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日本代表目指すも憧れは母国の英雄。ワーナー・ディアンズが目指す「世界一」の域【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
スクリーンショットは筆者制作

 身長202センチ、体重122キロ。9月29日からのラグビー日本代表候補合宿の参加者で、もっとも身体の大きな有望株だ。

 ワーナー・ディアンズ。この春、流通経済大学付属柏高校卒業と同時に東芝(現東芝東京)入りした19歳だ。

 今回の代表候補合宿へは、代表予備軍にあたるナショナル・デベロップメント・スコッドという位置づけで参加。現所属先では練習試合を含め実戦経験がないなか、若さと大きさを見込まれている。ワールドカップ日本大会で活躍した選手を含む計44名(追加招集組を除く)にあって、ファン、メディアの耳目を集める。

 キャンプ2日目の9月30日、オンラインで会見。全て日本語で応対した。オールブラックスこと母国ニュージーランド代表の戦士に憧れてきた少年が、なぜこの国で戦うと決めたのか。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——合宿に参加してみて。

「テレビで観ていた選手がいて、身体でかいな、強いなと思いました。(取材した時点では)まだ身体はぶつけてないですが。

最初、東芝に入ってから、まず自分の身体を世界で戦えるように大きくして、強くしてきて。この合宿に参加して、自分の強さ、身体とかは、(他選手と)同じレベルだなと思って。ここで経験して、次の合宿、ツアーとかに行けるよう頑張っていきたいと思います。

体重は、高校の時に比べて8キロは増えています。(身長は)まだ伸びているとは思いますが、どれくらいまでいくかはわからないです。

ラインアウト、フィジカル、タックル、ボールキャリーで負けないということをアピールしたいです」

——選手とのコミュニケーションは。

「うまく取れています。日本人選手とは日本語、外国人選手とは英語で話しています」

——今合宿での同部屋は誰ですか。

「ジェームズ・ムーア選手です(日本大会で全5試合に先発したロック)」

——ムーア選手とはどんな話を。

「え、と…。ムーア選手は最近ちょっとゲームをやっていますので、あまり深い話はまだ、してないです(一同、笑う)」

——ディアンズさんが周囲に遠慮することはあるか。

「あまりないと思います」

——代表候補入りの報せはいつ聞きましたか。

「いつ頃かな…。6月の末? 7月、くらいですかね」

——では話をさかのぼります。高校卒業後、ニュージーランドに帰らなかった一番の理由は。

「一番の理由は、高校は日本でプレーしていて、そこからニュージーランドに戻って(地元の選手が激しい競争を繰り広げる)アカデミーとかクラブチームとかに入って、プロチームまで行くのは難しいと思っていて。ただ、日本にいれば東芝に入れるチャンスがあって。それが多分、一番の理由だと思います。その時、(将来的にも)日本のためにプレーしたいと決めました」

——ディアンズ選手が日本に残った裏には、現東芝のリーチ マイケル選手(高校時代に来日)の存在もあったのでは。高校時代の相亮太監督はそんな風に話していました。

「東芝に入るの(背景に)はリーチさんも大きかったと思います」

——そのリーチ選手から学んでいることは。

「細かいスキル、ラインアウトのジャンプの仕方…そういうのを学んでいます」

——東芝の望月雄太採用を始め、多くの方がディアンズ選手のハングリーさを評価しています。あなたの向上心の源はどこにあるのでしょうか。

「まぁ…(言葉を探すよう視線を上に向けて)自分の一番、大きな目標は、世界で一番のロックになること。中学校の時からそう思っていました。それで、世界一のロックになるためには、きつい練習、激しい練習をやらないといけないと思います。

 2011、15年のワールドカップ(それぞれニュージーランド、イングランドで開催。ニュージーランド代表が2連覇)を見て、ニュージーランド代表のロックを見てかっこいいなと思って、自分も身体がでかいから、お父さんは『お前はロックのポジションをやるだろう』ってずっと言っていました」

——憧れの選手、目標の選手は。

「オールブラックス(ニュージーランド代表)のブロディ・レタリック。中学、高校の頃からずっと好きな選手です。レタリックは身体がでかくて試合でもハードワークしているし、スキルセットも高い。目標の選手だと思います」

 今季まで神戸製鋼(現コベルコ神戸スティーラーズ)でプレーしていたブロディ・レタリックは、身長204センチ、体重121キロと巨漢ながら空中戦以外の場でも活躍。献身性と読みの鋭さを活かして防御の隙間を埋め、攻めては的確な読みでパスコースへ駆け込む。

 果たしてディアンズは、母国と違う色のジャージィを着て母国の英雄のようなプレーができるようになるか。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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