3ドア車?4ドア車?大阪環状線の「将来」を決める実験、実施中!
2014年2月17日から21日まで、JR大阪環状線である実験が行われている。それは、朝ラッシュ時に運用される車両のドア数を統一してみるというもの。通常、大阪環状線の列車は通勤車両と快速車両が混在して運用されており、1両あたりのドア数は前者が4つ、後者が3つとなっている。これを統一し、特定の時間を3ドア車のみという状況にして、列車や駅の混み具合を調査しようというのだ。
実験初日となった2月17日。この日は、大阪駅を7時46分から8時11分までの間に発車する合計8本の列車が、すべて3ドア車で運行された。JR西日本によると、本来であれば8本中4本が4ドア車での運行とのこと。ドア数が少ないと乗降にかかる時間が変わるほか、4ドア車はロングシート、3ドア車はクロスシートと座席や通路幅も違うため、そのあたりの影響も調査しているようだ。大阪駅をはじめ各駅には多くの社員が立ち、調査はもちろん乗客への案内や説明にあたっていた。筆者が見る限り大きな混乱はなかったが、ドア数が少ないためにやはりホーム上の混雑が通常より偏っているように思えた。駅リニューアル後の大阪駅は階段が不足している感もあり、総合的な対策に向けて検討を重ねてほしいところである。
今回の実験は3パターンが計画されていて、2月17~18日は外回り列車、2月19~20日は内回り列車、そして2月21日は外回り・内回り両方の列車を運用変更し、それぞれ調査が行われる。
この調査の背景にあるのは、JR西日本が昨年末よりスタートさせた「大阪環状線改造プロジェクト」。大阪の鉄道ネットワークの要となっている大阪環状線を重点線区と位置づけ、様々な施策を通じて機能の充実やイメージアップを図り、「行ってみたい」「乗ってみたい」線区に改造するというものだ。この施策には、安全快適な駅づくりや駅構内および高架下の開発・リニューアルと共に「車両の新製」が掲げられている。大阪環状線で活躍するオレンジ色の103系や201系は、製造から30~40年を迎えているため、省エネや安全性の向上を目的とした新型車両の開発・投入が行われることになった。そして、開発にあたっての検討項目の一つが「ドア数をどうするか」というものだ。103系や201系は4ドアのロングシート車、対して大和路快速や関空快速・紀州路快速で使用されている223系や225系などは3ドアのクロスシート車と、設備が大きく異なっている。大阪環状線に最もふさわしい形態を決めるために、今回の実験が行われているのだ。大阪環状線ユーザーの一人として、少しでも安全・快適に乗車できる車両が生まれることを願いたい。
「大阪環状線改造プロジェクト」では、車両新製以外にも様々なことが計画されている。「安全快適な駅づくり」では森ノ宮駅を皮切りに各駅のリニューアルが行われ、安全対策はもちろんトイレの更新、「コミュニケーションスペース」の設置などが予定されている。また、玉造駅では「駅構内及び高架下の開発・リニューアル」施策の一環としてスーパーや医療施設、保育園などの入居する複合施設がこの3月にオープン。大阪環状線の車両を模した、オレンジ色のデザインはかなりのインパクトだ。弁天町駅に隣接し、この4月で閉館する交通科学博物館の跡地利用についても、このプロジェクトの中で検討がされることになっている。
さらに、大阪環状線単独での改良にはとどまらない。大阪環状線は全19駅中13駅で他の鉄道路線と乗り換えができることから、大阪市交通局をはじめ他の事業者とも連携し、案内表示を改善したり災害時の対応連携を強化するほか、沿線地域とも共同で高架下や街の美化促進・魅力発信に取り組むとのことだ。
今年は1964年3月の環状運転開始から50年。大阪の街を支えてきた大動脈・大阪環状線がどんな変化を遂げるのか、今から楽しみである。