が逆転する形となりました。

 家庭での保有率が高かった機器は、スマートフォンが97.0%で、個人保有も86.7%とトップ。続いてPCの82.4%(個人保有49.5%)、家庭用ゲーム機の52.7%(同25.8%)、タブレットの51.6%(同23.7%)でした。

◇スマホゲーム低迷の理由は…

 新型コロナウイルスによる巣ごもりがあったにもかかわらず、スマホゲームを「継続的に遊ぶ人」が減っているのはなぜでしょうか。

 ある業界関係者は「肌感覚だが、スマートフォンでゲームに接触する人は減っている。また(ビジネスで成果を上げるために課金を重視して)無理をしすぎた反動もあるのでは」と指摘しました。

 スマホゲームについて、企業は特に収益力の高さ(利用者の課金)を求める傾向にあり、ライバルゲームとの差別化のために、見た目で差別化できるグラフィックを強化するため、その結果高コスト体質になり、利益を圧迫する構図にあります。その結果、新しいアイデアを盛り込んだ斬新なゲームは収益の見通しが立てづらいため出しづらくなるわけです。家庭用ゲーム機のゲームでも、似たことが起こりました。

 そのうえスマホゲームは、継続的に遊ばれる特性があるため、売り上げのランキングも定番ソフトがずっと上位を占め、ランキングの流動性があまりありません。安定感と安心はありますが、マンネリともいえるわけで、それがデータに出ているとも言えます。

 また、ゲームのリッチ化に伴い、高性能でないスマートフォンでは、ゲームをスムーズに遊べなくなるケースがあり、それがスマホゲーム離れの理由の一つではないか……という見方をする関係者もいました。

◇物価高 ゲームに悪影響の予想も

 家庭用ゲーム機は、特定のゲームが爆発的に人気になったことも、後押しした……という意見がありました。

 PCゲームは、ソニーやマイクロソフトが自社の人気ソフトを、自社のゲーム機だけでなく、PCでも遊べるようにする戦略を取っていることもプラスに働いているという意見でほぼ一致。アーケードゲームは、高性能化した家庭用ゲーム機との差別化が難しく、苦境にありますが、その実情が反映された形となりました。PCゲームの伸びと、アーケードゲームの苦戦については「予想通り」というわけです。

 2022年から現在(2023年)は物価高の影響で、ゲームビジネスにも悪影響があるのでは……という予想もあります。スマホゲームで「継続的に遊ぶ」という人の減少は今後も続くのでしょうか。今後の動向も気になるところです。

 「CESA一般生活者調査報告書」は、ゲーム業界の分析をする「CESAゲーム白書」の基礎データをまとめたもので、調査自体は1996年から開始し、2004年から報告書という形で毎年発表しています(2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大のため調査を見送り)。従来は郵送方式でしたが、今回からウェブ調査に変更し、日本在住の3~79歳を対象に2520のサンプルから回答を得ました。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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