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大阪桐蔭、東邦全勝!  練習試合からみるセンバツ出場校

森本栄浩毎日放送アナウンサー
36校が集うセンバツ記念大会。練習試合成績はどこまで参考になるのか(撮影筆者)

 センバツ出場校の戦力ははかりにくい。大会の4か月以上も前のデータしかないからだ。ましてや練習試合ともなると、新チーム結成直後の夏休みに行われた試合が半数以上の高校もあって、どこまで信用できるかははなはだ疑問だ。ただ、その段階でどこが地区大会に進み、センバツに出てくるかは全くわからない。高校野球では、センバツ前の甲子園出場校同士の練習試合は禁じられている。そのため、秋の段階とは言え、出場校同士が対戦していたら興味深い。ここではスポーツ紙等で詳しく触れられていない昨秋の練習試合のデータを紹介する。

(主催者発表のデータを独自に分析している)

駒大苫小牧(北海道)22勝11敗 

 今大会出場校との試合はない。神宮大会前に関東の強豪・浦和学院(埼玉)、平塚学園(神奈川)に敗れている。

聖光学院(福島)32勝5敗3分

 出場校では8月に国学院栃木に敗れ、日大山形と1勝1敗。10月9日以降は16連勝と、チームが出来上がっていったことがよくわかる。

花巻東(岩手)27勝8敗3分

 出場校とは対戦がなく、同県のライバル一関学院には1敗1分。青森山田とは1勝1敗などが強豪との対戦。

日大山形  12勝11敗

 夏も出場したため、苦戦が多かった。出場校では明秀日立に1敗。聖光に1勝1敗。強豪では作新学院(栃木)に1勝1敗。盛岡大付(岩手)に1勝1敗など。

中央学院(千葉)51勝13敗7分

 試合数は多いが、今大会出場校とは試合なし。常総学院(茨城)に1勝1敗。横浜(神奈川)と引き分けなど。

明秀日立(茨城)22勝5敗

 日大山形に1勝。国学院栃木と1勝1敗が出場校対戦。強豪では、花咲徳栄(埼玉)に1敗。二松学舎大付(東京)に1勝。盛岡大付に2勝。

東海大相模(神奈川)54勝1敗2分

 唯一の負けは10月14日の東邦(愛知)との0-1。ほか出場校では国学院栃木に2勝している。強豪では、上田西(長野)、花咲徳栄、遊学館(石川)、桐光学園(神奈川)などに勝ち、立命館宇治(京都)、桐蔭学園(神奈川)と1勝1分。

慶応(神奈川)33勝9敗3分

 出場校とは対戦なし。常葉大菊川(静岡)に2勝。土浦日大(茨城)に1勝1敗。横浜に1敗など。

国学院栃木  28勝18敗1分

 東海大相模に連敗。日大三(東京)とは1勝1敗。聖光に勝ち。明秀日立に1勝1敗、花巻東に1勝するなど今大会出場校と多くの対戦が。甲子園での再戦なるか。

日大三(東京)23勝2敗

 出場校では国学院栃木と1勝1敗。あとひとつの負けは関西(岡山=1勝1敗)。そのほか岩国商(山口)、拓大紅陵(千葉)、遊学館などに勝っている。

静岡  17勝3敗

 出場校とは対戦がなかった。甲子園常連の横浜に1勝。佐久長聖(長野)に2勝。静岡商に1敗。愛知に1勝1敗など。

東邦(愛知)29勝0敗3分

 毎年、練習試合で無類の強さを誇る。出場校では、三重に2勝。近江(滋賀)、航空石川、富山商、東海大相模に1勝。智弁学園(奈良)とは1勝1分。星稜(石川)には0-0の引き分け。ほかにも強豪との対戦が多く、中京学院大中京(岐阜)、東山(京都)、八幡商(滋賀)、豊川(愛知)などにも勝って、報徳学園(兵庫)とは1勝1分。

三重  30勝4敗3分

 東邦には7月31日に連敗したが、8月22日は乙訓(京都)に連勝。9月10日には近江にも連勝している。強豪との対戦では、報徳学園、至学館(愛知)に勝ち、中京大中京(愛知)とは引き分けた。

