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「フライ級でケンシロウにリベンジしたい!」と語るWBA7位が来日

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:筆者

 4月8日、寺地拳四朗の持つWBA/WBCライトフライ級タイトルに挑み、9回TKOで敗れたアンソニー・オラスクアガ。現在もWBA同級7位にランクされているが、本来はフライ級の選手だ。

 寺地の対戦相手が病気でキャンセルとなった為、1階級下げて急遽代役を務めることとなった。正式に決まったのは、試合の2週間前だった。

 来る9月18日に、有明アリーナのリングに上がるオラスクアガは言った。

 「直前の話だったけれど、タイトルマッチだからチャンスだった。断る理由なんか無いから、即、受けたよ。でも、ライトフライは減量がキツかったね…。是非、112パウンド(フライ級)でケンシロウと再戦したい。勝つ自信はある」

撮影:筆者
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 1999年1月1日生まれのオラスクアガは、LAのメキシカンコミュニティーで育った。3人の姉に次いで生まれた5人きょうだいの下から2番目。弟がいる。

 「すごく危険なエリアで育ったよ。父は建設労働者、母はレストランで働いていた。自分を守らなきゃならない環境で生きていた。僕の親友が(トレーナーの)ルディ・ヘルナンデスの息子で、何となくボクシングに近づいて行った。

 ちょっとボクシングを齧ったところで、ジュント(WBOスーパーフライ級王者の中谷潤人)とスパーをやって、ボディで倒された。それで本気になったんだよ(笑)。元々運動神経には自信があったし、『やってやるぜって』さ。当時、僕は15歳だった。

 2020年の東京オリンピックを目指していたんだけれど、体調を崩して代表選考会に出られなくなってしまった。それでプロに転向した」

撮影:筆者 オラスクアガはピンクが好きだ
撮影:筆者 オラスクアガはピンクが好きだ

 2020年9月のプロデビュー以降、5戦全勝3KOで次戦を見据えていた頃、寺地拳四朗戦の話が舞い込む。

 「6戦目は、114パウンドで話が進んでいた。既に体を絞り始めてはいたんだけど、120~122パウンドくらいあった。108パウンドにするために、サウナスーツを着て走ってジムワークでも厚着して…どう戦うかよりも、体重を落とすことが課題だったね」

撮影:筆者
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 寺地戦のオラスクアガは、初回から左右のストレートをヒットし、2回には右フック、3回序盤には左ボディ、左フックのコンビネーションで2冠王者を追い込んでいった。だが、同ラウンドにカウンターの左フックを浴び、徐々にペースダウンする。終盤には足が揃ったところに右ボディーを食い、キャンバスに手をつくようにダウン。ライトフライ級での調整不足は明らかだった。

 「中谷潤人に倒されてスイッチが入った」挑戦者は、ここから本領を発揮する。打たれても怯まず、手を出した。消耗しながらも、7回には猛然と打って出る。そして右アッパーで寺地の躰を突き上げた。8回終盤にも左フックで王者の顔を歪める。

撮影:筆者
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 第9ラウンド、チャンピオンの連打に沈んだオラスクアガだったが、記者席では「きちんとした調整期間があれば、どちらが勝ったか分からない」「たった5戦のキャリアで、このレベルとは驚き。まだまだ伸びそう」等の声が上がっていた。

撮影:筆者
撮影:筆者

 「ケンシロウとは5年ほど前に、LAでスパーリングをやったことがあるんだ。僕が18歳の時だった。激しく打ち合い、感触が良かった。いい選手だよね。ただ、試合の方がプレッシャーも強かったし、速かった。

 彼は108パウンドの、他のベルトも狙っているんだよね。統一戦を実現させるためにも、周到な準備をしたんだろう。ただ、繰り返すが、フライ級でリマッチがやりたい。結果を出せると思うんだ」

撮影:筆者
撮影:筆者

 オラスクアガは9月4日着の便で、日本に降り立つ。まだまだ伸びそうな24歳。18日の有明では、どんなファイトを見せるか。期待を込めて見届けたい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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