JR東日本、「ハイブリッド気動車」を再導入 HB-E220系を量産することにしたその理由は?
JR東日本が、再び「ハイブリッド気動車」を導入することになった。HB-E220系32両だ。高崎・盛岡エリアに導入する。
2007年に小海線にキハE200形が3両、2015年に仙石東北ラインにHB-E210系が8編成16両を導入して以来のことになる。
小海線や仙石東北ラインは、試験的な導入の要素が強かった。小海線では1両で2扉、仙石東北ラインでは2両で3扉という車両だった。
発電用エンジンとモーター、蓄電池を組み合わせたハイブリッド気動車は、結構な重量になるという問題もあった。
いったんは電気式気動車を導入した
そういったこともあり、蓄電池を使用しない「電気式気動車」をJR東日本は実用的な車両として2019年から導入し始めた。電気式気動車はハイブリッド気動車よりも初期費用が安いということがあった。蓄電池を使用せず、その関連で必要な装置を省くことができ、技術的にも簡単につくれるというメリットがあった。電車プラスアルファでできる車両であり、走りも電車、しかも重くないという特徴がある。メンテナンスなども電車と同様だ。
これはGV-E400系気動車であり、新潟地区や秋田地区で導入されていった。
低コストで導入できる電気式気動車は、国鉄から受け継いだ老朽化した気動車を置き換えていった。
旧来の液体式気動車では、液体式気動車にしかない部品も多く、さまざまな車両との共通化ができないという課題があった。しかし電気式気動車は、電車と同様の機器が使用できる。
運転に必要な免許も、電車の免許に訓練をプラスすれば問題がない(これはハイブリッド気動車も同様)。
だが蓄電池がないため、いつもエンジンを動かしていなくてはならないため、環境への負荷がかかるという課題があった。システムとしては簡便だが、エネルギーロスの問題もある。
エネルギー効率のいいハイブリッド気動車
電気式気動車だと、ちょっとの動きにもいちいちエンジンを動かさなければならず、また過剰に発電したエネルギーを捨ててしまうことになる。ハイブリッド気動車だと、そのあたりを効率化できる。シリーズハイブリッド方式の気動車では、発電した電気でモーターを動かすだけではなく、余剰電力と回生ブレーキで発生した電力を蓄電池に貯めることが可能だ。かなりの部分を電車と同じ技術で動かすことになる。
非電化区間を、電車と同じように走らせることができる。それがハイブリッド気動車だ。エネルギーのロスがほとんどないことが、電気式気動車との大きな違いである。
HB-E220系はどんな車両?
まずHB-E220系は、32両という気動車としては多くの車両数を導入することになる。高崎エリアには2両編成8本、盛岡エリアには2両編成を6本と1両編成を4本導入する。2025年度下期に営業運転を開始する。
高崎エリアでは八高線の高麗川~高崎間、盛岡エリアでは東北本線の花巻~盛岡間、釜石線の花巻~釜石間で使用される。
ハイブリッド気動車は、これまで1両のものと2両のものが作られてきた。HB-E220系は、量産型ということで、両方のタイプをつくることになった。
地方線区の気動車は、2扉のものが多かったが、HB-E220系は3扉とし、よりスムーズに乗降できる車両にすることにした。
車内はロングシート。通勤・通学の際に多くの人が乗車可能だ。2列と1列のクロスシートでは、着席できる人が意外と少ないという問題がある。
地域内の利用に特化した、エネルギー効率のいい気動車がHB-E220系である。
それゆえに便利な気動車として量産されることになった。今後もこの車両は増産されるだろう。