大阪桐蔭、東邦全勝! 練習試合からみるセンバツ出場校
センバツ出場校の戦力ははかりにくい。大会の4か月以上も前のデータしかないからだ。ましてや練習試合ともなると、新チーム結成直後の夏休みに行われた試合が半数以上の高校もあって、どこまで信用できるかははなはだ疑問だ。ただ、その段階でどこが地区大会に進み、センバツに出てくるかは全くわからない。高校野球では、センバツ前の甲子園出場校同士の練習試合は禁じられている。そのため、秋の段階とは言え、出場校同士が対戦していたら興味深い。ここではスポーツ紙等で詳しく触れられていない昨秋の練習試合のデータを紹介する。
(主催者発表のデータを独自に分析している)
駒大苫小牧(北海道)22勝11敗
今大会出場校との試合はない。神宮大会前に関東の強豪・浦和学院(埼玉)、平塚学園(神奈川)に敗れている。
聖光学院(福島)32勝5敗3分
出場校では8月に国学院栃木に敗れ、日大山形と1勝1敗。10月9日以降は16連勝と、チームが出来上がっていったことがよくわかる。
花巻東(岩手)27勝8敗3分
出場校とは対戦がなく、同県のライバル一関学院には1敗1分。青森山田とは1勝1敗などが強豪との対戦。
日大山形 12勝11敗
夏も出場したため、苦戦が多かった。出場校では明秀日立に1敗。聖光に1勝1敗。強豪では作新学院(栃木)に1勝1敗。盛岡大付(岩手)に1勝1敗など。
中央学院(千葉)51勝13敗7分
試合数は多いが、今大会出場校とは試合なし。常総学院(茨城)に1勝1敗。横浜(神奈川)と引き分けなど。
明秀日立(茨城)22勝5敗
日大山形に1勝。国学院栃木と1勝1敗が出場校対戦。強豪では、花咲徳栄(埼玉)に1敗。二松学舎大付(東京)に1勝。盛岡大付に2勝。
東海大相模(神奈川)54勝1敗2分
唯一の負けは10月14日の東邦(愛知)との0-1。ほか出場校では国学院栃木に2勝している。強豪では、上田西(長野)、花咲徳栄、遊学館(石川)、桐光学園(神奈川)などに勝ち、立命館宇治(京都)、桐蔭学園(神奈川)と1勝1分。
慶応(神奈川)33勝9敗3分
出場校とは対戦なし。常葉大菊川(静岡)に2勝。土浦日大(茨城)に1勝1敗。横浜に1敗など。
国学院栃木 28勝18敗1分
東海大相模に連敗。日大三(東京)とは1勝1敗。聖光に勝ち。明秀日立に1勝1敗、花巻東に1勝するなど今大会出場校と多くの対戦が。甲子園での再戦なるか。
日大三(東京)23勝2敗
出場校では国学院栃木と1勝1敗。あとひとつの負けは関西(岡山=1勝1敗)。そのほか岩国商(山口)、拓大紅陵(千葉)、遊学館などに勝っている。
静岡 17勝3敗
出場校とは対戦がなかった。甲子園常連の横浜に1勝。佐久長聖(長野)に2勝。静岡商に1敗。愛知に1勝1敗など。
東邦(愛知)29勝0敗3分
毎年、練習試合で無類の強さを誇る。出場校では、三重に2勝。近江(滋賀)、航空石川、富山商、東海大相模に1勝。智弁学園(奈良)とは1勝1分。星稜(石川)には0-0の引き分け。ほかにも強豪との対戦が多く、中京学院大中京(岐阜)、東山(京都)、八幡商(滋賀)、豊川(愛知)などにも勝って、報徳学園(兵庫)とは1勝1分。
三重 30勝4敗3分
東邦には7月31日に連敗したが、8月22日は乙訓(京都)に連勝。9月10日には近江にも連勝している。強豪との対戦では、報徳学園、至学館(愛知)に勝ち、中京大中京(愛知)とは引き分けた。
