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錦織一清&パパイヤ鈴木、同級生コンビで新プロジェクト!ファンの知らないニッキがいる!

山田美保子放送作家・コラムニスト・マーケティングアドバイザー
(写真:筆者撮影)

 かつて「明大中野高校」(明治大学付属中野高等学校)の同級生だった、錦織一清とパパイヤ鈴木。両者とも、少年時代からエンターテインメントの世界に身を置き、日本を代表するダンサーでもある。そんな2人の新プロジェクト「Funky Diamond 18(ファンキー・ダイヤモンド・ワン・エイト)」が始動。7月12日リリースのミニアルバム『PRIMEMAX』を引っ提げた『LIVE TOUR 2023 PRIMEMAX』が同16日からスタートするのを前に、それぞれに一家言をもつ「ダンス」への熱き想いについて聞いた。

―プロジェクトのきっかけを教えていただけますか?

パパイヤ鈴木(以下、鈴木):僕ら2人には共通のダンスの師匠が居るんです。坂見誠二さん、ダンサーネームは「SEIJI」。その方が10年近く前、よく「2人は歌えるんだから、曲とか出したらいいのに」って言ってくださっていたんです。でも当時、ニッキはまだジャニーズ事務所に所属していたこともあって、「今は無理だよね」と。それでも、映画『ブルース・ブラザース』(1980年、大ヒットしたジョン・ラディス監督によるミュージカル・コメディ)みたいなの、いいよね、カッコいいよねという話はしていたんです。

 ウチは、実姉が事務所の社長なんですけど、去年、錦織と3人で御飯を食べた時に、「やるんだったらサッとやろうよ」ってことになって…。曲ができてレコーディングできて、ほんの数ヵ月であれよあれよという間にカタチになりました。もちろんスタッフは大変だったでしょうけれど…、こういうのって本当にタイミングが大事なんですね。

 師匠の坂見さんはオリジナル楽曲の強さをずっと訴えていて、もともと福岡の人なので、ツアーの千秋楽(8月18日、福岡・キャナルシティ劇場)のステージには「元気になったら、出るよ」「踊るよ」とも言ってくれていたんですけど……、ついこの間、闘病の末に亡くなってしまって…(インタビュー6日前の6月16日、逝去。享年65)。

錦織一清(以下、錦織):もともと日本では、ダンスは“西”の方が強いんです。特に福岡っていうのは、アンダーグランド界では有名な地域。

 僕の子供の頃だと『ソウル・トレイン』(1971~2006年までアメリカで放送されていたソウル・ダンス音楽番組。日本ではテレビ東京系)を見ながら「へ~っ、男でも踊っていいんだ~」って思ってたんですけど、それに出ていたトニー・ゴーゴーという人が日本国籍を取得してロックダンスを広めたと言われていて、彼も福岡だった。そこに坂見さん、そしてYOSHIBOW(よし坊=横田義和さん)さんという方が、ツートップとして福岡では伝説的なダンサーだったんです。

 僕と鈴木もそうですけれど、お二人を師匠と仰いで教えてもらっていたダンサーは日本全国に大勢いるんですよ。でも、YOSHIBOWさんも若くして亡くなられていて(2016年死去、享年59)。今回、鈴木と二人でやるっていうことも、韻を踏んでいるというか深い縁を感じているところです。“弔い”っていう悲しい後付けもあるんですが。

―これまで、お二人が見せてくださっていたダンスと、今回のプロジェクトでのダンスにはどういう違いがあるのでしょうか?

鈴木:僕は、ニッキがヒップホップやロックダンスやチャチャなどが得意なのを前から知っていたんです。でも、「少年隊」時代のダンスはジャズダンスをメインとしたキレイな踊りだったから、ファンの皆さんも当然それしか見たことがない。

 だから、なんとかファンの方たちに違うニッキを見てほしかったんです。なんだろう、“カッコよさ”の種類がちょっと違うんですよね。見てくれれば、「あぁ、ニッキは“こっち”の人なんだ」って分かってくれると思いますよ。

 よく、“師匠”(坂見さんとYOSHIBOWさん)の2人も「匂いが違うからさ、匂いが大事だからさ」と言っていました。それは目には見えないものではあるんだけど、エンタメは、その人の持つ雰囲気や、まとっているものというのが大事な肝なので。

錦織:みんなで形を揃えるのも、両手を大きく広げるのも、足をどれだけ上げるかなども素晴らしいパフォーミングだとは思います。でも、そういうことに凝り固まっていた時期が僕は長かったかもしれませんね。小さく踊ったり、内に入ったりする踊りは、実は派手に大きく見せる踊りよりも難しいと言われているんです。小さなステップでカッコよく踊るのは場数を踏まないとできない。まぁ、グルーヴ感は同じなんですけどね。

