入社2年目からは、他人の意見を鵜呑みにしない「発酵思考」を持て!
入社して1年目は、何も考えずに上司が言うこと。会社の指示に従順であるべきです。もちろん常識の範囲内ですが、よほどのことがない限り、先輩社員が言うこと、社内研修の講師が言うことを素直に聞いて、つべこべ言わずその通りにやることが大切。
たとえ周囲に、
「自分のやりたいことをやらせてもらえない。何のためにこの会社に入ったかわからない」
「上司が言っていることが腹に落ちない。何かが違う気がする」
……などと言っている同僚がいたとしても、です。それはそれ。自分は自分。受け流しておいて、思考ノイズを自分の力で取り払って、淡々と言われたことをやったほうがいい。なぜなら行動を起こした前と後とでは、物事に対する「解釈の幅」が変わるからです。「理解度」ではありません。「解釈の幅」です。
自分が想像していた物事の見方であったり、角度であったり、抜けていた視点であったり、がわかってくるのです。
「最初は、なんでこんなことをやらなくちゃいけないのかと思ったけど、3ヶ月経ってようやくわかってきた」
「やってきてわかったけど、この視点は抜けていたな」
……という気付きが、一方向の面ではなく、多面的に得られるのです。
また行動することで「気付き」のみならず、反対に「混乱」もあるはずです。
「自分ではこうだと思ってやってみたけど、うまくいかない。どうすればいいんだ。わからなくなってきた」
……このような混乱があり、誰かに質問してもすぐに知識を補えないで、悶々とする日々を送ってしまうこともあるでしょう。
それでも、入社1年目は、上司や先輩が言うことを条件反射的に「はい」と言って、行動していればいいのです。すぐに素敵な気付きがなく、混乱があってもそのまま放置して、その体験に基づいた葛藤や居心地悪さを受け止め、じっくりと脳の中で寝かせておくのです。そしてできれば、いろいろな分野のビジネス書を読みましょう。セミナーや講演などを聴いて、偉大な先人たちの考え方や価値観に触れましょう。
2年目になると、それら仕入れた体験や知識が徐々に「発酵」していきます。
上司から言われたこと、会社から言われた心構えや考え方で納得のいかないこと、少ししっくりこないことがあれば、条件反射で「はい」「いいえ」とするのではなく、いったん受け止めます。そして状況が許せば、なぜそう考えるべきなのかを自問自答し続けます。
しばらくは「混乱」が続くかもしれません。それでも放置です。9割、8割は、言われたとおりの価値観で仕事を続けます。疑う気持ちがあっても条件反射的に受け止めるのではなく、いったん受け止める。我慢するのではなく、受け止めながら前へ進むのです。
3年目、4年目になってくると、これまで継続して取り入れたものと化学反応を起こし、エネルギーへと化します。まさに正しく「発酵」してくる、と言えるでしょう。
異なる考えや体験を数多く、条件反射的に否定することなく取り入れていくことで、正しく発酵することができます。ビジネスに限らず、何でも習得するときはつべこべ言わず、いったん取り入れ、寝かせておく。これが「発酵思考」です。先述したとおり、どう考えても常識的におかしいこと、生理的に受け付けないことでない限り、異質なものも取り入れて発酵するまで寝かせておく時間と根気が必要ですね。
基本的には、会社や上司の言いなりになる必要はないのです。しかし自分が、自分の言葉で、自分の行動に責任を持つためには、思考の発酵プロセスは必要だと思っています。