日本航空石川 12勝4敗1分
夏の甲子園に出たため、練習試合は少なかった。甲子園初戦で対戦の可能性がある大阪桐蔭、東邦に負け。富山商に勝ち。強豪では天理(奈良)、大阪偕星に勝ち、滋賀学園、山梨学院とは1勝1敗。
星稜(石川)31勝3敗3分
8月27日に彦根東(滋賀)に連勝。11月19日に東邦と引き分け。強豪では、福井工大福井に2勝。関東一(東京)と愛工大名電(愛知)に1敗1分、龍谷大平安(京都)に負け。興南(沖縄)には勝った。
富山商 26勝12敗4分
航空石川、東邦に1敗が出場校。強豪では、関東一に1敗1分、金沢(石川)と中京学院大中京に1勝1敗。高岡第一(富山)に2勝、大冠(大阪)に1勝1敗など。
大阪桐蔭 12勝0敗1分
夏の甲子園出場もあって、試合数は少ない。出場校では航空石川に1勝。創志学園(岡山)や八王子(東京)、尽誠学園(香川)など、近年の甲子園出場校に勝っている。近大付にも2勝し、同校とは公式戦も含め4連勝。引き分けは金沢泉丘(石川)。
智弁和歌山 9勝2敗
大阪偕星に敗戦でスタート。創志学園とは1勝1敗。徳島商、徳島北に勝ち、近畿大会後、西宮南(兵庫)に連勝した。今大会出場校との対戦はなかった。
乙訓(京都)50勝13敗5分
試合数は多いが、出場校との対戦は、8月22日、三重に連敗だけ。強豪では、明石商(兵庫)と引き分け、京都翔英、京都成章、鳴門渦潮(徳島)、比叡山(滋賀)、如水館(広島)などに勝ったが、大垣日大(岐阜)には連敗。北陸(福井)とは1勝1敗だった。
近江(滋賀)42勝3敗2分
負けは先述の東邦、三重(2敗)のいずれも出場校。強豪では、宇部鴻城(山口)、東山、大体大浪商(大阪)、上宮太子(大阪)、国士舘(東京)などに勝ち、大垣日大、豊川とは1勝1分。
彦根東(滋賀)16勝6敗2分
星稜に2敗するなど、夏の甲子園直後だけで1勝5敗。その負けには京都成章、津田学園(三重)という夏の甲子園出場校も含まれている。その後は、遊学館や報徳学園に勝つなど、徐々に調子を上げていった。
智弁学園(奈良)28勝6敗1分
東邦に1敗1分が唯一の出場校との対戦。強豪では、大阪偕星、北大津(滋賀)、崇徳(広島)、開星(島根)などに勝ち、関大北陽(大阪)、鳥羽(京都)に負け、国士舘と1勝1敗など。
おかやま山陽(岡山)23勝8敗3分
高知に1敗1分。松山聖陵に2勝。英明(香川)にも快勝した。そのほかでは、岡山学芸館と1勝1敗。鳴門(徳島)には勝ったが、尽誠学園には連敗した。
下関国際(山口)12勝8敗1分
9月3日、瀬戸内(広島)に連勝したのが出場校との対戦。関東一に1勝1敗だったが、広陵(広島)には4-5で惜敗。中国大会後には創志学園にも敗れた。
瀬戸内(広島)8勝11敗
練習試合では不振。夏休み中は6勝6敗だったが、9月に入り下関国際に連敗するなど負けが多かった。ほかでは広島1位の盈進に快勝し、大社(島根)に2連勝した。
明徳義塾(高知)24勝6敗1分
8月18日、英明に快勝。高知には8月28日に敗れている。神宮大会の決勝でも対戦した創成館(長崎)には10-3で快勝。そのほか強豪では、創志学園、済美(愛媛)、三本松(香川)や龍谷大平安にも勝っている。また、福岡大大濠、滝川二(兵庫)とは1勝1敗だった。
英明(香川)29勝18敗4分
明徳、おかやま山陽には敗れたが、高知には勝った。強豪では、土佐(高知)に1勝1敗。明石商には負け。鳴門に勝ち。健大高崎(群馬)には敗れた。
