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まさにRBIマシン。開幕44試合で50打点を超える。シーズン記録の更新は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホゼ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)May 30, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月30日、ホゼ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)は、ヒットとホームランで計3打点を挙げ、シーズン打点を51とした。この日を終え、リーグ2位のアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)とトレバー・ストーリー(ボストン・レッドソックス)に、14打点差をつけている。

 ガーディアンズは、開幕から44試合を終えたところだ。ここからの118試合も、ラミレスが同じペース、1試合平均1.159打点を挙げると、シーズン全体では187~188打点となる。

 それでも、メジャーリーグ(ナ・リーグとア・リーグ)記録には届かない。シーズン最多は、1930年にハック・ウィルソンが記録した191打点だ。しかも、ウィルソンがプレーしたこの年のシカゴ・カブスは156試合。ウィルソンの出場は155試合だった。

 とはいえ、187打点なら、1931年に185打点のルー・ゲーリッグを上回り、ウィルソンに次ぐ2位に位置する。ちなみに、180打点以上は他にあと1人、1937年に184打点のハンク・グリーンバーグしかいない。なお、彼らの打点は、ベースボール・リファレンスに従った。MLB.comは、それぞれの打点を184と183としている。

 今世紀に入ってからのトップ3は、2001年に160打点のサミー・ソーサ、2007年に156打点のアレックス・ロドリゲス、2004年に150打点のミゲル・テハダだ。過去10シーズン(2012~21年)に限ると、2012年に139打点のミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)が最も多い。この年、カブレラは三冠王となった。

筆者作成
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 ここまで、ラミレスは、打率.297と出塁率.391、OPS1.039を記録している。長打は、ホームランが13本、三塁打が4本、二塁打は11本だ。これまでの9シーズンに、40本塁打以上やOPS.1.000以上はないものの、今シーズンの成績はフロックではない。過去5シーズン(2017~21年)のOPSは.957→.939→.806→.993→.893と推移している。大きく凹んでいるのは、2019年だけだ。

 ただ、シーズン150打点や160打点に到達できるかどうかは、まだわからない。ラミレスは、走者がいない打席の打率.218と出塁率.320、OPS.711に対し、走者がいる時は打率.385と出塁率.467、OPS1.403を記録している。得点圏に走者がいる時は、さらに高い。この差は、少し極端な気がする。シーズンが進み、サンプル数が増えるに従い、同水準にはならないにせよ、前者は上がり、後者は下がるのではないだろうか。

 また、ラミレスの打順は、どの試合も3番だ。ガーディアンズの打順トップ2は、1番がマイルズ・ストロウ、2番はスティーブン・クワンが多かったが、最近はアーメッド・ロザリオの2番が増えている。3人の出塁率は.337と.349と.277だ。クワンが下位に回されたのは、5月に入って打率と出塁率が急降下しているのが理由だろう。4月は打率.354と出塁率.459、5月は打率.173と出塁率.271だ。一方、ロザリオの出塁率は4月よりも5月のほうが高いものの、どちらの月も.300未満であることに変わりはない。それが誰にせよ、前を打つ選手たちの出塁がこれまでより少なくなれば、ラミレスが打点を稼ぐチャンスも減少する。

 なお、ガーディアンズのシーズン最多は、165打点だ。クリーブランド・インディアンズ時代の1999年に、マニー・ラミレスが記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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