韓国のNLL南に落下した北朝鮮ミサイルは弾道ミサイルではなく地対空ミサイルと判明
北朝鮮が11月2日にミサイルを日本海に向けて発射した際に鬱陵島の方向に飛んで来て空襲警報が鳴り、NLL(北方限界線)の南に落下して「弾道ミサイルとしては史上初めてのNLL越えだ」と韓国で騒がれました。「韓国の鬱陵島で空襲警報、北朝鮮ミサイル発射」
しかし11月7日に韓国軍が洋上から回収したミサイルの残骸から、飛んで来たのは弾道ミサイルではなく地対空ミサイルだったと判明しました。11月9日に韓国軍から残骸の解析結果が公式発表されています。回収された残骸は旧ソ連製のS-200地対空ミサイル(NATO名称:SA-5ガモン)でした。部品にはロシア語が書かれていたのが確認されています。
S-200地対空ミサイル(NATO名称:SA-5ガモン)
なお北朝鮮自身が11月7日の発表で「11月2日に発射した戦術弾道ミサイル4発は黄海側に発射した」としていて、日本海側には地対空ミサイルを発射したと説明しており、その通りだったことになります。「北朝鮮が11月2日~5日のミサイル大量発射を報告」
そして北朝鮮の11月7日公表写真の作戦第1日(11月2日)地対空ミサイル発射には、問題のS-200地対空ミサイルが写っていました。このミサイルは本体側面に4本のブースターを装着しているのが特徴です。
S-200地対空ミサイル(NATO名称:SA-5ガモン)
11月2日に日本海側に飛んだミサイルを韓国軍も自衛隊も「弾道ミサイル」と報告していましたが、この大型の地対空ミサイルを誤認していたことになります。
しかし韓国軍は「ウクライナの戦争を見れば分かるように、地対空ミサイルでも地対地攻撃は可能」「北朝鮮のSA-5ミサイル発射は、計画的に意図された挑発であることが明らか」と説明していますが、実際には北朝鮮が発射した地対空ミサイルが不具合を起こして制御を失って準弾道飛行モードに入ってしまい、意図しない方向に飛んでいってしまった可能性があるのではないでしょうか?
実はS-200地対空ミサイル(NATO名称:SA-5ガモン)は他国の事例ですが、過去に何度か流れ弾が意図せぬ方向に飛んで行って弾道ミサイル攻撃と誤認された例があります。直近では昨年にイスラエルで騒動となりました。シリアから飛んで来た方向にあった場所がディモナ核施設だったからです。しかし意図的な攻撃ではありませんでした。
シリアから地対空ミサイルの流れ弾が偶然イスラエル核施設付近に飛来、迎撃騒動(2021年4月22日)
- 2021年04月22日:ディモナ核施設への流れ弾の迎撃騒動事件
- 2019年07月01日:キプロス島への流れ弾の着弾、山火事事件
- 2017年03月17日:アロー2弾道ミサイル防衛システム初実戦事件
どれもシリア軍のS-200地対空ミサイル(NATO名称:SA-5ガモン)によるものでした。飛んで行った方向は偶然で、シリア軍は対地攻撃を意図していません。確率的には低いことですが有り得ないことではないのです。
- 2022年11月02日:鬱陵島の空襲警報・NLL南への着弾事件
北朝鮮のこれもまた意図しない流れ弾だった可能性があります。