年末年始は行きも帰りも気象情報に注意 当初のスケジュールにこだわらない勇気を
冬型の気圧配置とクリスマス寒波
令和4年(2022年)は記録的に暑い秋となりましたが、12月に入ると西高東低の冬型の気圧配置となることが多く、周期的に強い寒気が南下してきました。
11月には時々観測していた最高気温が25度以上の夏日はほとんどなくなり、日最低気温が氷点下の冬日を観測した地点数が全国の40パーセントを超すようになっています。
そして、日最高気温が氷点下という真冬日も増えています(図1)。
気象庁では全国の915地点で気温を観測していますが、12月19日は真冬日を297地点(全国の約32パーセント)で、冬日を728地点(全国の約80パーセント)で観測し、ともに、現時点での今冬の最多です。
北半球の上空約1500メートルの気温分布をみると、12月18日には北極付近から日本海北部とカナダ西部に氷点下18度以下という非常に気温の低い領域が広がっています(図2)。
日本海北部から北日本に降りてきた非常に強い寒気は、その後少し弱まりましたが、12月23日からは再度南下してきました。
この寒波は、18日頃の寒波に比べて少し規模が小さく、西日本から北陸に接近するにつれ弱まったのですが、冬の初めで地表付近がまだ冷えていない初冬の南下であったため、上層と下層の温度差が非常に大きくなり、大気が不安定となりました。
このため、日本海側を中心に大雪をもたらしたクリスマス寒波となっています。
また、西日本の太平洋側まで、降水現象があれば雪として降る目安である上空約1500メートルで氷点下6度以下という寒気でしたので、西日本各地で雪を観測し、初雪となったところもありました。
そして、雪がほとんど降らない高知市でも14センチの積雪という明治42年(1912年)の観測開始以来、110年で1位の記録を作っています。
一方、カナダ西部に南下してきた強い寒気は、勢力が衰えないままニューヨークなどアメリカ東部を襲っています。
アメリカ東部では、記録的なクリスマス寒波となり、車の中に閉じ込められたことにより死者が相次ぎ、飛行機などによる人や物資の移動に大きな影響がでました。
年末寒波と年始寒波
御用納めの12月28日は、冬型の気圧配置はいったん緩みましたが、北日本を低気圧が通過した後は、やや強い寒気が南下してきます(図3)。
北陸と北日本日本海側では降り出しは雨でも夜は次第に雪に変わりそうです。
年末寒波の雪は、気温が少し高くなったあとの雪ですので、屋根からの落雪や、山沿いでのなだれが発生しやすくなります。
雪の量以上に危険ですので、十分注意して新年を迎えてください。
一方、太平洋側は晴れて、空気の乾燥が続く所が多い見込みで、大火になりやすい状態が継続していますので、火の元には十分注意してください。
南西諸島はくもりや雨となりそうです。
年末年始を通して冬型の気圧配置が継続する見込みで、年末寒波に続き、正月2日以降は北日本を中心に寒気が流れ込む見通しです。
年始寒波の襲来です。
年末年始の帰省や旅行は、行きも帰りも気象情報に注意が必要です。
そして、当初のスケジュールにこだわらない勇気をもって欲しいと思います。
楽しい正月に安全は不可欠ですし、来年も正月はやってきます。
年末寒波と年始寒波の比較
年末寒波、年始寒波、ともに北日本を中心に南下してきますが、上空約1500メートルの氷点下6度線は、東日本から西日本の太平洋側まで南下してこない見込みです(図4)。
西日本はクリスマス寒波よりは冷え込まない見込みです。
しかし、北海道では北極から広がっている強い寒気がかかってきます。
クリスマス寒波のときは、北極の寒気の主力がアメリカのほうへ広がっていましたが、年始寒波では主として極東のほうへ広がってくる予想です。
年末寒波に注意が必要ですが、年始寒波にはもっと注意が必要です。
ただ、東京についていえば、その年始寒波といってもクリスマス寒波の時よりは気温が下がらない見込みです(図5)。
ただ、そのあとは、平年並みの寒さの晴天が続く見込みです。
図1、図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図3の出典:気象庁ホームページ。
図4の出典:ウェザーマップ提供。
図5の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。