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挑戦者として、明日リングに上がるテレンス・クロフォード

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Esther Lin/SHOWTIME

 WBA/WBC(休養)/WBOウエルター級チャンピオンで、パウンド・フォー・パウンドKINGとされるテレンス・クロフォードが、明日、挑戦者としてリングに上がる。

 相手はWBAスーパーウエルター級王者のイスラエル・マドリモフ(29)。目下、10勝(7KO)1分のウズベキスタン人選手にとっては初防衛戦だ。マドリモフが勝利すれば、一気にスターダムに躍り出る。36歳のパウンド・フォー・パウンドKINGを、食うために、あらゆる手を尽くして向かって行くだろう。

 が、チャンピオンでありながらも咬ませ犬感が拭えない。

Esther Lin/SHOWTIME
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 エロール・スペンス・ジュニアに圧巻の9回KO勝ちを収めたファイトの最中、クロフォードはリングサイドで観戦していたジャーメル・チャーロを執拗に挑発した。つまり、昨年7月末の時点で、154パウンドに上げる心づもりだったのだ。もし、スペンスとのリターンマッチが組まれても、スーパーウエルターで、となった筈だ。

 「クロフォードが勝てば、サウル・カネロ・アルバレス戦が決まるか?」などと主張する気の早い米メディアもある。

Esther Lin/SHOWTIME
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 そのカネロは、クロフォードとのスーパーファイトに応じる意思があるかどうか、という質問についてNOと答え、過去に小柄な選手と対戦したクロフォードを批判していた。だが、現在のカネロは「ギャラが適切なら喜んで」と、態度を改めている。昨年9月に2階級下のジャーメル・チャーロを相手にしたことからも、カネになる選手となら、3冠スーパーミドル級チャンピオンは嬉々として契約書にサインする。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 クロフォード側は対戦を望んでおり、かつ、サウジアラビア総合娯楽局の会長であるトゥルキ・アラルシクも開催に乗り気だ。アラルシクは、12月か来年1月のクロフォード戦に向け、カネロに高額のオファーを出し、仲介者なしで交渉すると述べた。アラルシクなら、統一スーパーミドル級王者が語った「適切な金額」を用意することは、十分可能だ。

 36歳のクロフォードを、「ピークを過ぎた」と論じるボクシングジャーナリストの声も聞かれる。<稼げるうちに、マックスまで稼ぐ>のは、ファイターに共通した思いだ。ただ、両者のサイズ差が気になる……。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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