「遅刻連絡はメールかLINEで」は7割強がOK…今どきの新社会人の認識(2023年公開版)
流行もの、普及しているもの、社会環境の変化に伴い、常識は少しずつ変化していく。10年単位で世代が変わると、常識と認識していたものがすでに過去の話となっていたこともよくある話。今年、あるいは昨年会社勤めを始めた新社会人は、世間一般(の一部)からは非常識、あるいは控えるべきだと思われていそうな要件について、どのような意識を持っているのだろうか。ソニー生命保険が2023年4月に発表した、新社会人に対して行った意識調査「社会人1年目と2年目の意識調査2023」(※)から、その実情を確認する。
情報機器の取り扱いや職場でのコミュニケーション、ライフスタイルに関し、若年層では当たり前だと認識されていることが多い生活様式に関して、社会人として行うのはあり(肯定派)とするか、無し(否定派)と見るべきか、二択で選んでもらい、ありの割合を示したのが次のグラフ。
同様の調査は過去にも実施されており、グラフではその結果を併記してある。ただし項目の一部は入れ替わりをしているため、値が空欄の部分もある。その項目は回答者がいないわけではなく、該当する質問が行われていないことを意味する。
スマートフォンやタブレット型端末でメモをする行為を肯定する人は直近で3/4強。調査結果の値の推移を見るに、肯定派が増える傾向がある。端からは遊んでいるように見えるかもしれないが、合理的な手法には違いなく、むしろ否定する方が時代遅れな感はある。
ソーシャルメディアでもよく話題に上る、何らかのトラブルで遅刻を余儀なくされたり、体調不良などで欠勤をする際の、上司や同僚への説明・報告に関して、メールやLINEによる連絡は、肯定派は7割強。本人の利用スタイルの範囲では積極的な電子機器の利用は「あり、だろう」とのレベルだが、他人、特に上司に対する行為は、相手側の印象もあり、肯定できない人も少なからずいるようだ。あるいは(メールやLINEがお手軽な意志疎通ツールであることから)「仕事を軽く見ているのか」と思われることへの懸念もあるのだろう。もっとも、経年推移の限りでは肯定派は増加傾向にある。メールやLINEによる意思表示が一般化への歩みを示しているようだ。
出退勤に関しては、必要もなく残業することを肯定する人は2割台でしかない。その考えを実行に移せるか否かは職場環境や上司との力関係次第だが、周囲が残業をしているから自分も(用はないが)居残りをする行為には、否定的なようだ。ただし経年推移ではわずかずつだが増加の動きにあるのが気になるところ。
有給休暇を次年度に繰り越すことなく消費するスタイルには、8割近くが肯定の意見を示している。会社側が怪訝な様相で有給休暇申請への対応をしたり、さりげなく取得しないように促すケースも多々見聞きするが、与えられた権利として有効に活用すべしとの考えを持つ人が多数に及んでいる。ただしこの数年では減少傾向にある。
新型コロナウイルスの流行で一気に広まったテレワークについてだが、テレワークの開始直前まで熟睡することをよしとする意見はほぼ2/3。起きた直後ではまだ頭が回らないのではとの意見もあるかもしれないが、とにかく決まった時間の間に起きて仕事をしていれば問題はないとするドライな考えが多数派を占めている。
話のネタとしてよく持ちあがる、下半身だけパジャマ姿でオンライン会議に出席することは問題ないとする人は2/3近く。要はカメラに映っている部分がまともな服装をしていれば文句の言われようがないとするもの。着替えが面倒くさい、楽に会議に出席できるなどが理由なのだろうが、万が一のことを考えると、ヒヤヒヤものではある。
今件の各項目は職種や職場の決まりごと、風土によって左右される面もあるため、一概に肯定・否定することは困難。あくまでも全般的な風潮としてこのような傾向がある、との認識で受け止めればよいだろう。
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※社会人1年目と2年目の意識調査2023
2023年2月21日から2月24日にかけて、「今春就職する社会人1年生」「就職してから1年経過した社会人2年生」(いずれも20代)に対してインターネット調査形式で行われたもので、有効回答数はそれぞれ500人。男女比はそれぞれ1対1。調査協力会社はネットエイジア。
過去の調査もほぼ同様の条件で実施されている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。