杉並区、学校給食の無償化を「国立・私立・不登校」の小中学生に拡大へ
東京都杉並区は今年4月から、学校給食の無償化の対象を、国立や私立の学校に通う区内の小中学生に広げる方針だ。さらに、不登校の生徒にも、給食費に相当する給付金を支給する。2月9日から始まった区議会・第1回定例会に、必要な予算を盛り込んだ議案を提出した。
区立学校に加え、国立・私立の小中学生も支援
杉並区は昨年10月から、区立の小・中・特別支援学校に通う児童・生徒に対して、学校給食費を無償とする支援策を始めた。
しかし、区内に住んでいても国立や私立に通う小中学生は対象になっていなかったため、「無償化の範囲を拡大すべきだ」と要望する声があった。
2024年度の一般会計予算案では、総額約2229億円のうち、区立学校の給食費無償化を続ける費用として約19億円を計上。また、新たに国立や私立などの小中学生にも、給食費に相当する給付金を支給するため、約5億円を計上した。
不登校の児童・生徒も支給対象に含める
学校給食費の無償化は、岸本聡子区長が選挙のときに公約として掲げた施策だ。
ただ、「義務教育では、学校給食はすべて国の負担で無償化されるべき」というのが、岸本区長の持論。2月9日の議会では「区における実施は、国による必要な財源が確保されるまでの施策」と述べたうえで、国に対して必要な法改正や財政措置を求めていると説明した。
一方、不登校の児童・生徒については、白石高士教育長が同日の議会で「国立・私立などの給付金の支給対象に含めて支援していく」と明らかにした。
給食費の無償化に反対する議員も
区立学校の給食費無償化については、今年3月までの実施が昨秋の議会で承認されたが、「国立や私立の小中学生に支給されないのは不公平だ」などとして、反対する議員もいた。
※参考記事:学校給食費「無償化」実現するか? 賛否が拮抗「自民は反対、公明は賛成」杉並区議会
今回の第1回定例会では、無所属・都民ファーストの会の安斉昭議員が2月13日の代表質問で「学校給食費の無償化は、習い事や被服にかかる費用よりも優先度が低い」と述べ、給食費無償化の継続に否定的な姿勢を示した。
東京都では、他の区も学校給食費の無償化に踏み切る動きがあいついでいるが、杉並区の「国立・私立・不登校」も対象にするという拡充策が認められるのか。杉並区議会の動向に注目が集まる。