サンウルブズ齋藤直人、日本で試合ができずとも「うまくなりたい」を貫く。【ラグビー旬な一問一答】
国際リーグであるスーパーラグビーに日本から挑むサンウルブズは、3月6日、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のWINスタジアムでブランビーズとの第6節を14―47で落とした。試合後、スクラムハーフの齋藤直人が実感を明かした。
第6節は本来、8日に大阪・東大阪市花園ラグビー場で開催予定だった。コロナウイルス感染拡大防止の観点から開催する日時と会場が変わっていた。
前節まで1勝3敗だったサンウルブズは防御を徐々に改善も反則で自陣に押し込まれた後などに失点。大久保直弥ヘッドコーチは「1人のタックルミスに対してカバーできる力がうちにはない。ひとつのラインブレイクでチームのアタックするエナジーが失われてしまっている部分がある。システムを信じること、前に出ることにフォーカスしたいです」と話していた。
今季、早稲田大学の主将として大学日本一になった齋藤は、テンポのある球さばきとキック、パスの飛距離や精度に定評のあるスクラムハーフ。2018年には当時の学生で唯一の日本代表候補になっており、サンウルブズでは元南アフリカ代表のルディ・ペイジと定位置を争う。この日は後半21分、ペイジに代わって投入されていた。
以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
――3月のホームゲーム2試合が国外開催になったことについて(3月14日のクルセイダーズ戦も東京・秩父宮ラグビー場からブリスベン・サンコープスタジアムに会場変更)。もともと約2週間の予定だった海外遠征は最短で約6週間と延びました。
「ホームでやりたかったと言えばやりたかったですけど、そこまで自分的には試合に出たい。あまり気にしてはない。それに、(目にした)記事では『ワールドカップも決勝まで行けばそういう日程(約6週間)になる』と。直弥さん(大久保直弥ヘッドコーチ)からも『こういう厳しい時に強い奴は、怪我などでリタイアしないで最後までやり続けられる』と聞いたので、頑張っています」
――長くなった遠征。どんな生活を意識していますか。
「日常と違う生活になるけど、それにも適応する。今後もこういうことは――6週間はさすがにないにせよ――あると思うので。いまのところ、特に不自由なくやれています」
――他の選手のSNSを見る限り、外出先でもサラダ中心の食事を摂っていますね。
「できる限り、やっています」
――今日のゲーム。いいバッキングアップもあった。
「インパクトプレーヤーと言われているので、エナジーを。先発で出ている選手は疲れていると思うので、ラスト(約)20分、どんな形であれチームにエナジーを伝えられたらと思ってやりました」
――大久保ヘッドコーチからはどんな課題を示されていますか。
「敬介さん(沢木敬介コーチングコーディネーター)とよく話しますが、直弥さんにも『思い切りやれ』と常々、言われます。あとはやはり…各試合、全員、ミーティングをして、明確な課題を持って取り組んでいる。きょうはやはり(自分は)『フェーズのなかで目の前のスペースを見る』(がテーマだった)。実際、1か所、『(事前に前方を)見ておけば抜けたかもしれない』という場面があった。終わってしまったことですけど、これを次に活かさないと。同じことを繰り返さないように」
――密集脇から持ち出すプレーは、意識的にやっていたように映ります。
「そうですね。日々、ちょっとでもうまくなろうと思って、色々意識しているところです」
――いつ日本に帰れるか、わかりませんが。
「さっきも言ったように、試合に(集中する)。個人的にですけど、あまり気になっていないので。スケジュールに対応して、いかにうまくなるかを考えます」
――スーパーラグビー。何がタフで、何が楽しいですか。
「タフなのは、やはり移動やスケジュール変更も含めて予定通りにいかないこと。場所によっては、食事も違いますし。ただ、遠征は全部、楽しい。こんなに飛行機に乗るのも新鮮ですし、もっともっとうまくなりたい。試合をやるたびに、楽しいと感じます」
大久保ヘッドコーチは、「彼もペイジから学んでいる部分が物凄くある。ゲームコントロール、必要であれば自分から仕掛けること…。きょうも前が空いているのにパスをしたところがある。前をしっかり見ることも、ペイジから学べる」と話していた。
一方、若手には改善点を自分の心で自覚して欲しいとしていて、齋藤も「(事前に前方を)見ておけば抜けたかもしれない」を他者に言われる前に認識していた。環境が変わっても向上心を変えない。