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2023年では18.5%…携帯電話の買い替えをした世帯の実情をさぐる(総世帯編)(2023年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
携帯電話は一人に一台の時代。家族構成員が多ければ買い替えの機会も増える(写真:アフロ)

多機能さから魔法のアイテムのような存在の携帯電話(スマートフォンと従来型携帯電話の双方)。世帯ベースではどれぐらいの割合で買い替えが行われているのか。内閣府の消費動向調査(※)の結果から確認する。

次に示すのは総世帯、つまり全世帯における世帯単位の携帯電話買い替え状況。2023年は18.5%とあるので、2割近くの世帯が携帯電話の買い替えを経験していることになる。

↑ 携帯電話買い替え世帯率(総世帯、世帯単位)
↑ 携帯電話買い替え世帯率(総世帯、世帯単位)

直近の2023年は前年2022年と比べると低い値となった。ここ数年は23%ぐらいで安定していただけに、イレギュラー的な減り方のように見える。携帯電話の買い替えを躊躇するような出来事でもあったのだろうか。

今件値には新規購入世帯はカウントされていないことに注意。他の耐久消費財と比べると値が高めのように見えるが、単価が安いことに加え、世帯構成人数が複数の場合、誰か一人でも買い替え経験者がいれば該当世帯となるため、高めの値が出るのは道理が通る。

これを買い替え理由別に見たのが次のグラフ。一部で総計が上記グラフとは異なっている場合があるが、それは計算結果と表記上の都合によるもの。またいくつかの属性で0.0%が出ているが、これは皆無ではなく表示ケタの限りでは四捨五入で0.0%との計算結果が出たまでの話(調査の上で対象世帯数がゼロの場合は無表記でグラフには反映している)。

↑ 携帯電話買い替え世帯率(総世帯、世帯単位、買い替え理由別)
↑ 携帯電話買い替え世帯率(総世帯、世帯単位、買い替え理由別)

新機種は漸次発表・発売されており、かつてのiPhoneシリーズ一強のような勢力状態ではなくなっている。格安スマホへの乗り換えが「その他」の項目を押し上げている可能性はあるが、詳細までは分からない。「故障」の回答が多いのは、手持ちの端末が以前から何らかのトラブルを抱えていたが、新機種発売を機会にといった判断結果による可能性はある。さすがに「住居変更」での買い替え事例はほとんどない。

また2023年の詳細を見ると、「上位品目」「その他」が大きく落ち込んだことで全体の値が落ちている実情が分かる。やはり買い替えをしたくなるような新機種に恵まれなかったのだろうか。

最後は直近年における主要属性別。

↑ 携帯電話買い替え世帯率(総世帯、世帯単位、属性別)(2023年)
↑ 携帯電話買い替え世帯率(総世帯、世帯単位、属性別)(2023年)

年齢階層別では50代が最も高い値を示し、それ以上の年齢では漸次値は低くなる。また、世帯年収別ではおおよそ高年収世帯ほど高い買い替え率が出ている。

携帯電話は新機種の展開に伴う買い替え需要が大きいため、iPhoneの新機種発売やau、ドコモの参入といった大型のイベント発生時における買い替え状況の動向を見たいところだが、残念ながらデータが2014年分以降しか公開されていないため、今回のような形となった。今後新たな、携帯電話市場を大きく揺るがすようなイベントがあれば、それを反映した値が示されるに違いない。

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※内閣府の消費動向調査

今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することで、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査時期は毎月1回で、調査時点は毎月15日。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。

毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の買い替え状況」を今件精査では用いている。これは「対象品目を回答年度(今回の場合は2022年4月~2023年3月)に買い替えをしていた場合、買い替え前の商品はどれだけの期間使っていたか」を尋ねた結果。つまり直近の買い替え実施者における「買い替えまでの年数」が示されることになる。新規に購入した場合や、買い替えが該当時期でなかった場合は回答に加わらない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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