ミシュラン2つ星「ドミニク・ブシェ トーキョー」が銀座に再び
再び銀座にグランドオープン
ドミニク・ブシェ トーキョー(DOMINIOUE BOUCHET Tokyo)が「銀座の美しい“隠れ家”レストラン」をコンセプトに掲げ、2015年7月27日にグランドオープンしました。
ドミニク・ブシェ トーキョーといえば、2013年9月4日銀座にグランドオープンしたかと思えば、その2ヶ月後となる11月に発行されたミシュランガイドで彗星の如く2つ星を獲得したフランス料理店です。
ドミニク・ブシェ氏はミシュランガイド2つ星「ジャマン」でシェフ、ミシュランガイド3つ星「トウール・ダルジャン」で総料理長、ミシュランガイド2つ星「ホテル・ド・クリヨン」で総料理長を務めるなどした後、パリ8区に自身がオーナーとなる「ドミニク・ブシェ」をオープンするやいなやミシュランガイドで1つ星を獲得した、輝かしい実績を誇る料理人なのです。
それだけに、2013年日本にドミニク・ブシェ トーキョーをオープンし、星を獲得した後も、引き続き関心がもたれていました。
しかし、さらなる発展のためということで、僅か1年と数ヶ月を過ぎた2014年12月にクローズしたために、この後はどうするのかと耳目を集めていました。グランドオープンの数日前からメディア向けのレセプションを行っており、徐々にその全貌が明らかになっています。
銀座に再びオープンしたドミニク・ブシェ トーキョーのどこに注目すればよいでしょうか。
グランドオープン前
まずはこのグランドオープンする前について整理してみます。
以前は銀座5丁目のビルに入居しており、地下1階と地下2階を占有していました。地下1階はカフェやウェイティングスペースとなっており、地下2階がメインダイニングとなっていました。地下2階のメインダイニングでしっかりとしたフルコースを提供する一方で、地下1階のカフェでは手頃なランチメニューやタパスを提供するなど、幅広い層に受け入れられるようにしていました。
料理は、2000年に放送されたフジテレビ「料理の鉄人」の出場時に絶賛され、多くの日本人の記憶に残っている牛テールの赤ワイン煮込み「ミレニアムカップ」を主軸に据えるなどし、話題性も十分にありました。加えて、私が以前ドミニク氏にインタビューした時にも語っていた「温故知新」を大切な柱とし、そのため、本格的なフランス料理でありながらも親しみ易いものになっていたように思います。
グランドオープン後
今度は銀座1丁目にあるビルの2階を占有することとなりました。
テーマは「温故知新」と似ていますが、先人への敬意をこめて学びながら「過去」を受け継ぎ、 今のインスピレーションを乗せて「現在」の解釈へと高めるということで「継承(エリタージュ)」とし、さらにはフランス人にとって最も身近な継承の場である「アパルトマン」をコンセプトに掲げています。
アパルトマンは家族が代々いつくしんできた時計や宝石、あるいはアルバムと同様に、家庭の味、つまりフランスの味が受け継がれてきているとします。アパルトマンのプライベート感を形成するために、壁の間仕切りを動的に変更できるようにしています。
ガストロノミックなタイムトラベル
メニューは、カフェがなくなったこともあり、以前よりもシンプルになり、渾身のおすすめコース料理が中心となっています。さらには、ドミニク氏の故郷であるシャラント地方の食材を取り入れたり、「トウール・ダルジャン」や「ホテル・ド・クリヨン」時代の 料理にインスピレーションを得た復刻メニューが登場します。
年代物の料理を味わえる「ガストロノミックなタイムトラベル」を体験できるとしていますが、日本のフランス料理シーンにおいては、クラシックなフランス料理の需要は決して少なくありません。また以前に引き続き厚東創氏がシェフを務めるので、ドミニク氏の「エリタージュ・ガストロノミック」の考えは十分に表現できることでしょう。
ワインカーヴとプライベートダイニングルーム
他に注目するべきところは、レストラン中央に位置し、円柱を象る煉瓦作りのワインカーヴです。
このワインカーヴには冷蔵しているものを含めて全てで800本ものワインが蓄えられており、その真ん中にはテーブルが設けられ、アペリテイフや食後酒をはじめ、希望によっては食事も楽しめる空間になっています。ワイン好きに好まれそうな造りになっており、以前のカフェスペースに比べると、よりはっきりとしたコンセプトになっていると言えるでしょう。
プライベートダイニングルームを設けていることも見逃せません。これは単なる個室ではなく、キッチンが隣接しており、そこから料理を提供できるようになっています。町場のフランス料理店では珍しいことであると言えるでしょう。
注目するべきところ
ミシュランガイドは空間も重視するので、移転したり、改装したりした時には、その前後に関心が持たれます。例えば、最近話題となったフランス料理店には、同じく銀座に2013年リニューアルオープンしたロオジエ、2015年に移転リニューアルオープンしたフロリレージュがあり、ミシュランガイドで星がどうなるのかと多くの方が興味をもっていました。
ドミニク・ブシェ トーキョーの場合、不利と言われている地階にあったにも関わらず、リニューアル前にミシュランガイド2つ星を獲得したというだけあって、その星がどうなるのかと同じ以上に興味がもたれています。
他にも、ガストロノミックなタイムトラベルが現実的にどれくらい可能であるのか、「【クッキングコンテストの今】独学者 杉本敬三氏が優勝した「RED U-35」は何が新しいのか?」でもご紹介したように、近年において勢いのある料理コンクール「RED U-35」で勝ち進めているシェフの厚東氏がエリタージュ・ガストロノミックを通して、どこまで料理を進化させられるのかも楽しみです。
プライベートダイニングルームを使ったシェフズテーブルやクッキングクラス、さらにはエクスクルーシヴなワインカーヴでの食事など、従来のミシュランガイド星付きフランス料理店にはない試みも興味を引かれます。
美食の継承
メディア向けのレセプションでは、レイジースーザンが展開するイタレッセのリチャード・ユリーンオプティマムというシャンパーニュ用グラスが配られました。レイジースーザンは回転トレイを意味する言葉であり、「人から人へ、ひとつのギフトがつながる」という想いが込められています。
「ガストロノミー・エルミタージュ」をコンセプトにし、美食の継承、つまり、美食のつながりを大切にしたドミニク・ブシェ トーキョーがこれからどのようにして、ドミニク氏が第二の故郷と思慕する日本へフランス料理をつなげていくのか、注目するところはたくさんあります。
情報
詳しくは公式サイトをご確認ください。
参考
レストラン図鑑にもドミニク・ブシェ トーキョーが詳しく掲載されていますので、ご参考にどうぞ。
元記事
レストラン図鑑に元記事が掲載されています。