FBがまた写真検閲、今度はレコードジャケットの裸写真 ノルウェー文化大臣の招待でFBと報道陣が議論
7日、またもやノルウェー人がフェイスブックによる検閲で投稿を削除され、アカウントを3日間停止された。
アーティストで作家であるシェティル・ロルネス氏は、ノルウェーの新聞iTromsoの記事『これが歴史上、最も最悪なレコードカバーだ』をフェイスブックでシェア。そこには、複数のレコードジャケットの写真が掲載されている。クリックして写真を見続けると、白人で胸をあらわにした裸体の女性が、股間に猫を置いて、にこりと微笑んでいる1枚がある。
以前、ノルウェーでは「ピューリッツァー賞を受賞した、爆弾から逃れる裸の少女の白黒写真が削除され、ノルウェーの報道機関や首相たちがフェイスブックに抗議」するということがあった。ロルネス氏も、同じ投稿をシェアし、フェイスブックから注意勧告を受けていた。今回、レコードジャケット写真が掲載された記事のリンクを投稿直後、投稿は削除され、すぐさまアカウントを3日間停止された。
「このユーモアは世界中で共有できるものではないから、フェイスブックは内容も確認せずに、社会に悪影響な写真を削除し、罪深きものに罰を与えるのでしょうね」と、ロルネス氏は皮肉を込めて抗議。この言葉は、他者のアカウントでシェアされ、報道機関が一斉に報じた。
ノルウェー国営放送局、最大手新聞、最大手通信局など、現地の大手機関による報道後、24時間しないうちに、ロルネス氏のアカウントは復活。内容がポジティブであれ、ネガティブであれ、歴史的に残す価値のあるべきものを、ただ裸だからといって削除するフェイスブックに対して、同氏は疑問を投げかける。「すべてのことがもうばかばかしくて、同時にイライラする」とアフテンポステン紙に語る。
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ノルウェーと北欧数か国で、フェイスブックに疑問の声
ノルウェーという国と報道機関は、タッグを組んで、小国ながら、巨大なフェイスブックに立ち向かおうとしている傾向がある。それに続いて、北欧の報道機関は、自分たちだけでも特別なルールを設けてもらえないのかと打診中だ。
10月31日、ノルウェーのリンダ・カトリーネ・ホフスタ・ヘッレラン文化大臣は、フェイスブックの関係者とノルウェーの報道陣が議論する場をオスロで設けた。文化大臣自身も、裸の少女騒動の際、首相の投稿をシェアしたところ、FBによって投稿を削除された1人だ。
フェイスブック欧州のメディアパートナーシップのディレクターであるPatrick Walker氏が出席。フィードバックを受け取り、今後の改善に役立てるとはしたが、「フェイスブックは編集者ではない」という主張を改めて強調した。「それぞれの国には独自のスタンダードがあり」、他国がノルウェーやデンマークと同じ捉え方をするわけではないと語る。
ノルウェーの文化大臣はフェイスブック関係者にこう語った。
「大切なのは、対話だと思っています。ノルウェーの多くの人々が反応した理由は、不公平な検閲だったからです。我々の首相はフェイスブックユーザーです。連絡もなく、勝手に投稿を削除されたことに、首相は違和感を感じていました。コミュニティースタンダードがあることは理解できます。しかし、フェイスブックユーザーたちに、同じことがまた起こらないという保証がありません。我々の健康的な民主主義と言論の自由にかかわる問題です。私は未来が心配です。ノルウェーは、もっとオープンで、透明性がある国なのです。議論を期待しています」。
アフテンポステンの編集長は、会場で、フェイスブックは編集者であり、ルールを独占していると批判。ほかにも、英国のガーディアン紙やロイターが、フェイスブックに厳しい質問を投げかける。
同時に、フェイスブックのWalker氏は、報道陣に対して、「ニュース機関だけにもっと融通をきかせる」ことが、正しい解決策なのか、それでいいのかと疑問を投げかけた。「市民ジャーナリズムや普通の人々を置いて、特定の編集者だけに自由な権限を与えるべきだと?」。
ノルウェー文化大臣は、来年、北欧の編集者たちを集めた国際会議を開催し、問題を議論する意向だ。フェイスブックの Walker氏は行けたら行くと回答した。
ロルネス氏はアカウント復活後、自身のページで、「アメリカ大統領選挙で盛り上がっている時にも関わらず、ニュースにしてくれてありがとう」と感謝の言葉を投稿する。ノルウェーのメディアがすぐさま報道した背景には、ジャーナリズムだと信念をもって書き上げた記事が削除される、編集者や記者たちのFBに対するいら立ちがあるのかもしれない。
Text: Asaki Abumi