立秋 異常に暑かった北海道は台風8号から変わった低気圧で大雨の懸念と秋の気配
北海道の立秋
8月8日は二十四節気の「立秋」です。
夏が極まって秋の気配が立ち始める日とされています。
二十四節気がつくられた中国の内陸部では、大陸性の気候であるため、この時期から気温が下がり始めますが、海で囲まれた日本では、多くの地方で立秋が夏の盛りです。
秋の気配がするのが、もう少し後になります。
ただ、例外は北海道です。
梅雨がないとされる北海道は、7月末から8月の初めが一番暑く感じ、立秋の頃には秋の気配を感じはじめるとされています。
令和元年(2019年)の北日本(北海道・東北)は、以上な暑さが続いています(図1)。
平年並みの気温より高い期間と、低い期間が交互にあらわれるのが普通ですが、平年より気温が低い時期は短く、ほとんどが平年よりかなり高い期間が続いています。
特に、中国大陸で温められ、乾燥した空気が流入した5月26日は、北海道を中心として記録的な高温となりました。
大雪山系の山越えの風が吹き降りた北海道東部やオホーツク海沿岸では、フェーン現象も加わって、軒並み猛暑日(日最高気温が35度以上の日)となっています。
オホーツク海沿岸の佐呂間では39.5度を観測し、5月としての日本記録を観測しました。
5月の最高気温のランキングは、これまで埼玉県秩父の37.2度が第一位でしたが、佐呂間だけでなく、北海道18地点がこれを抜いています(表)。
また、帯広では38.8度を観測したのですが、5月として第1位というだけでなく、年間を通しても第1位です。120年以上観測が残されている帯広において、真夏よりも暑いという記録が5月にでました。
北海道の記録的な暑さは、7月も、8月上旬も続きました(図2)。
しかし、令和元年(2019年)も、立秋を境に、平年並みの気温に下がる予報です。
記録的な暑さが続いていたことを思うと、今年も立秋とともに秋の気配がきたと言えなくもありません。
これは、台風8号から変わった低気圧の影響です。
台風8号から変わった低気圧
8月2日9時に発生した台風8号は、北西進しながら発達し、6日5時に宮崎市付近に上陸し、そのまま九州を縦断しました(図3)。
そして、7日9時に朝鮮半島で熱帯低気圧に変わり、8日9時には温帯低気圧に変わって北日本を通過する見込みです。
台風ではないといっても、日本の南海上から多量の水蒸気を持ち込んでいますので、大雨の可能性がある危険な温帯低気圧です。
このため、気象庁では「大雨に関する早期注意情報」を発表し、8月9日の北海道は、大雨警報を発表する可能性があるとしています(図4)。
台風8号から変わった低気圧が通過した後の北海道は、秋の空気におおわれ、最高気温が30度を越さなくなります(図5)。
降水の有無の信頼度が、5段階で一番低いEが少なくありませんが、最高気温が30度以上の真夏日が続いていた立秋前と比べれば、明らかに様変わりです。
ただ、このような様変わりは北海道だけです。
東北が夏と秋の境目
各地の10日間予報を見ると、札幌で最高気温が30度以上という真夏日の予報がなくなる一方、仙台で傘マークの日が連続しています(図6)。
これは、北海道では秋の空気、東日本から西日本は夏の空気が支配するようになり、その境目の東北地方で前線が停滞しやすくなっているためです。
立秋を過ぎても、東日本から西日本は暑い日が続き、最高気温が30度以上の真夏日を通り越して、最高気温が35度以上の猛暑日が連続する地方もあります。
立秋を過ぎても夏真っ盛りで、厳しい残暑です。
秋の気配どころではありません。
一方、沖縄地方は14日まで傘マークの日が続きます。
また、来週になると傘マークや黒雲(雨がふりそうな曇り)マークが出はじめます。
これは、沖縄県先島諸島に向かっている台風9号と、小笠原近海を北上する台風10号の影響です。
最近は、台風予報の進歩を反映して予報円の大きさが小さくなっていますが、台風10号の予報円は、最近の予報としてはかなり大きな円です(図7)。
ということは、台風10号の進路予報が難しいことを意味しています。
常に最新情報の入手に努めてください。
図1の出典:気象庁ホームページ。
図2の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。
図3の出典:気象庁ホームページ資料に著者加筆。
図4、図5、図6、図7の出典:ウェザーマップ提供。
表の出典:気象庁資料をもとに著者作成。