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球速35.1マイルのスローボールで併殺打に仕留める。史上最低速!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダニー・メンディック(シカゴ・ホワイトソックス)Apr 28, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月6日、シカゴ・ホワイトソックスは、2対14でボストン・レッドソックスに敗れ、5月22日からの連敗は14となった。それまでの球団シーズン記録は、1924年8月の13連敗。100年ぶりに記録を塗り替えた。

 12点のビハインドで迎えた9回表は、ユーティリティの野手、ダニー・メンディックがマウンドに上がった。そして、自身の背番号と同じく、失点ゼロでイニングを終わらせた。ライト・ライナーを間に挟み、2本のシングル・ヒットで1死一、二塁とされたが、4人目のエンマンウェル・バルデスを5-6-3の併殺打に仕留めた。

 メンディックが投げた15球は、スタットキャストによると、59.4マイル(約95.6km)が最も速く、34.3マイル(約55.2km)が最も遅かった。併殺打となった投球は、2番目に遅い35.1マイル(約56.5km)だった。

 2008年以降の「ピッチ・トラッキング・エラ」において、最も遅い投球は、2021年8月7日にブロック・ホルトが投げた、30.1マイル(約48.4km)だ。マット・チャップマン(当時オークランド・アスレティックス/現サンフランシスコ・ジャイアンツ)は、この球を左中間へ打ち返し、ヒットにしたが、二塁でアウトになった。

 アウトになった投球に限ると、同じ日にホルトがジョシュ・ハリソンを投手ゴロに討ち取った、32.6マイル(約52.5km)が最も遅い。

 メンディックの35.1マイルは、ゴロによる併殺打となった投球の最低速を更新した。それまでは、昨年5月26日にライアン・マッケンナ(当時ボルティモア・オリオールズ/現ジャイアンツ)が投げた、36.9マイル(約59.4km)が最も遅かった。

 メンディックと同じく、ホルトとマッケンナも野手だ。

 なお、ホームランとなった投球は、35.1マイルが最も遅く、102.8マイル(約165.4km)が最も速い。前者は、2022年6月12日にフランク・シュウィンデルが投げ、カイル・ヒガシオカ(当時ニューヨーク・ヤンキース/現サンディエゴ・パドレス)が打った。後者については、こちらで書いた。

「100マイル以上の投球を打ち返してホームランにする。これは稀!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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