因縁の対決!亀田和毅が無敗の正規王者レイ・バルガスと王座統一戦へ
WBCスーパーバンタム級暫定王者の亀田和毅(協栄)と、同級の正規王者のレイ・バルガス(メキシコ)の対戦が合意に達したと報道された。
和毅は、バルガスが負傷して設けられた暫定王座のタイトルを、昨年11月に同級1位のアビゲイル・メディナ(スペイン)から、3-0の判定勝ちで獲得した。
アマチュア時代の因縁の対決
和毅はアマチュアの時にバルガスと対戦し、判定で負けたことがある。その為、インタビューした時も、一番戦いたい相手として、バルガスの名前を挙げていた。
豊富なアマチュアキャリアが武器のバルガスは、WBC王座を4度防衛している無敗のチャンピオンだ。
今回の試合が正式に決まれば、和毅のキャリアの中で1番の強敵となるだろう。
バルガスは、スーパーバンタム級王者の中でも評価が高く、この階級で最強との呼び声もある。
そのため、勝てば評価も一気に高まるだろう。
バルガスのボクシングスタイル
バルガスは無敗32勝(22KO)の戦績だ。非常に好戦的で、長身から放たれるワンツーは迫力がある。ワンツーのストレートが主体だが、左右に振り回すフックやボディ打ちなど、攻撃も多彩だ。
身長が高い選手はリーチ差を活かして、距離を取って戦う選手が多いが、バルガスは違う。どんどん前に出てアグレッシブに攻め、長身から打ち下ろすストレートは脅威だ。
一旦攻め始めると嵐のような勢いで襲いかかってくる。だが、攻撃に集中するあまりガードが疎かになる場面があるので、カウンターを狙うチャンスはある。
ボクシングは距離感
気になったのは両者の体格だ。ボクシングは階級制でウエイトが分かれているため、計量の時に同じ体重であれば、身長差は関係ない。
和毅は身長が171cmで、バルガスは172cmとなる。身長はほぼ一緒だが、リーチが大きく異なる。和毅のリーチが168cmに対して、バルガスは179cmと、11cmも差がある。
そのため、両者の戦う距離が大きく異なるだろう。ボクシングでは、お互い得意な距離で戦おうとする。自分のパンチが、伸びきって当たるパンチが一番強い。
バルガスも和毅もジャブとストレートが得意なため、離れた距離でどれだけ自分の距離を掴めるかが勝負になる。
リーチは相手の方が長いため、中間距離での攻防が試合の鍵になるだろう。ストレート主体で遠い間合いで戦う和毅だが、相手の懐に入っていく勇気も必要になってくる。
亀田和毅の素顔
以前和毅にインタビューをした事があるが、実際の彼の姿は、メディアでの印象と大きなギャップがあった。
プロ意識が非常に高く、ボクシングにストイックに向き合い真面目な選手だった。練習前は怪我をしないように、ストレッチに1時間もかけるという念の入れようだ。
普段から節制していて、体重コントロールにもとても気を使っていた。試合1ヶ月前に肉体を見せてもらったが、すぐに試合ができるくらいの身体つきをしていて驚かされた。
15歳でメキシコに渡り、17歳でプロデビュー。プロキャリアも10年とベテランの域に入った。
亀田兄弟の三男として注目を浴び、時には言動や行動によって大きくバッシングされた事もある。
日本での活動が自粛され、海外で2度の敗戦など、苦労を重ね挫折も経験した。そこから、世界のチャンスを掴むまで多大なる時間を要した。
しかし、昨年バルガスの怪我によりチャンスが舞い込み、念願の王者として返り咲いた。そして、いよいよ今回の大一番を迎える。
過去に負けた相手と運命的な巡り合わせで、再び戦う機会を得た。
人間的にも成長し、選手としても成熟期を迎えた。挫折を乗り越えて逞しくなった和毅の一戦が非常に楽しみだ。