地元のラーメン好きな人は無意識に“長浜ラーメン”を想起する看板〈博多の路地裏に佇む新感覚ラーメン店〉
福岡県福岡市博多区の住吉。「住吉通り」という大きな通りから一つ路地裏に入った住宅や商店が混在する場所に、今年(2024年4月)新規開業したばかりの〈ラーメン一二三(ひふみ)〉が存在する。すぐ近くの住吉通りを挟んだ斜向かいには有名な『筑前國一之宮 住吉神社』がある。
店舗の頭上には、店名の入った大きな看板があり、福岡・博多のラーメン好きの方々には馴染み深い、白地に赤と緑と黒のカラーリングが無意識に「長浜ラーメン」と「早朝」を想い起こす。新しいお店ではあるものの、どことなく懐かしさも感じられる外観になっている。
豚骨ラーメンの経験も生かした醤油ラーメン
ご主人は、六本松で長く営業され惜しまれつつ閉店した地元民御用達の豚骨ラーメン店「ラーメンしんちゃん」のご出身。美味しい「豚骨ラーメン」と「どにんにく焼めし」が名物のお店で、自身も何度となく訪れた記憶がある。そんな流れから〈ラーメン一二三〉のラーメンは、当時のご経験も生かした「豚骨ラーメン」の新店なのかと思いきや「醤油ラーメン」専門店。しかし、そのベースとなるスープは豚骨の清湯スープ。そこに、醤油系の特製だれ(カエシ)を加えた「醤油ラーメン」になっている。
また、醤油ラーメンでありながら、麺は中細のストレート麺を使用し、福岡・博多らしい「カタ・ふつう・やわ」などの麺の硬さを選ぶことができる博多のラーメンスタイルを踏襲。麺自体も、福岡県内でも最も人気のある博多ラーメンの名店が卸している製麺所の麺を使用していて、それだけでも必食の価値がある。
新たな「朝ラーメン文化」を発信し定着させる
全国的にみても「朝ラーメン」の根づいている地域が多く存在する中で、ここ福岡でも同じく終戦間もない昭和の時代から、魚市場や青果市場などで早朝から働く人々の胃袋を満たすために発展してきた「長浜ラーメン」を筆頭に(一部地域ではあるものの)長い歴史の中でその文化が根ざしてきた。
早朝6時から「醤油ラーメン」をいただく試み
今から3ヵ月ほど前の8月からスタートした〈ラーメン一二三〉の「朝ラーメン」は、早朝の6時にスタートし、14時半までの通し営業。この日は外がまだ暗い中、しかも雨模様という早朝6時過ぎ。早起きできたのでどこに行こうか思案しつつ、さほど遠くない距離の〈一二三〉に行こうと決め、車で住吉の現地まで移動。細い道が交差する路地裏ながら、お店の近くには有料の駐車場も多数あって安心。
開店後の6時半頃に到着すると、ちょうど先客のグループと入れ替わりで、L字型カウンターの入口付近の空席に腰を下ろす。注文はいつもの通りメニュー表の先頭にある「醤油ラーメン」と、トッピングの中から「生たまご」を選択。麺の硬さは「ふつう」で注文した。
でき上がるのを待つ間、先着で「生たまご」が配膳されるルーティン。殻を割ってセルフでの「黄身乗せ」の準備が終わったところで「醤油ラーメン」も配膳。
その一杯の見た目は“福岡ではめずらしい”漆黒の醤油スープ。その上に「もやし」の白と「ネギ」の緑、後乗せの「卵黄」の黄色、刻み「チャーシュー」の肌色という5色のコントラスト。
味わいは、福岡の中華そばや醤油ラーメンとは一線を画すキレと塩味がしっかりある濃厚なタイプの一杯。だけど後味のスッキリとした、風味豊かな個性的な醤油ラーメンになっている。
そのスープの色に染まり、しっかりと馴染んだ歯応えのある中細のストレート麺と、もやしのシャキシャキが相まって食感を楽しむこともできる。薄く細切れされた刻みチャーシューもスープとの相性抜群。途中から味変で卵黄をレンゲにすくい上げ、麺を絡めながらいただくと至福のひと時が訪れる。ごちそうさまでした。
定期的にインスタのフォロワー向けの「無料サービス」を実施していて、注文時か会計時にフォロー画面をご主人に見せると「たまご・ねぎ増し・もやし増し・替玉」のいずれかの中から1つ無料になるので、ぜひインスタをチェックしてお試しください。
最後に。豚骨のラーメンが苦手な方や、ひと味違った朝ラーメンを食べたい時は〈ラーメン一二三〉の「醤油ラーメン」とともに、福岡・博多らしい「替玉」も同時に、楽しんでみてはいかがでしょうか。
ラーメン一二三(ひふみ)
住所 :福岡県福岡市博多区住吉4-12-1[地図]
営業時間:06時00分~14時30分
定休日 :不定休
駐車場 :専用駐車場なし、近隣有料駐車場あり
要確認 :ラーメン一二三(※インスタグラム)