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200年に一人の天才ボクサーが語る「村田諒太、勝利の鍵」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
前回の反省を活かせ! 村田諒太!! 撮影:山口裕朗

 現役時代、所属していた協栄ジム会長、故金平正紀に「具志堅用高を超える逸材。200年に1人の天才」と絶賛された元WBAジュニアウエルター級1位、日本同級&日本ウエルター級王者の亀田昭雄。

 本シリーズでお馴染みの彼に、ロブ・ブラントとのリターンマッチに挑む村田諒太について訊いた。

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指名挑戦者として、当時のPFP、アーロン・プライアーに挑んだ亀田昭雄 撮影:著者
指名挑戦者として、当時のPFP、アーロン・プライアーに挑んだ亀田昭雄 撮影:著者

 村田諒太とロブ・ブラントとの再戦が7月12日に決まりましたね。ブラントは村田からベルトを奪った後、2月15日に初防衛を飾り、余裕を持っていることでしょう。第11ラウンドという終盤に相手を仕留めたことも大きいですね。

 村田については、10月20日に勝利した“いいイメージ”を感じながらの対戦になる筈です。つまり、ブラントは揺るぎない自信を持ち、前回と同じスタイルで戦うことが予想されます。遠目からジャブを出し、グローブを叩きながらリズムを取っていく、あのスタイルですね。

 

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 村田にとっては、そこがチャンスなんです。ボクシングというのは、考え方ひとつでいくらでも変われます。特に村田は頭のいい選手ですから、10月20日の彼と全く違う姿を見せれば、ブラントが困惑して、ペースを握ることができますよ。

 僕が考えるキーポイントは、村田がいかにブラントのジャブを殺すかです。

 ブラントは、村田の方が自分よりもパンチ力で優っていることを自覚しています。つまり、村田の右を警戒している。また、恐怖心も感じている筈。だから、あまり近付き過ぎずに、浅く、浅く、ジャブを放つんです。

 10月20日の村田は、固いガードでブラントのジャブをブロックしていました。でも、ブロックだけでは、またブラントを勢い付かせてしまいます。なので、このリターンマッチにおいては、ブロックではなく、ブラントのジャブをパリングで外してほしい。ジャブをパリングすれば、ブラントの右ストレートも封じることができます。左が当たらなければ、右もクリーンヒットしないものです。ジャブを殺せば、連打を浴びることもなくなっていくんです。

 ブラントのジャブをパリングして、リターンジャブ。そして村田の代名詞である右ストレートと繋げていけば、大いにチャンスがあると僕は見ています。

 もう1点、挑戦者となった村田は、より積極性を見せるために、腰を3~5センチ低くするといいですね。

 ブラントが前回と同じように小刻みにジャブを打ってくるのは間違いありません。その際、標的が思ったよりも低ければ、重圧を感じますし、さらに村田の右を喰わないようにと考えるでしょう。

 3~5センチの差で、村田が目にするリング上の景色は変わって来ますよ。

 繰り返しになりますが、村田はスマートな男です。前回の反省を活かして、チャンピオンに返り咲いてほしいですね。頑張ってもらいたい。応援しています。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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