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「愛子さまの進路」はどうなる? 女性皇族たちの留学事情とは…

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
愛子さま(写真・毎日新聞社/アフロ)

今月1日に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが22歳のお誕生日を迎え、来年3月には学習院大学を卒業される予定である。成年皇族の仲間入りをされてから、その聡明さと飾らない笑顔は常に人気の的だ。

愛子さまは大学卒業後、どのような進路を歩まれるのか、まだ正式に発表されておらず、注目度が高まっている。特に関心を集めているのは、日本を離れて「留学」するのかどうかという話題だ。

今回は愛子さまの気になる進路に思いを巡らせながら、女性皇族の留学事情に迫りたい。

◆女性皇族の留学事情

秋篠宮ご夫妻の長女・小室眞子さんは国際基督教大学を卒業後、イギリス・レスター大学大学院に留学。1年間、博物館学研究科で学び、修士号を取得した。

妹の佳子さまは、国際基督教大学に在学中、大学の交換留学プログラムを利用して、約9か月間、イギリス・リーズ大学に短期留学し、舞台芸術などの分野を勉強されたという。あの手話の巧みな表現力は、この時に培われたものかもしれない。

他にも女性皇族で、海外留学し精力的に取り組まれた方といえば、故寛仁親王の長女・彬子さまである。学習院大学を卒業後、イギリス・オックスフォード大学に留学し、5年間にわたって日本美術史を学ばれている。哲学博士の学位を取得され、海外で博士号を取得した初の女性皇族となられた。

高円宮家の長女・承子さまはイギリス・エディンバラ大学に留学され、妹である三女・絢子さまはカナダのカモ―ソンカレッジとブリティッシュ・コロンビア大学に留学された。

こうして振り返ってみれば、学問を愛する皇室の伝統を受け継ぎ、多くの女性皇族の方々が海外留学し、勉強に励んでいらっしゃったのだ。

◆上皇ご夫妻の長女・黒田清子さんは…

では、平成の時代、天皇の娘で内親王という、今の愛子さまと同じ立場だった黒田清子さん(紀宮さま)は、どんな道を歩まれたのだろうか。

長兄である天皇陛下、次兄である秋篠宮さまはイギリス・オックスフォード大学に留学されているが、清子さんの場合は大学を卒業後、留学はしていない。

黒田清子さん(写真:代表撮影/Fujifotos/アフロ)
黒田清子さん(写真:代表撮影/Fujifotos/アフロ)

なぜ留学されたかったのだろうかと素朴な疑問が浮かぶが、その答えは清子さんが学習院大学に進学した当時の、上皇ご夫妻の記者会見に表れている。

記者から清子さんの留学について質問された美智子さまは、次のように答えられた。

「男の子だから、女の子だからということよりも、どのくらい本人が希望しているかということの方が大事だと思います。今のところまだ紀宮から留学の希望は出ていないので……」(昭和62年10月、美智子さまお誕生日に際しての会見)

さらに記者から、清子さんが留学を希望したら、積極的に後押しされるのかを聞かれ、美智子さまは—

「非常に希望が強ければ、実現できるように手伝いたいとは思っています」

と話された。

その翌年、上皇さまも清子さんの留学について、このように述べられた。

「(紀宮は)自分から強く留学を希望していることはありませんが、一方、専攻が国文学ですので、国内に閉じこもらないよう、できるかぎり外国との交わりにはつとめようという気持ちでいるようです」(昭和63年8月、軽井沢・千ヶ滝プリンスホテル 夏の定例会見)

つまり、清子さんが留学を希望すれば、親として実現できるように進めたのだが、本人が望まなかったということだろう。お兄様二人とも留学しているから、それに続いて妹である清子さんも同じように海外留学するというものではなく、あくまで本人の希望を尊重されていた。

愛子さまが留学を希望されるのかどうかは、今の時点ではまったく分からないが、その可能性はかなり高いと考えられる。なぜなら、天皇皇后両陛下お二人とも留学経験があり、海外での生活やキャンパスライフはとても貴重な経験になったと、ことある度に語られている。

おそらく両陛下は、愛子さまに留学時代の思い出話をいろいろとされているだろうから、愛子さまが興味を抱かれても不思議ではない。すでに愛子さまは、学習院女子高等科2年生の夏休みに、イギリスの名門イートン校のサマースクールに参加され、準備は整っているのだ。

ではどの大学に留学するのかという点だが、ズバリ、両陛下や秋篠宮さまも留学されたオックスフォード大学ではないだろうか。その理由は、愛子さまが学ばれている日本の古典文学も含め、オックスフォード大学はヨーロッパ有数の日本研究の拠点としても知られているからだ。海外から客観的に日本を見つめ直すには、絶好の場所でもある。

ともあれ、来年春の卒業後は大学院に進学される可能性が高く、留学は再来年の秋頃になるのではないか。その日が近づけば、きっと両陛下が相談相手となって、愛子さまに適切なアドバイスをされていくはずだ。

「皇后雅子さま還暦 ご結婚30年間のお誕生日にみる「心の旅路」とは…」

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7ce1edf8bec0c379246a718b2ae7c3408af94db8

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。西武文理大学非常勤講師。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)などがある。

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