日本航空石川  12勝4敗1分

 夏の甲子園に出たため、練習試合は少なかった。甲子園初戦で対戦の可能性がある大阪桐蔭、東邦に負け。富山商に勝ち。強豪では天理(奈良)、大阪偕星に勝ち、滋賀学園、山梨学院とは1勝1敗。

星稜(石川)31勝3敗3分

 8月27日に彦根東(滋賀)に連勝。11月19日に東邦と引き分け。強豪では、福井工大福井に2勝。関東一(東京)と愛工大名電(愛知)に1敗1分、龍谷大平安(京都)に負け。興南(沖縄)には勝った。

富山商  26勝12敗4分

 航空石川、東邦に1敗が出場校。強豪では、関東一に1敗1分、金沢(石川)と中京学院大中京に1勝1敗。高岡第一(富山)に2勝、大冠(大阪)に1勝1敗など。

大阪桐蔭  12勝0敗1分

 夏の甲子園出場もあって、試合数は少ない。出場校では航空石川に1勝。創志学園(岡山)や八王子(東京)、尽誠学園(香川)など、近年の甲子園出場校に勝っている。近大付にも2勝し、同校とは公式戦も含め4連勝。引き分けは金沢泉丘(石川)。

智弁和歌山  9勝2敗

 大阪偕星に敗戦でスタート。創志学園とは1勝1敗。徳島商、徳島北に勝ち、近畿大会後、西宮南(兵庫)に連勝した。今大会出場校との対戦はなかった。

乙訓(京都)50勝13敗5分

 試合数は多いが、出場校との対戦は、8月22日、三重に連敗だけ。強豪では、明石商(兵庫)と引き分け、京都翔英、京都成章、鳴門渦潮(徳島)、比叡山(滋賀)、如水館(広島)などに勝ったが、大垣日大(岐阜)には連敗。北陸(福井)とは1勝1敗だった。

近江(滋賀)42勝3敗2分

 負けは先述の東邦、三重(2敗)のいずれも出場校。強豪では、宇部鴻城(山口)、東山、大体大浪商(大阪)、上宮太子(大阪)、国士舘(東京)などに勝ち、大垣日大、豊川とは1勝1分。

彦根東(滋賀)16勝6敗2分

 星稜に2敗するなど、夏の甲子園直後だけで1勝5敗。その負けには京都成章、津田学園(三重)という夏の甲子園出場校も含まれている。その後は、遊学館や報徳学園に勝つなど、徐々に調子を上げていった。

智弁学園(奈良)28勝6敗1分

 東邦に1敗1分が唯一の出場校との対戦。強豪では、大阪偕星、北大津(滋賀)、崇徳(広島)、開星(島根)などに勝ち、関大北陽(大阪)、鳥羽(京都)に負け、国士舘と1勝1敗など。

おかやま山陽(岡山)23勝8敗3分

 高知に1敗1分。松山聖陵に2勝。英明(香川)にも快勝した。そのほかでは、岡山学芸館と1勝1敗。鳴門(徳島)には勝ったが、尽誠学園には連敗した。

下関国際(山口)12勝8敗1分

 9月3日、瀬戸内(広島)に連勝したのが出場校との対戦。関東一に1勝1敗だったが、広陵(広島)には4-5で惜敗。中国大会後には創志学園にも敗れた。

瀬戸内(広島)8勝11敗

 練習試合では不振。夏休み中は6勝6敗だったが、9月に入り下関国際に連敗するなど負けが多かった。ほかでは広島1位の盈進に快勝し、大社(島根)に2連勝した。

明徳義塾(高知)24勝6敗1分

 8月18日、英明に快勝。高知には8月28日に敗れている。神宮大会の決勝でも対戦した創成館(長崎)には10-3で快勝。そのほか強豪では、創志学園、済美(愛媛)、三本松(香川)や龍谷大平安にも勝っている。また、福岡大大濠、滝川二(兵庫)とは1勝1敗だった。

