天気ノートで振り返る2021年
英王立気象学会は2021年を振り返り、パンデミックと気候変動の影響が深刻化した一年と総括した。日本でも猛暑、豪雨が相次ぎ、静岡では大規模な竜巻も。東京は30年ぶりに年降水量が2,000ミリを超えた。
パンデミックと気候変動
今年も残り少なくなり、今年を締めくくる話題を目にする機会が増えました。そのなかでも、11月にCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)の開催国となったイギリスの王立気象学会が発表した2021年の振り返りに目が留まりました。
英王立気象学会はパンデミックと気候変動の影響が深刻化した一年と総括したうえで、つい先週も12月としては異例の大規模な竜巻がアメリカを襲うなど、今年も気象の記録が破られる出来事が相次いだと述べています。また、これまでにないくらい世界中で気候変動が意識され、イギリスでは「気候変動は人間によって引き起こされている」というネット検索が増えたそうです。
パンデミックは世界を、日常をさまざまな形で変えました。とくに、印象が強いのは過去例のない規模のロックダウンによる経済活動の停滞です。CO2濃度の低下につながるのではと淡い期待をしたのですが、CO2濃度の増加に歯止めはかかりませんでした。
天気ノートで振り返る2021年
イギリスでも、今年は数々の気象記録が生まれたそうです。英王立気象学会員の筆者が記録を打ち立てることは良いこととは言えないけれど、興味深いと述べていることに私もうなずきました。これにならって、天気ノートを見ながら、今年の日本の気象記録をまとめてみました。
2021年は大雪と厳しい寒さで始まりましたが、寒さよりも新型コロナ感染拡大による帰省・外出自粛により、お正月の風景が一変したことの方が強く思い出されます。ニュースもコロナ一色となり、天気の話題も控えめに。
夏は東京オリンピック。あまりの蒸し暑さに選手から悲鳴が上がったそう。8月8日は岐阜県多治見市で全国最高の40.6度を記録しました。40度もさることながら、北海道の異常な暑さには驚きました。道内では7月24日~8月7日まで15日連続で猛暑日を記録したのです。この暑さのせいでしょうか、9月下旬には太平洋沿岸で、例のない規模で赤潮が発生しました。鮭やウニの大量死は正月の食材にも影響が広がっています。
オリンピックが終わり、天候不順に。8月11日、気象庁は会見を開き、お盆期間中、本州に前線が停滞し、広い範囲で大雨となるとして警戒を呼び掛けました。
8月13日~14日は福岡県、佐賀県、長崎県、広島県に大雨特別警報が出され、河川の増水や氾濫、土砂崩れが相次ぎました。イギリスでは今年、24時間に降った雨量の最大は222.6ミリだったようですが、日本ではその2倍を超える571.5ミリの雨が長崎県雲仙岳で観測されました。
実は東京も雨が多くて、年降水量(1月1日~12月18日)は2048.5ミリに達し、1991年以来30年ぶりに2,000ミリを超えました。記録が残る1876年(明治9年)以降では4番目の多さです。
最後は強風です。一時、猛烈な強さとなった台風14号、与那国島では9月12日、最大瞬間風速45.4メートルを観測しました。さらに、これを上回る突風が吹いた可能性も。
5月1日夕方、静岡県牧之原市では竜巻が発生し、車10台が横転、多数の電柱が折り重なるように倒れ、付近の約4,000棟が停電しました。その後の調査で、竜巻の強さは日本版改良藤田スケールでJEF2とされ、今年最大規模となりました。当時、風速は65メートルに達していた可能性があります。
ここまで思いつくままに書いてきました。丑年は大雨が多く不順な夏が多いようですが、今年は8月に豪雨被害が発生し、梅雨末期の集中豪雨と騒がれました。日本は四季がはっきりしていると言われるけれど、年々、季節のズレを感じることが多くなったように思います。来年(2022年)は天気ノートに何を書くのでしょう。
【参考資料】
英王立気象学会(RMetS):A look back at 2021、17 December 2021