地震余震が続く中での子どもの心のケア:熊本地震、再び震度6強M7.1(M7.3):熊本で阿蘇で大分で
■再び大きな地震が
1月18日午前1時25分、熊本に再び震度6強の大きな地震が襲いました。M7.1です。最初の地震よりも規模が大きいことから、こちらの方が「本震」と解説している専門家もいます。その後も、九州の広い地域で震度6強6弱5強の強い余震が続いています。
熊本城の石垣がまた壊れた、竜神橋が落ちた、家が崩れて何人もの人が閉じ込められている、死者もいるらしい。熊本市民病院に倒壊の危険がある。深刻な情報が次々と入ってきます。多数のけが人が出て、「トリアージ」といった言葉もアナウンサーの話から聞こえてきます。
(補足4.16.3:50 当初マグニチュードマグニチュード7.1とされた地震は、M7.3、深さ12キロと訂正されました。広い地域で強い揺れがあり、大きな被害が心配されます。熊本県宇土市の市役所庁舎が崩壊している、八代市で火災発生との情報も入りました。)
■心の問題の悪化とリマインダー
大災害後に必要なのは、安心安全です。心のケアなどの前に、安全な場所、必要な物資、必要な生活情報によって、安心を取り戻すことが必要です。
被災地では、避難所の準備も整い、少し片付けが始まり、物資も集まってきていたでしょう。安心安全が少しずつ作られていたでしょう。
しかし、この夜中に強い地震と津波注意報です。ただでさえ、小さな揺れにも敏感に反応してしまう状況なのに、巨大地震に襲われる。どれ程辛いことでしょう。
最初の地震で被害が出ている建物が、次の地震に襲われると倒壊の危険性が増すように、心も度重なる地震で恐怖と不安が増すのは当然です。怖がるのも、不安がるのも当然です。
言うまでもなく、まず人命救助です。安心安全です。
その上で、ふるえている子どもを抱きしめたいと思います。
大人も子どもも、大災害の直後に、さらに恐怖を思い起こすような出来事(リマインダー)が多いことは、心の問題を長期化させやすくします。
建物と心を揺さぶり続ける地震から、子どもや高齢者、迅速な非難が難しい人々、そのような災害弱者を守りたいと思います。
■嘘つきになってしまった大人たちへ
子どもに安心安全を与えるために、暖かな毛布で包み、抱きしめて、「大丈夫だよ、もう大丈夫だよ、ここは安全だよ」と伝えてあげる必要があります。
ところが、「もう大丈夫だ」と子どもを安心させていたのに、再び夜中に大地震です。津波注意報まで出ました。
今までの大地震でも、起きたことです。余震がなかなか収まらなかったり、わずか数年後に同じような地域で地震が続いたこともあります。
「もう大丈夫だって言ったのに、どうしてまた地震が来たの?」
子どもは、大人に聞いてきました。
どうしてまた地震が来たのか。いつになったら収まるのか。専門家でもわかりません。余震はだんだん収まると思っていたののに、最初の地震を上回る地震が来るなど、誰が予想できたでしょうか。
安易な嘘で子どもを丸め込もうとするのは、逆効果でしょう。正直に話して良いと思います。
「いつ余震が来るのか、いつ余震がおさまるのか、それはお父さんにも、お母さんにも、先生にもわからない」と。
その上で、「父さんや母さんが絶対に守る」と、宣言してあげましょう。これは、嘘でもなく、安易な慰めでもなく、約束であり、宣言なのです。
いつ地震が来るのかわからないから、用心を続けることは必要です。わからないことは、わからないと伝えましょう。でも、子どものことを愛し、「全力で守るから大丈夫だ」と伝えることこそが、大人の役割だと思うのです。
親が安定していることが、子どものPTSDの発症を予防します。ただそうは言っても、親も不安なのは当然です。どうぞ、親御さんご自身がご自愛ください。飛行機事故で酸素マスクが降りてきたときには、親は子どもにマスクをつける前に自分自身にマスクをつけるのが正解です。親が倒れては、子どもに酸素マスクができないからです。
子どもを守るために必要なことは、まず親が自分を守ることです。
そして、子どもを支える親を、周囲が支えましょう。
■補足4:10
この記事をアップした後、続々と大きな被害が報道されています。余震による不安から子どもの心を守るといった内容は、場違いな感じがするほどです。心の前に命だからです。今、懸命に人命救助に当たっている人たちがいることでしょう。ただそれでも、ふるえている子どもを、誰かが抱きしめなければならないとは思います。