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中央東線「211系」今後の去就は? 車齢40年近く、新車の必要性は高まる

小林拓矢フリーライター
中央東線や篠ノ井線で活躍する211系電車(写真:イメージマート)

 国鉄時代の末期に登場した211系。当初は東海道本線で活躍し、のちに東北・高崎線方面でも運用されるようになった。また名古屋エリアや静岡エリアでも使用され、こちらは短編成、トイレなしというのが多くの人に印象を与えた。

 211系は、都心部からすでに去っている。JR東海の名古屋・静岡エリアでもじょじょに運転を減らした。

 しかし、いまなお211系ががんばっているエリアがあるのだ。JR東日本の高崎エリアと、山梨・長野エリアである。

 山梨・長野エリアは、長野総合車両センターに所属する車両が中央東線や篠ノ井線で活躍を続けている。

中央東線の211系
中央東線の211系写真:イメージマート

2013年から2014年にかけて中央東線にやってきた

 211系は、115系を置き換えるために2013年から2014年にかけて長野総合車両センターにやってきた。立川・八王子・高尾~中央東線方面の列車に使用されるようになり、115系を置き換えていった。

 しかし、置き換えられるのが115系で、置き換えるのが211系というのは、当時としてもいまいち腑に落ちないものがあった。

 当時の甲府駅などでは、211系を消費電力が少ないエコな電車としてアピールしていたものの、それは115系に比べればであって、首都圏の他線区ではもっと新しくてもっとエコな車両がすでに使用されていたのである。

 現在、中央東線で活躍している車両には、国鉄時代に製造された車両も多くある。車齢40年近くなっているものもあるのだ。

 211系では延命工事が実施された編成もあり(しかしされなかった編成もある)、いっぽうで車両の老朽化は見ただけでわかる状態になっている。

 ほんとうは、そろそろ新車を入れなくてはならないはずだ。

E131系に期待か、それとも完全新車か?

 先日、E131系が中央東線内で試験走行したという情報があった。

 今後の中央東線を考えると、老朽化した211系では困難だということはある。

 そのほかに、211系の3ドアでは、近くホームドアが導入される立川~高尾間に対応できないという問題がある。

 それゆえ、4ドア車が必要ということになる。

 その際に、E131系は有力な候補となるだろう。4ドア車で、中央快速線のE233系と、ホームドアの位置はだいたい同じになる。宇都宮線・日光線で寒冷地仕様の車両をつくった実績もある。

房総方面で使用されるE131系
房総方面で使用されるE131系写真:イメージマート

 中央東線はすでにSuicaに対応できるようになっており、篠ノ井線もこの春に全線でSuicaが導入される。車掌がきっぷの収受に駆け回らなくてもいいような状態になっており、ワンマン運転にしても運転士が対応する必要はない。

 E131系が新造され、中央東線にやってくるのか。

 だがE131系は、2編成を組み合わせて6両で運転することは可能でも、6両1編成というのを製造させた実績はない。

 そういう意味では、長野エリアを中心とする各地区に向けた、それなりに長い編成の新型の車両というのも想定できるのである。

 中央東線は特急街道であり、短編成を細かく運用するということはできない。朝ラッシュ時の混雑もそれなりにある。その意味では、短編成化と本数増というのには向かない路線だ。

 中央東線「211系」の今後は、差し迫った問題である。早急に新車を導入することを検討していただきたい。首都圏からのE231系転入(代わりに首都圏にE235系が導入される)、というのはやめてほしい。

フリーライター

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒。鉄道関連では「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」などに執筆。単著に『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。共著に『関西の鉄道 関東の鉄道 勝ちはどっち?』(新田浩之氏との共著、KAWADE夢文庫)、首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(SB新書)など。鉄道以外では時事社会メディア関連を執筆。ニュース時事能力検定1級。

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