東芝経営陣の「予算達成」圧力は本当に問題なのか?
東芝は先日、「不適切会計」の問題を深刻に受け止め、社外取締役を現在の4人から7人に増やすと発表しました。9月に発足する新体制は、取締役の過半数を社外から起用するとのこと。果たしてこの陣容で問題は収束していくのでしょうか。
そもそも問題の発端は、東芝経営陣の強烈な「予算達成」圧力に起因します。この執念の大きさが歪みに繋がり、「(会計処理を)工夫しろ」という言葉に繋がったのだと推測します。
しかし元来、経営者が企業の予算計画達成に執念を燃やすのは常識であり、そうでなければ経営者が務まるはずがありません。執行した「策」は間違っていたわけですが、その「姿勢」に問題があったわけではありません。経営陣の圧力を受け止め、予算達成のための戦略やアクションプランを立案するのが上級管理者の役割です。さらに、これらの戦略を行動プロセスに分解し、正しくマネジメントサイクルをまわすことが、現場に近い中級管理者の役割。
もしも経営陣と同じように、上級管理者も、ただ「結果を出せ」と下に圧力をかけ続けたのであれば、さらに中級管理者も、ただ「結果を出せ」と部下に連呼しただけであれば、組織が機能していなかったと言えます。
中間のマネジメント層が機能不全に陥っているのであれば、経営陣の体制が一新しても東芝の予算計画は達成できないことでしょう。不正を見張る意味合いでの企業統治は実現しても、肝心な業績回復の道は遠のいていくと思います。「ブレーキ」の性能がアップしても「アクセル」を踏む人がいなくなれば、企業は前に進むことができないからです。