「おじいちゃん政党」に逆戻りした自民党には所得税減税は無理?【追記アリ】
政府が取りまとめるとされている経済対策に対する自民党の提言案には所得税減税の文字はないそうです。
・新たな経済対策 自民の提言案 所得税の減税には触れず(NHK 2023年10月16日)
しかし、先日、自民党内からは所得税減税を求める声も上がっていたように記憶しています。
・自民 世耕氏 “税収増を還元 法人税や所得税の減税が有効”(NHK 2023年10月10日)
一時的に、重い税・社会保険料負担にあえぐ現役世代からは期待の声も上がっていただけに、失望は大きいでしょう。
なぜ、所得税減税は実現しないのでしょうか?
総務省統計局「家計調査」により、年齢別に所得税の負担割合を機械的に計算した結果が下のグラフです。
この機械的な試算結果によれば、64歳以下の現役世代は所得税の実に95.4%を負担する一方、65歳以上の高齢世代は4.6%を負担するに過ぎません。
つまり、所得税減税を実施したところで自民党がお得意様とする高齢世代には全くと言っていいほど恩恵がないことが分かります。
・おじいちゃんが支える岸田文雄政権 若者、女性の支持低く 世論調査が示す実態【解説委員室から】(時事通信 2023年10月16日)
安倍元総理が新規開拓(「安倍元総理の遺産である若者の支持を失いつつある岸田自民党」)し、菅前総理が維持した若者票を手放し、高齢者票を頼みとする安倍以前の自民党に復古した岸田自民党にあっては、高齢世代に恩恵がない所得税減税は採用する価値がないということなのでしょう。
---------追加 2023年10月17日16時15分----------
なお、社会保険料負担についても、総務省統計局「家計調査」により、年齢別に社会保険料の負担割合を機械的に計算してみました。
社会保険料の場合、介護保険料がありますので、所得税よりは高齢世代の負担が大きくなっていますが、それでも93.8%が現役世代の負担であり、高齢世代の負担は6.2%に過ぎません。
所得税と並んで、いや、所得税以上に社会保険料の減税を求める声も現役世代から根強く聞かれますが、こちらも所得税減税同様、高齢世代にメリットはほとんどありませんから実現はかなり厳しそうです。