松山聖陵(愛媛)9勝11敗1分
練習試合では負け越した。出場校では、おかやま山陽に連敗している。強豪では、倉敷商(岡山)に勝ったが、高田商(奈良)には敗戦。秋の広島大会優勝の盈進には2勝1敗だった。
高知 24勝13敗4分
おかやま山陽に1勝1分。英明に敗れたが、明徳には勝っている。福岡大大濠には2敗。高松商(香川)と岡山学芸館にも敗れたが、昨春センバツ出場の帝京五(愛媛)とは1勝1敗だった。
創成館(長崎)38勝10敗
出場校との対戦は明徳(負け)だけ。九州の強豪では、鹿児島実に1勝1敗、長崎日大、明豊(大分)には勝った。48試合中、投手が完投したのはわずか3試合しかない。このチームの特徴がよく表われている。
富島(宮崎)24勝8敗2分
同県の延岡学園には8月27日に1点差で勝っているが、そのほかの出場校との対戦はない。鹿児島実に1勝1敗、大分商に1勝など。昨夏宮崎代表の聖心ウルスラにも勝った。練習試合の全てが九州勢との対戦で、甲子園での初陣が注目される。
延岡学園(宮崎)18勝4敗
富島に負けたのが出場校との対戦で、甲子園で当たるとすれば決勝しかない。大分商、早稲田佐賀などの強豪に2勝。福岡大大濠、明豊には敗れたが、如水館とは1勝1敗だった。
東筑(福岡)19勝2敗1分
出場校との対戦はなく、近隣の高校との手合わせが目立つ。負けは香椎と鞍手の同県勢。小倉東、小倉工などの甲子園経験校にはいずれも2連勝している。
由利工(秋田=21世紀枠)18勝9敗2分
今大会出場校とは対戦しなかったが、一関学院(岩手)、酒田南(山形)といずれも1勝1敗。能代松陽(秋田)とは引き分けていて、東北大会1勝がうなづける戦績。
伊万里(佐賀=21世紀枠)18勝15敗3分
出場校とは対戦がなく、県内の強豪では佐賀学園、早稲田佐賀に勝ち。長崎商、柳川(福岡)などの甲子園経験校には2敗している。
膳所(滋賀=21世紀枠)16勝13敗2分
県外との対戦は多いが、今大会に出る学校とは戦っていない。県内の甲子園経験校では、瀬田工に勝ったが、八幡商、堅田には負け。県外では土佐と1敗1分。ほかにも進学校の岐阜(引き分け)、岡山朝日(2勝)、西京(京都=2勝)など対戦相手の傾向が面白い。
補欠校も参考までに紹介したい。
旭川実(北海道)23勝3敗1分
能代松陽(秋田)24勝15敗2分
酒田南(山形)16勝8敗2分
健大高崎(群馬)65勝12敗4分
霞ヶ浦(茨城)44勝13敗5分
佼成学園(東京)39勝15敗3分
中京学院大中京(岐阜)7勝6敗1分
常葉大菊川(静岡)34勝12敗1分
富山国際大付 12勝6敗2分
北越(新潟)22勝10敗4分
明石商(兵庫)36勝3敗3分
履正社(大阪)38勝5敗1分
尾道(広島)10勝4敗3分
鳥取商 25勝7敗6分
高松商(香川)29勝10敗2分
生光学園(徳島)21勝5敗
明豊(大分)19勝7敗3分
沖縄尚学 26勝6敗2分
金津(福井=21世紀枠)22勝10敗3分
高知追手前(21世紀枠)15勝12敗1分
近畿の補欠になった2校がいかに実力があるかよくわかる。なお、上記補欠校は出場の可能性があるため、出場校と大会前に練習試合を行うことはできない。ここでご紹介した数字はあくまで昨秋のデータで、しかも夏休み中の試合が半数以上というチームの方が圧倒的に多い。ほんの参考程度と思っていただいた方がいいだろう。