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横浜が神宮大会制覇!公式戦44連勝=松坂最強世代にどこまで迫れるか?待ち受けるライバルは多士済々だ

森本栄浩毎日放送アナウンサー
熱戦が続いた神宮大会は横浜が27年ぶりに優勝し、公式戦15連勝とした(筆者撮影)

 シーズンの最後を飾る明治神宮大会決勝は、横浜(関東=神奈川)が広島商(中国)の猛追を振り切って4-3で勝ち、27年ぶり2度目の優勝を果たした。両校は51年前のセンバツ決勝で当たっていて、この時も横浜が勝って甲子園初優勝、広島商は同じ年の夏に優勝している。高校野球の歴史の重みを感じさせる決勝だった。

広島商が堅守で横浜の追加点を阻む

 試合は序盤の2回までに横浜が4点を先制し、先発の最速151キロ右腕・織田翔希(1年)が危なげない立ち上がりで一方的になるかと思われた。しかしさすがは春夏の甲子園で優勝7回を誇る伝統の広島商。二番手で登板した軟投派左腕の片岡虎士(1年)の丁寧な投球に、二塁手の西村銀士(2年=主将)ら内野陣が堅守で応え、追加点を阻む。横浜の村田浩明監督(38)も、「次の1点を取りにいったが、堅い守りで流れを呼び戻された」と脱帽していた。

広島商は1点差惜敗も、1年生左腕に光明

 7回に横浜の守備の乱れで2点差に詰め寄った広島商は9回、連打で織田をマウンドから降ろした。ここで横浜は、エース番号を背負った左腕の奥村頼人(2年)に託す。奥村頼は内野ゴロで1点を返されたが、最後の打者を渾身の直球勝負で三振に仕留めると、マウンドでジャンプして喜びを爆発させた。広島商は、準決勝の敦賀気比(北信越=福井)との11回に及ぶタイブレークの死闘(11-9で広島商の勝ち)で、主力2投手に疲労の色が濃い中、1年生左腕の好投は大きな収穫。神宮大会唯一の公立で、センバツでも名門健在ぶりを見せてくれるだろう。

東洋大姫路との準決勝はタイブレークに

 決勝も手に汗握る好試合だったが、それを上回る熱戦だったのが準決勝の横浜と東洋大姫路(近畿=兵庫)の延長11回の激闘だった。予想通りの投手戦となり、東洋大姫路の最速147キロ右腕・阪下漣(2年)が先に失点するも、奥村頼から織田につないだ横浜に対し、東洋大姫路は8回の唯一の好機を、阪下のスクイズで追いつくスリリングな展開。そのまま延長タイブレークに突入すると、後攻の東洋大姫路が有利かと思われたが、10回はお互いの守りが上回り、無得点に終わる。特に「スクイズ阻止」を狙った横浜の内野5人守備は、ファンを驚かせた。

横浜の奥村頼が土壇場に強い本領を発揮

 好打順だった11回に横浜が、内野ゴロで1点を勝ち越すと、さらに5番奥村頼にも適時打が出た。結果的にはこの1点が大きく、その裏、東洋大姫路も10回から再登板の奥村頼を攻め、無死満塁で中軸という絶好機を迎える。しかしここで奥村頼が土壇場に強い本領を発揮し、クリーンアップを連続凡打に抑え、3-1で逃げ切った。1点差なら打順に関係なくスクイズで同点もあったが、無死満塁は攻め辛い。奥村頼は、関東の決勝でもタイブレークの10回を無失点に抑えていて、名前の通り、実に頼りになる。決勝戦の最後も、きっちり逃げ切った。頼もしい先輩の存在があってこそ、織田の投球が生きるというものだろう。

27年前の横浜は松坂擁し、公式戦44連勝

 横浜の前回優勝時は、元メジャーリーガーの松坂大輔投手(44)を擁した最強チームで、その後の甲子園では春夏連覇を果たし、国体も制して公式戦44連勝というとてつもない記録を打ち立てた。「松坂世代」という言葉に集約されるほど、全国にレベルの高い選手が揃った大会で、高校球史に特筆されるほどの強さを誇った伝説のチームだ。今チームはここまで15連勝。新たな伝説に期待がかかるが、待ち受けるライバルは手ごわい。まだセンバツの出場校も決まっていない段階で少々、気が引けるが、横浜の前に立ちはだかりそうなチームを挙げたい。

横浜の前に立ちはだかるライバルは?

 まずは西の最強チームとして、タイブレークの死闘を演じた東洋大姫路が筆頭格だろう。エース・阪下とそれを支える堅守、さらに近畿大会終盤から好調だった打棒と、三拍子揃っている。また、関東大会決勝でタイブレーク惜敗の健大高崎(群馬)は、世代最速の158キロ右腕・石垣元気(2年)を擁し、センバツ連覇を狙っている。近畿大会準優勝の智弁和歌山は、強力投手陣に伸び盛りの1年生野手陣がかみ合えば、遜色ない。さらに神宮初戦で惜敗したが、好左腕・池崎安侍朗(2年)が経験十分な明徳義塾(高知)や、寒さで実力を発揮できなかった沖縄尚学、今年の春夏甲子園で活躍した青森山田も力がある。シーズンオフの過ごし方で一気に変わるのが、センバツの妙味。春が待ち遠しい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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