鈴木:よく「自分はリズム感が悪いから」と言う人がいるじゃないですか。でもそれって、リズム感じゃなく、テンポ感だと思うんです。リズム感というのは自分が持っている独特のクセ。それがグルーヴです。

 たとえば曲に合わせてみんなで同じステップを踏んでいても、少し粘っこくやっている人がいたり、ゆったり踊っていたりする人がいるでしょ?バラバラな人が同じステップを踏んだ時、それぞれがちょっと違うのがカッコいい。そういうのが「気持ちいい」っていう年齢になってきましたよね。いちばんカッコいいのは、バーで音楽を聴きながら揺れてる人だと思う。そういうのを見せられたらなぁって…。

錦織:すごく憶えているのは、“師匠”の坂見さんに「ダンスを教えてくれ」って頼んだら、「じゃあ飲みに行こう」って(笑)。つまり、ダンスってスタジオで踊るものじゃないんですよね。ディスコで男性が踊るのだって、女性を引っかけたい(=ナンパしたい)から踊っていたわけで。女性も、引っかけられたくて踊ってたと思うんだよね、あの頃。色っぽいじゃない?そういう“夜の文化”ってカッコいいと思うもん。動物たちの“求愛ダンス”みたいな…ね。

―お二人は、ステージの中央に立つ傍ら、演出や振付もなさってきました。どんな塩梅で続けてこられたんですか?

鈴木:僕はもともと、歌手になりたくて20歳で「ソニーミュージック」に入ったんです。その時、あるスタッフから「裏方として誰かの背中を押すのも悪くないよ」って言われたんですけど、その時は“大人の嘘”だと思っていました。

 結果、僕は振付師になったんですけれど、僕が背中を押した人がテレビに出て売れるようになったのを見て、正直、満足しちゃったんです。これも悪くないなぁ…って。で、姉ちゃんと会社作って、ダンサー集めて、裏方やって、マネジメントやって、しばらくして「おやじダンサーズ」やって。ホント、コロコロ変わってますよね。ニッキも同じ。僕らはこのバランスがいいなって思っているんです。裏方の大事さも知りながら背中を押される有難さも分かる。“二足の草鞋(わらじ)”っていいですよ。

錦織:振付の先生をたてなくてもいいのは、ランニングコストがいい。大人になるとランニングコストがよくなるんですよ(笑)。今度のライブも、やらなくていいものはやらないし、プロに任せた方がカッコよく仕上がることはトコトン任せています。

(ライブ会場&錦織一清FC限定盤のジャケット写真:事務所提供)
(ライブ会場&錦織一清FC限定盤のジャケット写真:事務所提供)

 その一つが、今回のジャケット写真。イラストを描いてくれたのは、(日本初のストリートダンスチーム)「NESY GANG」を結成したダンス界の重鎮で、イラストレーターでもある江守藹(えもり・あい)さんです。江守さんって、昔のディスコミュージックのレコードに入っていた“ステップの踏み方”のイラストを描いていた方なんですよ。

(通常盤のジャケット:事務所提供)
(通常盤のジャケット:事務所提供)

―お二人はこれからもずっとダンスを続けてくださいますか?

鈴木:僕ら、踊ってないと、サボってるみたいに言われちゃうんですよ(苦笑)。昔から、歌だけ歌ってる人ってホントうらやましかったですもん。歌だけで成立するのかよって(笑)。

錦織:僕の夢も「止まって歌うこと」でした。でも、いざ止まって歌おうとすると意外と難しいんですよね。踊りながら歌っている方がラクだなって思いましたね。

鈴木:今回のレコーディングでも、ずっと踊りながら歌っていました。今回のツアーも、レコーディングの時みたいな踊り方でステージをやれたらいいと思いますね。皆さん、ぜひ、遊びにいらしてください。

※『LIVE TOUR 2023 PRIMEMAX』は、愛知・名古屋市公会堂大ホール(7月16日)を皮切りに、大阪・サンケイホールブリーゼ(7月17日)、東京・恵比寿ザ・ガーデンホール(8月8、9日)、福岡・キャナルシティ劇場(8月18日)で開催される。

放送作家・コラムニスト・マーケティングアドバイザー

1957年、東京生まれ。初等部から16年間、青山学院に学ぶ。青山学院大学文学部日本文学科卒業後、TBSラジオ954キャスタードライバー、リポーターを経て、放送作家・コラムニストになる。日本テレビ系「踊る!さんま御殿!!」、フジテレビ系「ノンストップ!」などの構成のほか、「女性セブン」「サンデー毎日」「デイリースポーツ」「日経MJ」「sippo」「25ans」などでコラムを連載。「アップ!」(名古屋テレビ)などに、コメンテーターとしてレギュラー出演している。

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