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熱帯擾乱”低圧部”は、お盆休みにかけて長期戦の様相も

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

低圧部はまず沖縄付近へ西進

天気図の変化(気象庁発表を筆者が加工)
天気図の変化(気象庁発表を筆者が加工)

小笠原付近を西進した低圧部は、きょう4日(日)午前6時の段階で、日本の南を時速20キロで、西南西へ進んでいます。今後もゆっくりと西寄りに進み、あす5日(月)午後9時には、沖縄付近へ進む予想となっています。その後は沖縄付近でほとんど停滞するような感じとなるため、この低圧部による影響は、お盆休みにかけて、かなりの長期戦となる可能性があります。

低圧部とは、周囲に比べ気圧が低く、雲の循環は認められるものの、その中心付近がハッキリとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心付近が解析されるようになると、熱帯低気圧に名前が変わります。熱帯低気圧の風が強まれば台風となります。

沖縄付近で停滞後、お盆休みに影響か?

雨の予想(筆者作成)
雨の予想(筆者作成)

沖縄付近に達したあとの低圧部の動向は、とても難しくなっています。上図はGSMによる計算結果で、今週ずっと沖縄付近に停滞したあと、お盆休みにかけて、西日本に弱まりながらも近づき、それとともに南の海上からの雨雲が本州付近に次々と流れ込むような計算となっています。ただ諸外国を含めて、低圧部の動向には様々な計算結果が生じています。

様々な計算結果がある低圧部の動向

アンサンブル予報の一部抜粋(ウェザーマップ)
アンサンブル予報の一部抜粋(ウェザーマップ)

上図は参考までに、日本のアンサンブル予報における12日(月)午後3時の計算結果の一部を抜粋したものです。50通りほど計算されますが、そのほとんどで低圧部や熱帯低気圧、あるいは台風とみられるような熱帯擾乱を予想しています。

ところが、その位置は様々で、中国大陸に近い所にあったり、本州付近に近い所にあったり、沖縄の南方にあったり、あるいは消滅しかけたりするようなものも見受けられる状態です。さらに諸外国の計算も同様にバラバラな状態ですが、上図左のように、本州付近に近づくほど、影響は大きくなる可能性があります。

お盆休みに傘マークが増加中

お盆休みにかけての天気(ウェザーマップ)
お盆休みにかけての天気(ウェザーマップ)

先述した通り、沖縄付近へ進んだあとの低圧部の動向はかなり不確実な状態ですが、お盆休みにかけて、暖湿流の影響が強まるなど、何かしら影響が出る計算が多く、関東以西の特に太平洋側に傘マークが増えてきています。今後も最新情報にご注意ください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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