ドイツ旅客機は副操縦士が意図的に墜落させた?:拡大自殺か、テロか、精神疾患か、格安航空会社の問題か
■副操縦士が「意図的」に墜落させた!?
今回の事故は、謎の多い事故でした。高度1万メートルの安定飛行に移った後で、急降下をし、そのまま山麓に激突しています。ただし、「急降下」とはいえ、きりもみ状態の墜落ではありません。また、もしも上空で何らがの事故による気圧の急減があった場合には、もっと短時間で急降下するそうです。
今回は、通常の飛行でもあるうる急降下でした。管制塔からの呼びかけには答えず、緊急信号もありませんでした。墜落を避けるような操縦も見られませんでした。このような異常な行動も、「意図的」ということであれば、説明はつきます。
■飛行機事故の7割は人為的原因
一般的に事故原因を特定する際には、まずは徹底的にハード面、機械の故障等が調査され、機械面の故障等がなかったと確認され後で、人為的な原因とするのが順序です。今回の事故も、さらに慎重な調査が必要でしょう。
ただ、飛行機事故の7割が、人為的なヒューマンエラーによって起きています。
ただし、今回は「意図的」ということであれば、ミスやエラーではありません。
■副操縦士によるテロか、自殺か、精神疾患か
副操縦士が意図的に墜落させたとするなら、まずテロが考えられます。しかし、検察はテロの可能性は低いとしています。
意図的墜落が、副操縦士の自殺である可能性もあります。この場合、大勢の人を巻き添えにする通り魔事件のような「拡大自殺」とも考えられます。自分の人生を終わりにしたい人が、周囲の人々の命を奪う事件を起こすことはあります。
1982年に発生した日本航空350便羽田沖逆噴射墜落事故は、機長の精神疾患が原因でした。機長は事故の数年前から統合失調症を発病していたようです。事故当日は、被害妄想による死の恐怖の中で、着陸寸前に飛行機を逆噴射させ、墜落させました(乗客乗員24名死亡、149名重軽傷)。
機長は、事故の前に精神科に通院しています。また事故直前の言動の不自然さにも周囲は気づいていました。しかし、誰も機長を止めることができないまま、事故は起きてしまいました。
今回の事故に関しては、拡大自殺なのか、何らかの精神疾患だったのか、その両者がからんでいたのか、まだ原因は不明です。何らかの妄想的な思いを伴った拡大自殺なのかもしれません。
今放送されているテレビ報道によれば、「副操縦士は身体的、心理的検査をパスしていた」と報道されています。
■格安航空会社の問題はなかったか
今回の事故に関して、事故を起こした格安航空会社ジャーマンウィングスの会社としての原因指摘は、今のところ報道されていません。格安航空機会社だから危険だということも、もちろんないでしょう。
ただ、これまでいくつかの問題が指摘されてはきました。今回の事故と関連する問題としては、次のような操縦士の問題がありました。
1993年、アメリカの新興航空会社AIAの貨物機が墜落する事故がありました。機長は、前日深夜まで勤務し、さらに追加の仕事が言い渡されました。これは、違法ではありませんでしたが、機長は疲労を感じていました。事故調査が行われた結果、機長の疲労に起因する判断力と飛行運行能力の低下が事故の原因と結論づけられました。
この飛行機事故は、無理な乗務が引き起こした事故と言えるでしょう。
今回の事故に関しては、これから調査が進むでしょう。テレビ報道によれば、この副機長は異常があったようには見えず、おとなしい性格で、ジャーマンウィングス社に就職できたことを喜んでいたといいいます。
副操縦士に何らかの心の不調があったとして、職場環境の影響も考える必要があるでしょう。
いずれにせよ、過剰なコストダウンが事故に結びつくようなことは避けなくてはなりません。
飛行機事故防止のためには、機体の整備だけではなく、乗務員の「心の整備」が必要です。
→副操縦士にうつ病の治療歴があったとの報道を受け、新しいページをアップしました(3/27.21:00)。