知らないと損をする強迫性障害に「共通」する性格傾向について
こんにちは、精神科医しょうです。
「強迫性障害」と聞くとみなさんはどのような病気を思い浮かべるでしょうか?
「特定の行為を繰り返し行う」「良くない想像が頭の中に思い浮かぶ」「自分で決めた行いをしていないと気が済まない」など一般的に考えられている印象があるのではないかと思います。
強迫性障害とは頭の中に浮かぶイメージや考え方に強くとらわれてしまい、それを払拭するための行為を止められなくなってしまう恐ろしい病です。
症状がひどくなるとうつ病や摂食障害を併発したり、家から出られなくなったりすることもあるため、早期に医療機関を受診することが大切です。
また、症状がエスカレートすると本人だけではなく、家族や親しい間柄の人も巻き込み、関係性がこじれてしまうことも起こり得ます。
今回は、強迫性障害についての症状や原因、なりやすい人の共通点など理解を一緒に深めましょう。
強迫性障害とは?
強迫性障害とは「強迫観念」と「強迫行為」がともない、日常生活に支障をきたしてしまう疾患です。
「強迫観念」「強迫行為」に関して聞き慣れない方も多いかと思いますので、解説したいと思います。
・「強迫観念」
手が汚れているのではないかと気になって仕方がなかったり、家の鍵を閉めたかどうか心配で仕方がなくなったりなど、動揺を誘発する思考を振り払えず、常に強い不安や恐怖心を抱いている状態です。
・「強迫行為」
たとえば何かの数を数えたり、何かを繰り返し洗ったり、特別な方法で物を並べたり、ある言葉を繰り返しつぶやいたりなど、強迫観念を打ち消すために行う行為のことです。
強迫性障害を患うと表れる症状とは?
強迫性障害の基本的な症状は下以下に記した通りです。
・特定の考えやイメージが頭からはなれない(強迫観念)
・不安を打ち消すための行為を繰り返してしまう(強迫行為)
強迫性障害を患った人は、思い浮かぶ考えやイメージが不合理だと分かっていても頭の中から払拭できません。
また、その不安に駆られたり、打ち消したりするために無意味でやり過ぎだと分かっている行為を止めることができません。
強迫性障害の原因とは?
強迫性障害の発症原因は、性格や気質、生育歴、ストレス、遺伝などさまざまな要因が関係していると言われていますが、はっきりとは分かっていません。
しかし、多くの病の発症要因と同様に、本人の性格やストレスが影響しているものと考えられています。
強迫性障害の原因と考えられているものを以下にあげておきます。
・性格や気質
・生い立ち
・ストレス過多
・遺伝
・環境
強迫性障害を患いやすい人の共通点とは?
強迫性障害は男性よりも女性の方がわずかに多く見られ、日本の精神科外来では約4%前後の患者さんが診断を受けるとの報告があるようです。
なかには性格の問題だと思って医療機関を受診しなかったり、精神科や心療内科を受診することにためらいを感じたりすることで、生きづらさを抱えながら生活している方もいるのではないかと思います。
また、発達障害を持つ患者さんの場合は、もともとのこだわりの強さや社会適応が上手くいかないことが原因となり、強いストレスを感じ強迫症状を強めてしまうこともあります。
このように強迫性障害の発症には、さまざまな状況や立場が影響するものと考えられますが、特になりやすい人の共通点についていくつかあげてみたいと思います。
・几帳面で神経質な人
・完璧主義な人
・融通が利かず、こだわりが強い人
・自己肯定感が低い人
・ストレス過多の生活を送っている人
いかがでしょうか。
繊細な気質を持つHSPにも当てはまるものがあるかもしれません。
自分なりのこだわりを持って生きていくことは、自己肯定感を高めるためにもとても大切ですが、時には融通を利かしてバランスを保ちながら自分を追い詰めないようにしたいですね。
自分が強迫性障害かも!?と感じたら
もし、今回紹介した強迫性障害と思しき症状に思い当たる場合は、すぐに近くの精神科、心療内科で相談をしてください。
もちろん、かかりつけ医があるようであれば、まずはそちらを受診するのも良いでしょう。
一見すると強迫性障害と思える症状でも別の病かもしれませんが、大きな病を併発している可能性も考えられます。
できるだけ早く医師の指示を仰ぐようにしましょう。
まとめ
今回は強迫性障害についての症状と原因、発症しやすい人の共通点について取り上げてみました。
強迫性障害を発症すると、自分ではどうすることもでない強迫観念と強迫行為を繰り返すことで、心身ともに追い込まれてしまいます。
また、周囲を巻き込み関係がこじれてしまうことにもつながる恐れがありますので、気になる症状がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
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