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年上のバツイチ子あり男性を希望。私では妊娠・出産を約束できないから~40歳からの婚活入門(33)~

大宮冬洋フリーライター
東京・九段下の蕎麦屋にて。理詰めで話す中嶋さんと飲み交わしました(筆者撮影)

 40代、独身。孤独を感じることもあるが、周囲を見渡してみると自分と同世代の独身者もいるし、子育てを終えて次の生活を模索し始めた人もいる。肩を寄せ合えるパートナーを探すことが広義の婚活だとしたら、何歳からだって遅くはない。本シリーズでは、現代に生きる独身の40代の実生活と心情を聞き取り、筆者の考えを添える。同じ40代として、残りの人生を充実したものにするために。

***中嶋香織さん(仮名、41歳)の話***

誰かの人生に責任を持ちたい。自分のためにお金を使っても楽しくありません

 サービス業界内で転職したばかりです。ヘッドハントという形で待遇が良くなったのはいいのですが、この業界で管理職をするのは大変だと感じています。明らかな嘘をついて会社を休む人がいたり、チームメンバー同士で悪口・陰口・告げ口をし合ったり……。

 部下の女性たちは私より年上ばかりなので、今さら性格は変わらないでしょう。せめて職場での振る舞い方を変えてほしいと思って努力しているところです。私は対お客さんのサービス内容を改善するために今の会社に来たので、本来の「仕事」がしたいのですが、しばらくは様子見です。

 プライベートでは去年からお付き合いしている人がいます。私より2歳年上のバツイチ子あり男性です。出会いはマッチングアプリで、30代後半になってから利用しています。ありがたいことに、顔写真を掲載すれば複数の男性からアプローチしてもらえるので、自分の条件に合った人を選ばせてもらっています。

 私の条件は、40歳以上のバツイチで、前の奥さんとの間に子どもがいる人。私の年齢では子どもを作ることを約束はできないからです。ときどき「円満離婚なので養育費は払っていません」なんてプロフィール欄でアピールしている人がいますが、むしろ引いてしまいます。養育費ぐらいはちゃんと払っている程度には誠実な人がいいです。

 昨年、その条件が揃った3人の男性と会い、今の彼とお付き合いを始めました。大恋愛でも「運命の人」でもありません。私は自分のことをちゃんと好きになってくれたら需要に応えたくなるタイプです。ただし、結婚する気が薄い人は困ります。婚活サイトなのに「いい人がいたら結婚したい」という男性がいますが、いい歳をしてそんな姿勢では「本当に結婚する気はない」と感じてしまいます。

こちらは瓶ビールを注文。お互いにほろ酔いで対話が続きます。(筆者撮影)
こちらは瓶ビールを注文。お互いにほろ酔いで対話が続きます。(筆者撮影)

 30歳のとき、結婚を視野に入れて付き合っていた同い年の彼氏がいました。私は地元にいて、彼は東京。月2回ぐらいのペースで会う遠距離恋愛です。友だちの友だちだったので信頼していたし、仕事に一生懸命なところは尊敬していました。でも、彼は将来的にも結婚を考えていなかったので、別れることにしました。

 私はなぜ結婚したいのか、ですか? 相手の人生に責任を持ちたいし、自分のためにお金を使っても楽しくないと感じるから。子どもは特に欲しいと思ったことはありません。

 恋愛のパターンは似ています。私は弁が立つので口喧嘩をすると必ず勝ってしまいます。だから、恋人とケンカしたことはありません。自分のことは自分でするし、わがままを言わず、あれこれと尽くしてあげます。自分でも頼りがいがある彼女だとは思いますよ。だから、「オレが女を守ってやる」タイプの男性は寄って来ません。私としても申し訳なくなってしまいます。

 そうすると「ほっとけない」タイプの男性と付き合うことが多くなり、結果として男性をダメにしています。彼らにはもともとダメ要素があるのかもしれませんが、私が作り出している面もあると思うので、今後は気をつけたいです。

 今の彼氏とは毎週末に会っています。「これはないよね」といった価値観が合うし、お互いの仕事や趣味を尊重できています。11月に法事があるので、これを機会にお互いの親に会いに行こうか、と話しているところです。

***筆者より中嶋さんへ***

男性にとって「完璧な女性」とは「幼い頃の母親」に相当。ダメ男を作り出しかねません

 モデルのような色白美人の中嶋さん。マッチングアプリでの「引き」が強いのはうなずけます。40代にもなると婚活で苦戦する女性が多いのですが、中嶋さんには無縁の話のようです。アプリ全盛の時代、出会いの機会を広げるためには「見た目」の重要性がますます上がっているのを感じます。中嶋さんの場合は、写真と現実のギャップもないため、実際に会ったときにガッカリされることもないでしょう。

 一方で、中嶋さんは「男気」があり過ぎて、パートナーを不安にさせかねないとも思いました。「わがままを言ってはいけない」「ケンカで勝ってはいけない」「尽くしてあげなくちゃいけない」という気持ちが強く、相手の前で自分の弱さを見せられないのではないでしょうか。誤解を恐れずに言えば、男性にとってそのような「完璧な女性」は「幼い頃の母親」に相当します。甘え放題、やりたい放題になってしまいがちです。支え合うパートナーではなくなってしまいます。

 結婚は国民の義務ではありません。誰かと一緒に暮らして、家族を形成したい人だけが選び取る「幸福への手段」の一つです。彼の前では、仕事の愚痴を言ったり、ケンカはしなくてもちょっと不機嫌になったり、ダラダラできるようになるといいですね。普段は頼もしいのにときどき弱くなっている中嶋さんを目の当たりにして、彼のほうは「僕は大人だ。しっかりしなくちゃ」という自覚を持ち続けられるはずです。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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