梅雨入り間近 気象庁が「梅雨入り」を発表する理由
先月13日、気象庁は沖縄県と鹿児島県奄美地方が13日頃に梅雨入りをしたと見られると発表しました。
沖縄県は平年より4日遅く、奄美地方では平年より2日遅く梅雨入りです。
来週半ばに東・西日本で梅雨入りか
今度の週末は、移動性高気圧に覆われ全国的に晴れますが、中国大陸からの乾燥して暑すぎない空気に覆われます(図1)。
図1 予想天気図(6月4日9時の予想)
このため、梅雨入り前の最後の行楽日和になりそうです。
というのも、週間天気予報によると、南に下がっていた梅雨線が北上し、大阪府は6日の火曜日から、東京都では7日の水曜日から曇や雨の日が続くからです(図2)。
梅雨入りの平年値は、近畿地方が6月7日頃、関東甲信地方が6月8日頃ですので、来週半ばには梅雨入りし、雨の季節となりそうです。
気象庁が「梅雨入り」を発表している理由
季節現象である「梅雨入り」を、気象庁がわざわざ発表している理由は、「防災上の注意喚起」が目的です。
梅雨の期間は大雨による災害が発生しやすいことから、防災のためには、梅雨入り前に(遅くても梅雨に入ってすぐの段階で)、大雨に備える必要があるからです。
気象庁が発表しなくても、季節変化で梅雨はやってきます。
第一、「何月何日に梅雨入りしました」というように、はっきりした境があるわけではありません。
このため、気象庁の梅雨入りの発表文では「頃に」と、「見られます」という言葉が付加されています。
気象庁の「梅雨入りの予報」
気象庁では、梅雨のない北海道を除いた日本を12の地域(沖縄、奄美、九州南部、九州北部、四国、中国、近畿、北陸、東海、関東甲信、東北南部、東北北部)に分け、気象予測をもとに「○○日頃梅雨入り(明け)したと見られます」という速報を発表します。
「梅雨を観測し、観測結果を発表」するのではなく、「梅雨を予報し、予報結果を速報で発表」しているのです。
そして、梅雨の季節が過ぎてから、春から夏にかけての実際の天候経過を考慮した検討をし、9月の初めに「梅雨入りと梅雨明けを統計値として確定」しています。
つまり、9月の初めに「梅雨の観測結果を発表」しているのです。
したがって、平成21年のように、九州から東北地方の梅雨入りの速報では6月9日から11日でしたが、統計値は6月2日から4日と、速報と統計値が大きく異なることがあります。
このように、「梅雨入り」は、後になってみないと特定できないものです。
「梅雨入り」がはっきりしないと、「梅雨入り」を特定しないこともあります。
「梅雨明け」も防災情報
「梅雨明け」も「梅雨入り」と同じ、防災情報です。
気象庁は「梅雨明け」の情報を発表することによって、「雨による災害恐れはなくなったが、これからは夏の暑さに注意」と呼び掛けているのです。
「梅雨明け」は、夏を迎えるという意味があることから、秋の気配が表われてくる頃とされる立秋(8月8日頃)を過ぎると日の特定はしません。
このため、「梅雨明け」が遅い北日本ほど「梅雨明け」を特定しない年が多くなり、近年増加傾向にあります。
梅雨期間の大雨災害を防ぐには、梅雨の大雨が降る前に、防災グッズを備えたりするなどのハードの対策、家族で避難場所などを話し合っておくなどのソフトの対策、排水口周辺の清掃を行って水はけを良くしておくなどの日頃の対策が必要です。