浦和とACLで対戦 浦項にKリーグでまさかの事態 「6分間12人でプレー」 没収試合の危機も
10月24日にさいたまで浦和レッズとACL(アジア・チャンピオンズリーグ)で対戦した浦項スティーラース。11月8日に韓国での再戦を控えるなか、国内リーグで思わぬ「災難」が降り掛かっている。
事が起きたのは28日に行われたKリーグ第35節、全北現代モータースとのアウェーゲーム。ここで「試合中の6分間、12人でプレー」という事態が起きたのだ。
0-0で迎えた前半の23分ごろ、浦項の背番号3番のキム・ヨンファンがオーバーラップの際に足首を負傷した。3分後、プレー続行不可の判断を下した浦項ベンチの指示はこうだった。
OUT 3番 キム・ヨンファン
IN 17番 シム・グァンフン
しかし、この時にどちらの非か定かではないが、伝達ミスが起きた。
実際に予備審判が示したボードに記されたのは次の交代だった。
OUT 7番 キム・インソン
IN 17番 シム・グァンフン
右ウイングの7番のキム・インソンは当然、DFが負傷したのだから、代わりにDFが入ればいいと考えている。自分が交代するとは思わない。
また映像を見る限り、ゴルフカートのような救護車で負傷した3番キム・ヨンファンがピッチを去るなか、選手の出入りの確認がしっかり行われていなかった模様。
結果、ピッチ上に浦項の選手が12人いる状態に。「交代OUTに気づいていないFWキム・インソン」を含む12人だ。
試合が6分進行した前半32分頃、全北ベンチが「キム・インソンがピッチを去っていない」と審判団に抗議。
審判団は試合を止め、浦項コーチングスタッフを呼び出して協議した。すぐにキム・インソンはピッチを去り、記録上は26分に交代OUTとなったものと処理された。
試合はその後、後半に両チーム1ゴールずつ決めドローで終了。首位の蔚山を勝ち点6差で追っていた浦項としても、来季ACLプレーオフ出場権内の3位を狙える位置にある全北にとっても痛い結果となった。
ちなみに交代ミスの"被害者"となったキム・インソンは28日のACL浦和レッズ戦で浦項の2点目を高速ドリブルでアシストしたキープレーヤー。相手の全北現代では日本人プレーヤーの天野純が後半40分から出場した。
浦項側に「没収負け試合」処罰の可能性も
話はこれで終わらない可能性がある。
現在Kリーグ側は「本件に関わった人物に対して事情を聞いているところ」としている。
Kリーグの規約には以下の点が明記されているのだ。
「公式戦に無資格選手が出場した場合、さらにこれが試合中または試合後に発覚し、試合終了後48時間以内に対戦クラブから異議が申し立てられた場合、無資格選手が出場したクラブは0-3で敗北したものとみなされる」
相手チームの全北は「誤った選手交代部分について、プロ連盟に正式に異議を申し立てる予定」としているという。
すると「無資格選手」とは何か、という点に議論が移る。Kリーグの定義はこうだ。
「Kリーグ未登録選手、警告累積または退場により出場が停止された選手、処罰委員会の制裁、外国人出場制限規定を違反した選手など、違反した時点で試合出場資格がないすべての選手を意味する」
「聯合ニュース」は、交代OUTとなった状況でピッチに6分間残っていた浦項のキム・インソンは「無資格選手」とみなされる可能性がある、としている。いっぽうで、審判側のミスと判断される可能性もあるだろう。
Kリーグでは過去に、2021年9月18日のKリーグ第30節光州‐済州戦で「試合後の没収試合処分」の前例がある。1-1で終わったゲーム、アウェーの済州が試合後に「光州が選手交代の回数を規定より多く行った」と意義を申し立てた。これが受け入れられ、光州0-3済州と試合結果が変更になった。
「聯合ニュース」はまた「審判のミスもあるが、浦項側の選手交代の過程もぞんざいだった」と指摘する。
はたしてどんな裁決が下されるだろうか。11月8日にACLで浦和との再戦を控え、チームのムードにも影響を及ぼしうる話だ。