日本の南はまだ夏 台風12号、13号連続発生の可能性も
台風12号の発生
猛烈な台風となった台風11号が東シナ海から日本海に進み、日本海で温帯低気圧に変わり、オホーツク海まで北上しています。
この台風コースは、太平洋高気圧が強まっている時に多い台風コースですが、今年は、日本の南海上は太平洋高気圧が広がるのではなく、広い範囲で気圧が低くなっており、その中で熱帯低気圧ができたり消えたりしています(図1)。
このため、南から暖かくて湿った空気が流入しやすく、大気が不安定となり、東日本を中心に曇りや雨が多くなり、台風一過の晴天とはいきませんでした。
それどころか、関東から東海地方では大雨となったところもあります。
日本の南に広がる気圧の低い海域のうち、フィリピンの東海上の熱帯低気圧が台風12号になる見込みです(図2)。
台風発生の目安とされる海面水温が27度ですが、フィリピンの東海上の熱帯低気圧が存在しているのは、目安の27度より高い30度以上の海域です。
このため、熱帯低気圧が発達して台風12号となり、最大風速35メートル、最大瞬間風速50メートルの強い台風にまで発達する見込みです。
【追記(9月8日11時)】
フィリピン東海上の熱帯低気圧は、9月8日9時に台風12号に発達しました。南西諸島では、台風12号に警戒してください。
令和4年(2022年)の8月末までの台風発生数11個は、平年の8月末までの発生数13.6個より少ないのですが、接近数と上陸数は平年並みになっています(表)。
なお、接近数は、月をまたぐ場合はダブって計算されますので、月別の数の一年の合計は、年間の接近数より多くなります。
台風の発生数は少ないものの、影響する台風の数は多くなりそうというのが、今のところ、令和4年(2022年)の台風の特徴です。
台風12号の進路予報
筆者が行った9月の台風の調査では、フィリピンの東海上で発生した台風は、そのまま西進を続けるもの、少し北上して台湾付近に向かうもの、東経130度に沿って北上し九州に接近するものがあります(図3)。
気象庁が発表しているフィリピンの東の熱帯低気圧の予報円でいえば、予報円の西側を通った場合と予報円の東側を通った場合が多く、予報円の真ん中を進む場合が少なかったということになります。
いずれにしても予報円が非常に大きく、進路がまだ定まっていると考えた方が正しいかもしれません。
最新の台風情報の入手に努め、警戒してください。
台風13号?
気がかりなのは台風12号になりそうな熱帯低気圧の東側に広がる雲域です。
ここでは、熱帯低気圧(熱低)が次々に発生しては消滅しています(タイトル画像参照)。
この中から、台風13号が発生する可能性が十分あります。
しかも、日本に近いところでの発生となりますので、発生まもなく日本に接近する可能性が高いという危険性があります。
加えて、台風12号、台風13号と続けて台風が発生した場合は、両者の距離が近いことから「藤原の効果」で動きが複雑になる懸念があります。
逆に、熱帯低気圧が台風にまで発達しなかった場合でも、南から暖かくて湿った空気が入りやすくなっていることには変わりがありません。
大気が不安定となり、局地的に積乱雲が発達して猛烈な雨が降る可能性もありますので、台風から離れている地方でも、警戒が必要です。
日本の南の海は、まだ夏の状態です。
そして、台風上陸数が一番多いのは9月、大きな被害をもたらす台風が一番多いのも9月ですので、9月は台風に警戒が必要な月です。
タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:気象庁ホームページ。
図3の出典:饒村曜・宮澤清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計 月別発生数・存在分布・平均経路、研究時報、気象庁。
表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。