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強打の捕手がシーズン初出場へ。クラーケンがビッグ・アップルに戻ってくる

宇根夏樹ベースボール・ライター
ゲリー・サンチェス Sep 29, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ゲリー・サンチェス(ニューヨーク・メッツ)は、もうすぐ、メジャーリーグ9年目のスタートを切る。5月19日、前日にSNY(スポーツネット・ニューヨーク)のアンディ・マルティノが報じていたとおり、メッツはサンチェスをAAAから昇格させた。

 サンチェスを40人ロースターに加えるため、10日間の故障者リストに入っていたティム・ロカストロを60日間の故障者リストへ移し、26人のアクティブ・ロースターからは、マイケル・ペレスをAAA降格とした。

 サンチェスは、30歳の捕手だ。ニューヨーク・ヤンキースでは、2017年と2019年に30本以上のホームランを打ち、2019年の夏には、史上2番目に少ない出場試合で100本塁打に到達した(現時点では史上3番目)。そのパワーから、「クラ-ケン」のニックネームを持つ。

 メッツに入団するまでの経緯については、以下の記事で書いたとおりだ。

「シーズン30本塁打以上が2度ある、30歳の捕手が売れ残り中。DHとしての需要もないのか」

「この強打の捕手をエンジェルスは手に入れるのか。オホッピーを欠き、スタッシの復帰時期は不明」

「この捕手のエンジェルス入団が現実味を帯びてきた!? 捕手2人の一方が首に張りを訴え…」

「強打の捕手はエンジェルスではなくメッツと契約。同じ日、エンジェルスの捕手は故障者リスト入り」

 FAのまま、今シーズンの開幕を迎えたサンチェスは、先月1日にサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナーリーグ契約を交わした。ジャイアンツ傘下のAAAでは、16試合で打率.164と出塁率.319、0本塁打。メジャーリーグに昇格することなく、今月2日、契約についていたオプト・アウトの権利を行使した。こちらもマイナーリーグ契約でメッツに入団したのは、ジャイアンツ退団の1週間後だ。

 メッツ傘下のAAAでは、8試合で打率.308と出塁率.514、1本塁打を記録している。マルティノによると、メッツとの契約にもオプト・アウトの権利がついていて、5月20日を迎える前に昇格していない場合、サンチェスは退団を選択することができたという。

 メッツは、開幕当初の捕手2人、オマー・ナルバイエズトマス・ニドをどちらも欠いている。ナルバイエズは、開幕直後に左のふくらはぎを痛めて離脱。ニドは、ドライアイにより、今月10日に――7日まで遡って――故障者リストに入った。

 ルーキーのフランシスコ・アルバレスは、トップ・プロスペクトと目されていたが、今シーズンはここまで、26試合で打率.218と出塁率.274、4本塁打だ。また、ニドの離脱に伴って昇格し、サンチェスと入れ替わりに降格したペレスは、2試合で7打数4安打ながら、昨シーズンまでの通算5シーズンは、199試合で打率.174と出塁率.245、15本塁打に過ぎない。

 他のポジションの選手も、16本塁打とOPS.872のピート・アロンゾを除くと、7本塁打以上もOPS.800以上も皆無だ。サンチェスは、捕手としてアルバレスと併用されるよりも、DH出場のほうが多くなると思われる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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