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オールスターに選ばれなかった年にMVPはブライス・ハーパーが何人目!? 大谷翔平の満票より珍しく…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)Sep 21, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ナ・リーグのMVPは、ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)が受賞した。ア・リーグの大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)と違い、ハーパーは今年のオールスター・ゲームには選ばれなかった。

 オールスター・ゲーム選出を逃した年にMVPを受賞したのは、ハーパーが12人目だ。大谷のような、満票の受賞者よりも少ない。こちらは、大谷が18人目もしくは19人目。それについては、受賞前に「「満票」でMVPを受賞した選手たち。大谷翔平もそうなる!? 発表は明日」に書いた。

筆者作成
筆者作成

 昨年のMVP、ナ・リーグのフレディ・フリーマン(当時アトランタ・ブレーブス/現FA)とア・リーグのホゼ・アブレイユ(シカゴ・ホワイトソックス)は、オールスター・ゲームが開催されなかったので、オールスター・ゲームに選ばれなかったMVPには含めていない。1945年のオールスター・ゲームも中止になったが、メンバーの選出は行われており、この年にMVPを受賞した2人、ナ・リーグのフィル・キャバレッタとア・リーグのハル・ニューハウザーは、どちらもそこに名を連ねた。

 ハーパーは、ナ・リーグのチームでプレーしている外野手だ。今年、ファン投票でオールスター・ゲームに選ばれたナ・リーグの外野手は、ロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)、ニック・カステヤノス(当時シンシナティ・レッズ/現FA)、ジェシー・ウィンカー(レッズ)だった。3人とも、前半戦のOPSはハーパーより上。OPSはスタッツの一つに過ぎず、選出は前半戦が終わる前だが、ハーパーの.899に対し、それぞれ.990と.969と.921を記録した。

 ただ、オールスター・ゲームに選出されたナ・リーグの外野手のうち、クリス・テイラー(当時ロサンゼルス・ドジャース/現FA)が前半戦に記録したOPSは.834、ムーキー・ベッツ(ドジャース)は.839、ホアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)は.851だった。また、ハーパーのチームメイトは、先発投手のザック・ウィーラーと捕手のJ.T.リアルミュートしか選ばれなかった。辞退と代替の選手を全員含めると、ナ・リーグのメンバーは41人。1チーム平均は2.73人だ。

こうしたことからすると、ハーパーが選ばれてもおかしくなかった。

 5月はOPS.634と低調だったことと、5月下旬から6月上旬にかけて故障者リストに入っていたことが、選出を逃す要因となったのかもしれない。

 ハーパーのMVPは、6年ぶり2度目。初受賞の2015年は、オールスター・ゲームに選ばれている。これは、1982年と1989年にMVPを受賞したロビン・ヨーントと同じパターンだ。一方、1935年と1940年に受賞のハンク・グリーンバーグと1996年と1998年に受賞のホアン・ゴンザレスは、ヨーントとハーパーとは逆のパターン。初受賞の年は、オールスター・ゲームに選ばれていない。他8人のMVP受賞は1度ずつ。カーク・ギブソンは、17シーズンにわたってプレーしながら、一度もオールスター・ゲームのメンバーにならなかった。もっとも、代替選手として声をかけられ、ギブソンがそれを断ったことはあるらしい。

 なお、ハーパーはそうではないが、大谷は負け越したチームからのMVPとなった。その事例については、こちらで書いた。

「大谷翔平が加わる「負け越したチームからのMVP」は過去に何人!? 今年はナ・リーグもその可能性あり」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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