英明(香川)29勝18敗4分

 明徳、おかやま山陽には敗れたが、高知には勝った。強豪では、土佐(高知)に1勝1敗。明石商には負け。鳴門に勝ち。健大高崎(群馬)には敗れた。

松山聖陵(愛媛)9勝11敗1分

 練習試合では負け越した。出場校では、おかやま山陽に連敗している。強豪では、倉敷商(岡山)に勝ったが、高田商(奈良)には敗戦。秋の広島大会優勝の盈進には2勝1敗だった。

高知  24勝13敗4分

 おかやま山陽に1勝1分。英明に敗れたが、明徳には勝っている。福岡大大濠には2敗。高松商(香川)と岡山学芸館にも敗れたが、昨春センバツ出場の帝京五(愛媛)とは1勝1敗だった。

創成館(長崎)38勝10敗

 出場校との対戦は明徳(負け)だけ。九州の強豪では、鹿児島実に1勝1敗、長崎日大、明豊(大分)には勝った。48試合中、投手が完投したのはわずか3試合しかない。このチームの特徴がよく表われている。

富島(宮崎)24勝8敗2分

 同県の延岡学園には8月27日に1点差で勝っているが、そのほかの出場校との対戦はない。鹿児島実に1勝1敗、大分商に1勝など。昨夏宮崎代表の聖心ウルスラにも勝った。練習試合の全てが九州勢との対戦で、甲子園での初陣が注目される。

延岡学園(宮崎)18勝4敗

 富島に負けたのが出場校との対戦で、甲子園で当たるとすれば決勝しかない。大分商、早稲田佐賀などの強豪に2勝。福岡大大濠、明豊には敗れたが、如水館とは1勝1敗だった。

東筑(福岡)19勝2敗1分

 出場校との対戦はなく、近隣の高校との手合わせが目立つ。負けは香椎と鞍手の同県勢。小倉東、小倉工などの甲子園経験校にはいずれも2連勝している。

由利工(秋田=21世紀枠)18勝9敗2分

 今大会出場校とは対戦しなかったが、一関学院(岩手)、酒田南(山形)といずれも1勝1敗。能代松陽(秋田)とは引き分けていて、東北大会1勝がうなづける戦績。

伊万里(佐賀=21世紀枠)18勝15敗3分

 出場校とは対戦がなく、県内の強豪では佐賀学園、早稲田佐賀に勝ち。長崎商、柳川(福岡)などの甲子園経験校には2敗している。

膳所(滋賀=21世紀枠)16勝13敗2分

 県外との対戦は多いが、今大会に出る学校とは戦っていない。県内の甲子園経験校では、瀬田工に勝ったが、八幡商、堅田には負け。県外では土佐と1敗1分。ほかにも進学校の岐阜(引き分け)、岡山朝日(2勝)、西京(京都=2勝)など対戦相手の傾向が面白い。

補欠校も参考までに紹介したい。

旭川実(北海道)23勝3敗1分

能代松陽(秋田)24勝15敗2分

酒田南(山形)16勝8敗2分

健大高崎(群馬)65勝12敗4分

霞ヶ浦(茨城)44勝13敗5分

佼成学園(東京)39勝15敗3分

中京学院大中京(岐阜)7勝6敗1分

常葉大菊川(静岡)34勝12敗1分

富山国際大付 12勝6敗2分

北越(新潟)22勝10敗4分

明石商(兵庫)36勝3敗3分

履正社(大阪)38勝5敗1分

尾道(広島)10勝4敗3分

鳥取商 25勝7敗6分

高松商(香川)29勝10敗2分

生光学園(徳島)21勝5敗

明豊(大分)19勝7敗3分

沖縄尚学 26勝6敗2分

金津(福井=21世紀枠)22勝10敗3分

高知追手前(21世紀枠)15勝12敗1分

 近畿の補欠になった2校がいかに実力があるかよくわかる。なお、上記補欠校は出場の可能性があるため、出場校と大会前に練習試合を行うことはできない。ここでご紹介した数字はあくまで昨秋のデータで、しかも夏休み中の試合が半数以上というチームの方が圧倒的に多い。ほんの参考程度と思っていただいた方がいいだろう。

 

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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